枳殻(きこく)

まずは要点

  • どんな生薬? 枳殻(きこく)は柑橘類(ダイダイ・ナツミカンなど)の成熟直前の果実を乾燥したもので、理気・健胃・通便・化痰の働きで胸腹部の張りやつかえ、腹満・便秘の改善を狙って配合されます。*①②③
  • 中身は? フラボノイド(ヘスペリジン、ナリンギン、ネオヘスペリジン、ノビレチン、シネンセチン、タンゲレチンなど)やリモノイド(ノミリン、マルミン等)、精油成分(d-リモネン等)を含みます。*②③
  • 注意点 サプリ等のビターオレンジ由来成分(p-シネフリン)との併用では循環器症状に注意し、カフェインなど刺激成分との併用は避けます。体力が乏しい方や妊娠中は専門家に相談します。*④

枳殻の基礎データ

  • 読み方: きこく
  • 基原・由来: ミカン科 Citrus aurantium L. などの成熟直前果実(日本での用法では「枳実」より成育した未熟果)。*①③
  • 主要成分: フラボノイド(ヘスペリジン、ナリンギン、ネオヘスペリジン、ノビレチン、シネンセチン、タンゲレチン等)、リモノイド(ノミリン、マルミン等)、精油成分(d-リモネン等)。*②③
  • 性味: 苦 / 微寒 帰経: 脾・胃・大腸。*①③

伝統的な使われ方

気滞による胸脇部の張りや脹満・便秘、痰のからむ停滞感のほか、食積・食滞に伴う胃部つかえの改善を目的に用いられてきました。一般に枳実より作用は穏やかとされます。*②③

この生薬を含む漢方薬例

安全性と受診の目安

体質や体調により胃腸の不快感(腹痛・下痢など)が出ることがあります。妊娠中の使用は控えるか専門家に相談します。サプリメント等でビターオレンジ由来成分を同時に摂る場合は循環器系への影響に注意します。*④

  • すぐ相談: 強い腹痛や下痢が続く、吐き気・嘔吐が増す、体調が悪化する。
  • 服薬中: 持病や他剤を併用している場合は自己判断での継続・中止を避け、専門家へ。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

Q. 枳実(きじつ)との違いは?

A. どちらも柑橘類の未熟果由来ですが、枳殻は成熟直前の果実で、一般に枳実より作用が穏やかとされます。用途は胸腹部の張り・便秘・痰の停滞などで重なりますが、方剤や体質により使い分けます。*②③

Q. どんな体質・症状に向きますか?

A. 気滞による胸や腹の張り、腹満や便秘、痰のからみなどの停滞感に向きます。胃腸が弱い方は慎重に用います。*①②③

*参考・出典

  1. イアトリズム事典「生薬:枳殻(きこく)」
  2. 漢方のきぐすり.com「枳殻(きこく)」
  3. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬データベース:枳殻」
  4. 厚生労働省 eJIM「ダイダイ(ビターオレンジ)」

堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。