桂枝(けいし)
まずは要点
- どんな生薬? 桂枝(けいし)はシナニッケイの若い枝を乾燥したもので、辛温で発汗を促し、表寒の初期症状を和らげます。①
- 中身は? 主な成分はシンナムアルデヒド、リナロール等の精油成分です。①
- 注意点 発汗過多・体力低下・乾燥傾向では不向きとされます。皮膚や粘膜が乾きやすい体質では用量に注意します。①
桂枝の基礎データ
- 読み方: けいし
- 基原・由来: クスノキ科 Cinnamomum cassia の若枝(Cinnamomi Ramulus)を乾燥したもの。
- 主要成分: シンナムアルデヒド、リナロールなどの芳香成分。
- 性味: 辛・甘 / 温 帰経: 心・肺・膀胱。①
伝統的な使われ方
発汗・解肌によって悪寒・頭痛・項背部のこわばりを和らげ、表寒の初期に用いられてきました。血行促進・鎮痛の目的で他薬と併用されることもあります。①
この生薬を含む漢方薬例
- 桂枝湯(けいしとう)(かぜの初期、悪寒、発熱 など)
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)(動悸、不安、不眠 など)
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桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう)(月経不順、冷え、のぼせ など)
- 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)(冷え、腰痛、関節痛 など)
安全性と受診の目安
適量であれば一般に安全に用いられますが、発汗過多・のぼせやすい体質では合わないことがあります。皮疹や刺激感などが出る場合は中止し、専門家に相談してください。①
- すぐ相談: 発汗過多、めまい、皮疹などが続く場合
- 服薬中: 他の鎮痛薬・解熱薬等を併用中の方、妊娠・授乳中は自己判断での継続・中止を避け、専門家に相談
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. 桂皮(けいひ)との違いは?
A. 桂枝は若枝、桂皮は樹皮を指します。日本のエキス製剤では、名称に「桂枝」を含む処方でも原料に桂皮(ケイヒ)が用いられていることが多く、例えば桂枝湯ではケイヒが配合されています。①④
*参考・出典
- 薬膳情報.net「中薬(桂枝)」 ①
- ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典」 ②
- 富山大学 和漢医薬学総合研究所 ③
- KEGG MEDICUS「医療用医薬品:桂枝湯」 ④