桂皮(けいひ)

まずは要点

  • どんな生薬? 桂皮(ケイヒ)はシナモンの樹皮で、温中散寒・健胃・発汗などを目的に配合されます。冷えを伴う胃腸不調や感冒初期などに用いられてきました。*①②
  • 中身は? 主要成分は桂皮アルデヒド(シンナムアルデヒド)やユージノールなどの精油成分、タンニン等です。*①②
  • 注意点 体を温める性質があり、のぼせ・口渇・胃部不快などが出ることがあります。妊娠中の多量使用は避け、体質適合と用量に注意してください。*②③

桂皮の基礎データ

  • 読み方: ケイヒ(桂皮)
  • 基原・由来: クスノキ科 Cinnamomum cassia などの樹皮(日本薬局方収載)。*①②
  • 主要成分: シンナムアルデヒド、ユージノール、タンニン ほか。*①②
  • 性味: 辛・甘 / 温 帰経: 心・肺・脾。*②③

伝統的な使われ方

胃腸を温めて気の巡りを促し、悪寒を伴う感冒初期や腹部の冷え、胃痛・食欲不振などの改善を狙って配合されます。桂枝(若枝)と区別されますが、日本での用法は桂枝に近い面もあります。*②③

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

適量では多くの場合安全に用いられますが、体を温める性質のため、体質や用量によってのぼせ・口渇・胃部不快などが生じることがあります。持病や併用薬がある場合は、自己判断での継続・中止を避け、専門家に相談してください。*②③

  • すぐ相談: 胸やけ・胃痛の増悪、皮疹、動悸やのぼせが強い など。
  • 服薬中: 妊娠中・授乳中、心疾患・高血圧などの持病がある方は事前に専門家へ。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 桂枝(けいし)との違いは?

A. 桂皮は樹皮、桂枝は若枝で、由来部位と伝統的な使い分けが異なります。日本での臨床では処方の設計に応じて併用・使い分けられます。*②③

Q. 胃が弱いのですが大丈夫?

A. 温める性質や芳香成分によって胃部不快を感じる場合があります。少量から開始し、症状があれば中止して専門家に相談してください。*②

*参考・出典

  1. 公益社団法人 東京生薬協会「ケイヒ(桂皮)/新常用和漢薬集」
  2. ツムラ「漢方ビュー|桂皮」
  3. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬データベース:桂皮」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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