大棗(たいそう)
まずは要点
- どんな生薬? 大棗(たいそう/ナツメの果実)は、方剤の調和や胃腸をいたわる目的で配合されることが多い生薬です。虚弱傾向や食欲不振、腹部の張りの軽減をねらいます。*①②
- 中身は? 代表成分はサポニンのジュジュボシド類や多糖・有機酸などです。*①②
- 注意点 体質や量により胃もたれ・腹部膨満などが出ることがあります。糖尿治療中は間食扱いにならないよう用量・配合に注意します。*②
大棗の基礎データ
- 読み方: タイソウ(ナツメ)
- 基原・由来: クロウメモドキ科 Ziziphus jujuba の成熟果実(乾燥品)。*①②
- 主要成分: サポニン(ジュジュボシド類 など)、多糖、フラボノイド、有機酸 ほか。*①②
- 性味: 甘 / 温 帰経: 脾・胃。*②
伝統的な使われ方
脾胃を補い、営衛の調和を助け、方剤の刺激性をやわらげる目的で配合されます。虚弱体質の食欲不振、疲労、腹部の張りや便通不安定の改善を図ります。*②
- 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)(むくみ、関節のはれや痛み、関節炎 など)
- 黄連湯(おうれんとう)(胃痛、急性胃炎、二日酔 など)
- 黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)(虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ など)
- 加味帰脾湯(かみきひとう)(貧血、不眠症、精神不安 など)
- 葛根湯(かっこんとう)(感冒の初期、鼻かぜ、鼻炎 など)
安全性と受診の目安
一般に安全性は高いとされますが、体質や用量によっては胃もたれ・腹部膨満感などが出ることがあります。糖尿病などで食事管理中の方は自己判断での継続・中止を避け、専門家に相談してください。*②
- すぐ相談: 強い腹痛や下痢、蕁麻疹などが続くとき。
- 服薬中: 糖尿病で食事制限中、妊娠・授乳中、消化器疾患のある方は事前に専門家へ。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. 大棗はどんな処方でよく使われますか?
A. 胃腸を守って体力を補う系統の処方(建中湯類、補気剤)や、刺激性のある生薬を含む処方の調和役として広く配合されます。*②
Q. 食品のナツメと何が違いますか?
A. 基本は同じ果実ですが、医薬品の生薬は品質規格に適合した乾燥果実を用い、用量・配合が処方で定められています。自己判断の置き換えは避けてください。*①②