竜眼肉(りゅうがんにく)
まずは要点
- どんな生薬? 竜眼肉(りゅうがんにく)はムクロジ科リュウガン(Dimocarpus longan)の仮種皮(果肉)を乾燥した生薬で、養心安神・補益心脾のはたらきが知られます。不眠・不安・動悸、健忘、倦怠の改善を狙って配合されます。*①②③
- 中身は? 糖類・多糖(ペクチン様多糖など)、アミノ酸、フラボノイドやトリテルペン微量成分を含みます。*①③
- 注意点 体質により胃部不快・のぼせ感が出ることがあります。胸痛や著しい不眠・動悸の増悪は受診を検討します。糖尿病治療中は摂取量に注意します。*③④
竜眼肉の基礎データ
- 読み方: りゅうがんにく
- 基原・由来: リュウガン(Dimocarpus longan Lour.)の仮種皮(日本薬局方収載)。*①②③
- 主要成分: 糖類・多糖、アミノ酸、微量のフラボノイド・トリテルペン等。*①③
- 性味: 甘 / 温 帰経: 心・脾。*①②③
伝統的な使われ方
心脾両虚・心血不足に伴う不眠・不安・動悸、健忘、食欲不振や倦怠などに用いられてきました。人参・当帰・酸棗仁・遠志などと配合して心脾を補い安神を図る(帰脾湯・加味帰脾湯)。*①②③
この生薬を含む漢方薬例
- 加味帰脾湯(かみきひとう)(不眠、不安、疲れなど)
- 天王補心丹(てんおうほしんたん)
安全性と受診の目安
体質や体調により胃部不快・軟便、のぼせ感などが出ることがあります。胸痛、失神に近い動悸、抑うつの増悪、長引く不眠などは医療機関へ。自己判断での長期連用は避けます。*③④
- すぐ相談: 胸痛・息切れを伴う動悸、連続する強い不眠、著しい不安・抑うつ。
- 服薬中: 持病や他剤を併用している場合は自己判断での継続・中止を避け、専門家へ。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. 帰脾湯(きひとう)での役割は?
A. 本方は心脾両虚による不眠・不安・動悸・健忘などを目標にし、竜眼肉は安神と補益の両面を担います。*①②③
Q. どんな体質・症状に向きますか?
A. 不眠・不安・物忘れ、疲れや食欲不振などの心脾両虚〜心血不足傾向に向きます。体質に応じて人参・当帰・酸棗仁・遠志などと組み合わせます。*①②③
*参考・出典
- 公益社団法人 東京生薬協会「リュウガンニク(竜眼肉)」 ①
- ツムラ「漢方ビュー|生薬辞典:竜眼肉」 ②
- 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB:竜眼肉」 ③
- MSDマニュアル家庭版(受診目安の一般情報) ④