荊芥(けいがい)とは?かぜの初期・皮膚のかゆみ発疹・のどの違和感に使う生薬を体質別に解説

荊芥(けいがい)は、シソ科ケイガイの花穂を用いる生薬です。体表にとりついた風邪(ふうじゃ)を発散させてさばき、皮膚の発疹をすっきり出し、かゆみをやわらげる働き(祛風解表・透疹)から、かぜの初期の悪寒・頭痛、皮膚のかゆみ・発疹、のどの違和感のケアに用いられてきました。炒って炭にした荊芥炭は止血に用いられます。KanpoNowでは、この生薬を「風邪をさばき、発疹とかゆみをやわらげる、祛風解表の生薬」として整理します。
- 荊芥は、シソ科ケイガイ(Schizonepeta tenuifolia Briq.)の花穂を乾燥した生薬です
- 主成分は精油成分(メントン、プレゴンなど)、フラボノイド類です
- 漢方では、風邪をさばいて発散させ(祛風解表)、発疹を出しかゆみをやわらげ(透疹)、炒炭では止血する働きで用いられます
- 単独で用いられることは少なく、皮膚やのどの処方にしばしば配合されます
体力が低下して汗が出やすい方や、乾燥傾向が強い場合は注意します。発熱・呼吸苦・膿を伴う症状が長引く場合は受診してください。持病や併用薬のある方は、専門家に相談してください。
荊芥とは
荊芥(けいがい)は、シソ科のケイガイ(Schizonepeta tenuifolia Briq.)の花穂を乾燥させた生薬で、日本薬局方にも収載されています。中国各地に自生するシソ科の一年草で、全草に特有の強い香りがあります。日本では花穂のみを「荊芥」とし、中国では地上部を「荊芥」、花穂を「荊芥穂(けいがいすい)」として区別します。荊芥穂のほうが香りがよく、効能も強いとされます。
漢方薬剤師の視点では、荊芥は代表的な「辛温解表薬」です。体表にとりついた風邪(ふうじゃ)をおだやかに発散させてさばき、皮膚の発疹をすっきり表に出して、かゆみをやわらげます。かぜの初期の悪寒・頭痛や、皮膚のかゆみ・発疹、のどの違和感に向くとされます。単独で用いられることは少なく、皮膚やのどの処方にしばしば配合されます。炒って炭化させた「荊芥炭」は止血に用いられます。
基原・成分データ
荊芥の基本データを整理します。精油を含むこと、辛温解表薬に分類されることが、用いられ方を理解する鍵になります。
性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。荊芥は、辛く、ほんのり温かい性質で、肺・肝に働きます。
「辛」は発散させ、巡らせる味とされます。風邪をさばき、発疹を表に出す働きと結びつきます。
「微温(ほんのり温)」はおだやかに温める性質で、風寒・風熱いずれのかぜにも合わせやすい、穏やかな解表薬です。
肺を通じて体表の風邪をさばき、肝を通じて皮膚の発疹・かゆみを整える方向に働きます。かぜ・皮膚症状に関わります。
漢方的な働きの軸
荊芥の働きは、大きく三つの軸で整理できます。風邪をさばく軸、発疹をさばく軸、止血する軸が重なり、体表と皮膚の不調を整えます。
伝統的な使われ方
荊芥は古くから、祛風解表・透疹・止血(炒炭)を目的に用いられてきました。風寒・風熱による悪寒・発熱、頭痛、鼻づまり、のどの腫れ・違和感、皮膚のかゆみや発疹の初期などのケアに配合された歴史があります。おだやかな解表薬で、風寒・風熱のどちらのかぜにも使いやすいのが特徴です。
防風・連翹などと組み合わせて皮膚の炎症や化膿を整える処方(荊芥連翹湯・十味敗毒湯・清上防風湯)、防風・蝉退などと組み合わせて湿疹・じんましんのかゆみをさばく処方(消風散)、桔梗・連翹などと組み合わせてのどの腫れ・痛みをさばく処方(駆風解毒湯)に配合されます。皮膚症状を主とする処方によく用いられます。
形状・味・使われ方の体感
荊芥は、見た目・香り・味に特徴があります。小花をつけた花穂が生薬になります。
小花をつけた花穂
多数の小さな花が密についた、細長い花穂。緑色が鮮やかに残り、小花が密なものが良品とされます。
特有の強い香り
全草に特有の強い香りがあります。この芳香が、風邪をさばく働きの中心です。香りが飛ばないよう、煎じすぎに注意します。
短時間で煎じる
煎じ液として解表・透疹の処方に配合されます。香りが働きの中心のため、あまり長く煎じないようにします。炒炭では止血に用います。
体質別の向き・不向き
荊芥は風邪をさばき発疹を出す生薬です。かぜの初期や皮膚の発疹があるか、逆に汗が出やすかったり乾燥していないかを見極めることが大切です。
かぜの初期・皮膚のかゆみ発疹
かぜの初期の悪寒・頭痛や、皮膚のかゆみ・発疹の初期、じんましんが出るタイプに向きます。荊芥の中心的な使い道です。
判断ポイント:かぜのひき始めや皮膚のかゆみ。のどの違和感・鼻づまり
のどの腫れ・違和感や、鼻づまりのケアに用いられてきました。風邪による上部の不快感で候補になります。
判断ポイント:のどの違和感・鼻づまりがある。汗が出やすい・乾燥傾向が強い方
発散させる働きがあるため、体力が低下して汗が出やすい方や、乾燥傾向が強い方では、負担となることがあります。用量や配合に注意します。
判断ポイント:汗かき・乾燥が強ければ注意。膿を伴う症状が長引くとき
発熱や呼吸苦、膿を伴う症状が長引く場合は、別の原因の確認が必要です。自己判断での継続を避け、専門家に相談してください。
判断ポイント:膿・発熱が長引けば専門家へ。安全性と受診の目安
荊芥は短期の使用ではある程度安全とされますが、体質や体調により胃部不快感や口臭などが出ることがあります。体力が低下して汗が出やすい方や乾燥傾向が強い方は注意します。発熱・呼吸苦・膿を伴う症状が長引く場合は、別の原因の確認が必要です。持病や併用薬がある場合は専門家に相談してください。
- すぐに相談:息苦しさ、高熱が持続する、血の出る痰や鼻出血が続く、皮膚の広範な腫脹・発赤
- 服薬中:他剤併用や基礎疾患があるときは、自己判断での継続・中止を避け、専門家に相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
荊芥が気になる方は、かゆみ、肌荒れ、頭痛との関係も確認すると理解が深まります。
荊芥を含む漢方薬
荊芥は、皮膚の炎症・かゆみを整える処方や、のどの腫れ・痛みをさばく処方に配合されます。同じ荊芥を含む処方でも、組み合わせる生薬によって向く症状は変わります。
よくある質問
Q. 荊芥はどんなときに使われますか?
かぜの初期で悪寒・頭痛があるとき、鼻・のどの違和感、皮膚のかゆみや発疹の初期などに用いられます。皮膚症状では消風散や十味敗毒湯、にきびには清上防風湯、のどには駆風解毒湯などに配合されます。
Q. 荊芥炭(けいがいたん)との違いは?
荊芥を炒って炭化させたものが荊芥炭で、従来は鼻出血や痔出血などの止血目的で用いられてきました。炒ることで働きの方向が変わります。
Q. 性味・帰経は?
性味は辛/微温、帰経は肺・肝とされます。風邪をさばいて発散させ、発疹を出しかゆみをやわらげる働きがあります。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
荊芥は、風邪をさばき発疹とかゆみをやわらげる生薬ですが、かぜや皮膚のかゆみ、のどの不調の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

あなたに合う漢方薬を確認しませんか?
KanpoNowでは、症状と体質をもとに、あなたに合った漢方薬の候補をAIが提案します。漢方薬剤師・堀口和彦先生の理論に基づき、AIがあなたの体質を判定します。【AI漢方診断】をご利用ください。
AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・服薬指示を行うものではありません。息苦しさ、高熱が持続する、血の出る痰や鼻出血が続く、皮膚の広範な腫脹・発赤などがある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、妊娠中・授乳中、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。