著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-08-19
はじめに
肩こりは多くの人が悩む症状ですが、慢性的に肩が凝ってる方に漢方薬は有効です。
肩こりを改善する漢方薬は多々ありますが、ポイントはどこに原因があるのか、どうして肩こりが起こっているのかを見極めることがとても大切です。
漢方では、原因となる体質(証)を見極め、それに応じた処方やセルフケアを行うことで改善を目指します。
このページは、私、堀口和彦がインタビューにお応えした内容をもとに、4つのタイプ別にわかりやすく解説したものです。
ご自分のタイプを知り、今日から実践できるセルフケアの参考にしていただけたら幸いです。
説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行
動画インタビュー
※本記事は上記インタビュー内容をもとに編集しています。
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肩こりの4つのタイプ
肩こりの主なタイプは次の4つに分類されます。
気滞タイプ(緊張型):よくあるパターンがこの緊張型です。精神的な緊張や肉体的な緊張によって起こる肩こり。
「緊張するタイプ」は、漢方では気滞(きたい)といいいます。気が滞って停滞するタイプです。ストレスや仕事での緊張感が原因で体がこわばることはよくあります。
そうなると声が裏返ることや緊張で手が震えることもありますよね。誰でも起こる現象です。
ただ、それが持続してしまい、仕事が終わり家に帰ってリラックスしたいのに、なぜか体の力が抜けないなんてこともあります。それが続いていけば、肩コリが起こってきます。
血瘀タイプ(血行不良):よくあるパターンのもう一つが、血液の循環の悪化している方です。血行が悪い、血の巡りが悪いという言葉があるように、手足などの冷えと一緒に、血液の循環が悪くなるタイプです。
湿熱タイプ(代謝低下・炎症):体の中に老廃物、疲労物質がたまっています。解毒が十分されず、蓄積して筋肉が硬くなり起こる肩こりのタイプです。
胃腸虚弱タイプ:胃腸の働きが弱くて起こる肩こりがあります。このパターンは、背中、肩甲骨の間、そして肩が張ってきます。
よく「肩がこる」「肩がこる」と言う方であっても、原因を見つけていくと、胃腸が悪くて肩こりが起こっていた方もいらっしゃいます。
簡易セルフチェックをしてみましょう。
〇緊張やストレスで悪化しやすい
→ 気滞タイプ
〇生理前後や冷えで悪化、刺すような痛みがある
→ 血瘀タイプ
〇体が重だるい・むくみ・汗がベタつく
→ 湿熱タイプ
〇食後に胃が張る/背中の張りから肩こりへ
→ 胃腸虚弱タイプ
① 気滞タイプ(緊張型)
香蘇散(こうそさん)は、のどから首筋、のどが弱い方にも良い薬です。緊張すると、声が裏返ったり、かすれたりする経験がある方によく用います。のどやリンパが弱いタイプにも効果があります。
この漢方薬には、紫蘇(しそ)が入っていて、緊張をほぐす作用があるのです。
緊張すると血圧が上がるタイプにお勧めです。
ストレスが強い方に有効です。緊張からくる肩こりによく用います。
※もしもあなたがストレスによるイライラで、漢方の力を借りたいと思っている場合は、こちらの記事も参考になると思います。
② 血瘀タイプ(血行不良)
血の循環が悪いタイプは、血瘀(けつお)と言います。悪い血が停滞しているタイプです。女性の生理や婦人科に絡むことが多いのが特徴です。
こういった方には、血の巡りをよくする漢方薬が有効になります。
よく使うのが、次の漢方薬です。
これらは、血の循環を良くする作用があります。生理痛や生理の時、特に生理前に頭痛と肩こりが一緒に来る方に有効です。
特に、生理の周期と肩こりや頭痛が絡んでくるようなタイプの方にお勧めの漢方薬です。
③ 湿熱タイプ(代謝低下・炎症)
解毒作用に課題があるケースです。こういう方はメタボ的な要素が出ていることが多いです。
例えば、コレステロール、中性脂肪、血糖値が高い方、糖尿や痛風など尿酸値が高め、血圧が高めのタイプの方が当てはまります。
漢方では、湿熱(しつねつ)と言って、体の中に水と、熱=炎症が蓄積しています。
メタボ傾向にあり、体内の老廃物や熱が外に出づらくこもっているのが特徴です。
漢方薬は、次が有効です。
新陳代謝を上げ、悪いものを排泄する働きがあります。また便通や小便を良く出す作用があり、排泄を良くし体の中を掃除する役割があります。
その結果、老廃物も取れて、肩こりも改善するというものです。
④ 胃腸虚弱タイプ
胃腸などの消化器が弱くて、肩こりになるタイプです。背中がまず張ってくることはありませんか?
そのような方は、背中から肩甲骨の間あたりから肩にかけてこってきます。頭痛になったりします。
食べると胃が張ってくる、食欲が落ちる、胃腸の症状が出てくることがあります。食後に胃が張る、背中が張ってから肩がこるのが特徴です。
安中散(あんちゅうさん)は、胃が痛い時や胃酸過多、胃炎などに使う薬です。胃の痛みだけでなく、背中の張りやこり感を取る働きもあります。
肩こりに用いるツボ
肩こりに効くツボを2つお教えします。
曲池(きょくち)
腕のひじにあるのが「曲池(きょくち)」です。ちょうどひじの折れた外側にあります。
肩の前側である「大腸経」の経絡(けいらく)上にあるツボです。
緊張して声が裏返ったりするタイプによいです。そのように緊張している時に、このツボ押すのも効果的です。
照海(しょうかい)
ヒジの内側にあるにあるのが、照海(しょうかい)です。
小腸経の経絡上ののツボで、こちらは肩の後ろの方へ行きます。首に上がっていく経絡なので、血流が悪い方に効果があります。
また、胃腸が悪いタイプの方にも使えるツボです。また循環器である心臓が悪い方などで肩コリがある方にも照海(しょうかい)は使えます。
おわりに
肩こりは体質によって、漢方薬のアプローチが変わってきます。ご自身の症状や体質に合った漢方薬を用いて、早く元気になってください。
応援しております。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。
執筆・監修:堀口和彦/編集:KanpoNow横山伸行
著者プロフィール
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