むくみで悩む女性

むくみの漢方とツボを3体質別に解説します(堀口メソッド)

著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-09-09

※本記事は、一般的な情報提供を目的としたもので個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

目次

  1. 動画インタビュー
  2. むくみに漢方薬は有効?
  3. むくみの体質別の漢方
  4. むくみに有効なツボ
  5. FAQ(よくあるご質問)
  6. 著者プロフィール

説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行

動画インタビュー

むくみの体質別の漢方

主なタイプは次の2つに分類されます

①湿痰(しったん)体質

湿痰とは、湿り気の「湿」と咳などが出る時の「痰」、これらの両方が体内ん蓄積している状態を指します。体の中の余分な水が多く体内に溜まっている状態です。結果、このタイプの方は体が冷えるタイプの方が多いです。

漢方薬は、まず湿痰の場合でよく使うのが防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) という漢方薬です。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

これは関節が多少炎症を起こしたり、腫れてる場合にも使います。足の方のリンパの流れを良くするお薬です。

もう一つは、補気建中湯(ほきけんちゅうとう)です。これは補気という元気の気を補うという字を書くんですが、むくんでくるとだいたい足が重い、体がだるいそんな症状出てきます。そういっただるさを取る作用があります

補気建中湯(ほきけんちゅうとう)

むくみを取りながら元気度を上げる処方です。胃腸の働きが低下して、だいたい夏の時期多いんですが、食欲が低下している場合や胃腸の働きが低下しているような場合に有効です。

②湿熱(しつねつ)体質

もう一つは、湿熱といい湿り気と熱・炎症があるタイプになります。湿痰については、湿り気が多いんですが、加えて新陳代謝が低下しているタイプです。

逆に湿り気に加えて熱なので、新陳代謝は割と良くて汗かいたりもするんですが、どこかしらで炎症があるようなタイプです。

例えば、以前に膀胱炎になったことがあるとか、膝などの関節が炎症を起こし熱を持ったことがあるとか。アレルギーが持病である場合の方も、このタイプに含まれる場合があります。炎症が起こりやすいタイプの人ですね。

湿熱タイプの方の漢方薬の代表は、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

メタボ体質の方に使う漢方薬なのですが、多少便秘気味、あるいはちょっと小便の出が悪い、膀胱炎になりやすいなどの方に用います。熱を持ちやすいタイプで、むくみやすいという方です。

膀胱炎が代表例ですが、骨盤の中での気・血・水・精の流通の邪魔を取る作用が必要です。

リンパや静脈は足の付け根である「鼠径部(そけいぶ)」を通ってお腹の中入り、腎臓に行きます。腎臓に行って初めて小便が作られて膀胱から排尿されるわけなんですが、その下の血、あるいはリンパ液が流れてこないのです。

骨盤が 邪魔をし、阻害してしまうことがあるのです。便秘あるいは膀胱炎であったり、婦人科によくある子宮筋腫というという病気を持ってる方も、骨盤の中がかなり狭くなってきます。

これらがむくみの原因になる場合があります。

こういった体質の方には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)という、婦人科でよく使うお薬が有効になってきます。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

むくみに有効なツボ

「湿痰タイプ」の方、特にだるさや胃腸の働きが落ちているタイプの方には、足の胃経のツボ、豊隆(ほうりゅう)が有効です。

膝と足首の中間あたり、脛(すね)にあります。

豊隆(ほうりゅう)

特に婦人科に筋腫があったり、便秘、特に骨盤の流れを阻害しているようなタイプの
熱タイプの方にはこちらが有効です。

三陰交(さんいんこう)

内くるぶしの上になります。この三陰交(さんいんこう)は湿痰タイプでも使用可能です。とにかくこのツボは骨盤の流通を良くします。

そして、さらにおすすめなのが、ツボ押し+屈伸運動です。股関節と膝、足首などの関節を動かす屈伸運動をまめに取り入れてください。それによって足の方のリンパ液あるいは静脈の流れがぐっと活性化されます。

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FAQ(よくあるご質問)

むくみに漢方はどれくらいで実感できますか?
体質・原因により異なります。生活要因に由来する軽度のむくみは数日~数週間で変化を感じることも。器質的疾患(心臓・腎臓・甲状腺など)が疑われる場合は、まず原因治療が優先です。
片脚だけ急に腫れて痛い・熱いのですが?
片側だけの急なむくみ・痛み・熱感・色の変化は深部静脈血栓症の可能性があるため、早急に医療機関へご相談ください。
妊娠中のむくみは受診した方がよい?
妊娠後期の軽いむくみは一般的ですが、急な体重増加・頭痛・視覚異常・手顔の強いむくみなどがあれば、産科へ早めに相談を。
心臓が原因のむくみはありますか?
心不全では息切れやむくみが代表症状です。1週間で2~3kg以上の体重増加むくみ悪化は悪化兆候の一つとされ、受診目安となります。

その他のFAQ(よくあるご質問)

※医療機関への受診の目安

  • 息切れ・胸の圧迫感とむくみが増悪
  • 片脚のみの急なむくみ・痛み・熱感・色調変化
  • 顔・まぶたのむくみが朝に強い/尿量の変化が続く
  • 数日以上むくみが続く、悪化する等

参照:MSDマニュアル(むくみ)ヘルスケアラボ(むくみ)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。

著者プロフィール

堀口 和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)

光和堂薬局 院長

埼玉県生まれ/東京理科大学薬学部卒/同大学院修士課程修了/総合漢方研究会 学術部員/ 元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員/公益法人埼玉県鍼灸師会会員/ さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)/一般財団法人日本漢方連盟 会員/ 著書:やさしい漢方入門(健友館)、パプアニューギニアの薬草文化(アボック社)、 体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐(万来舎)など

販売薬局:光和堂薬局(さいたま市西区指扇領別所326-1)・許可(さ局)第7105号。

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