竜胆(りゅうたん)とは?口苦や目の充血、排尿痛・頻尿、帯下に使う生薬を体質別に解説

竜胆(りゅうたん)は、リンドウ科ゲンチアナの根を乾燥した生薬です。熱と湿をさばく働き(清熱燥湿)、火をさばき毒を解する働き(瀉火解毒)、湿を排出する働き(利湿)から、口苦や目の充血、排尿痛・頻尿・帯下、皮膚の赤み・かゆみなどのケアに用いられてきました。竜胆瀉肝湯の主薬として知られる、肝胆の実熱・下焦の湿熱をさばく代表的な生薬です。KanpoNowでは、この生薬を「肝胆の熱と下焦の湿をさばく生薬」として整理します。
- 竜胆(りゅうたん)はGentiana scabra Bunge、G. triflora Pall. var. japonicaなどの根を乾燥した生薬で、日本薬局方に収載されています*①②
- 主成分はゲンチオピクロシド、スウェルチアマリン、アマログンチンなどのセコイリドイド、キサントン類などです*②③
- 漢方では、熱と湿をさばき(清熱燥湿)、火をさばき毒を解し(瀉火解毒)、湿を排出する(利湿)働きで用いられます*①②③
- 体質により胃部不快・食欲低下・下痢が出ることがあります。冷えが強い虚寒体質や妊娠中は慎重に用います
竜胆は黄芩・黄連・沢瀉・車前子・木通など他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。38.5℃以上の発熱、血尿・背部痛、陰部の激しい痛み・腫脹がある場合は自己判断で対処せず、医療機関へご相談ください。
竜胆とは
竜胆(りゅうたん)は、リンドウ科トウリンドウ(Gentiana scabra Bunge)またはその他同属植物の根および根茎を乾燥させた生薬です。『神農本草経』の上品に収載される歴史ある生薬で、日本特産の植物であり、本来は関東以西の山野に自生していました。源氏の紋所は、リンドウの花と葉を巧みに図案化したものと伝えられています。秋に根を掘り取り、水洗いして日干しにしたものが生薬の竜胆です。
漢方薬剤師の視点では、竜胆は「清熱燥湿薬(熱と湿をさばく生薬)」に分類されます。肝胆の火旺(目赤・口苦・頭痛・いらいら)や、下焦の湿熱(排尿痛・頻尿・陰部掻痒・帯下)、皮膚の紅腫・かゆみなどに用いられてきました。黄芩・黄連・沢瀉・車前子・木通などと併用して湿熱をさばく(竜胆瀉肝湯)使い方が代表的です。
基原・成分データ
竜胆の基本データを整理します。トウリンドウの根を用いること、ゲンチオピクロシドなどのセコイリドイドを含むことが、用いられ方を理解する鍵になります。

性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。竜胆は、苦く、冷やす性質(寒)で、肝・胆・膀胱に働きます。
「苦」は熱をさばく味とされます。肝胆の実熱・下焦の湿熱をさばく働きと結びつきます。
「寒」は冷やす性質で、肝胆の火旺による目赤・口苦をおだやかに冷ます方向に働きます。
肝・胆に働いて目赤・口苦・いらいらを、膀胱に働いて排尿痛・頻尿・帯下に関わります。
漢方的な働きの軸
竜胆の働きは、大きく三つの軸で整理できます。熱と湿をさばく軸、火をさばき毒を解する軸、湿を排出する軸が重なり、目赤・口苦・排尿トラブル・皮膚の赤みを整えます。
伝統的な使われ方
竜胆は古くから、清熱燥湿・瀉火解毒・利湿を目的に用いられてきました。肝胆の火旺(目赤・口苦・頭痛・いらいら)や、下焦の湿熱(排尿痛・頻尿・陰部掻痒・帯下)、皮膚の紅腫・かゆみなどのケアに用いられてきた歴史があります。竜胆は肝・胆・膀胱に入り、味の苦みから漢方医学では抗炎症薬として消化器の充血・炎症、尿道炎、リウマチなどにも応用されてきました。
黄芩・黄連・沢瀉・車前子・木通などと組み合わせて、尿痛・排尿痛・頻尿を整える処方(竜胆瀉肝湯)に配合されます。また、体力中等度で痛みがあり神経痛などを整える処方(疎経活血湯)にも用いられます。清肝散などの古典的な処方にも配合されることが知られています。他の生薬と組み合わせ、量や配合を調整して用いるのが一般的です。
形状・味・使われ方の体感
竜胆は、トウリンドウの根ならではの特徴をもつ生薬です。
細長い根の束
細長い根が束になった形をしています。茎は直立か斜め上にのび、葉は対生して柄がなく、茎を抱きこむようにつくのが特徴です。
強い苦みで寒性
味は強い苦みが特徴で、性質は寒性。「良薬口に苦し」を体現する生薬のひとつです。肝胆の火旺をおだやかに冷ます方向に働きます。
他の生薬と組み合わせて使用
黄芩・黄連・沢瀉・車前子・木通など、他の清熱薬・利水薬と組み合わせて煎じ薬に配合されるのが一般的です。
体質別の向き・不向き
竜胆は肝胆の熱と下焦の湿をさばく生薬です。目赤・口苦・排尿トラブルがあるか、逆に冷えが強い虚寒体質でないかを見極めることが大切です。
肝胆の火旺タイプ
目赤・口苦・頭痛・いらいらがみられるタイプに向きます。竜胆の中心的な使い道です。
判断ポイント:肝胆の実熱。排尿トラブル・帯下タイプ
排尿痛・頻尿・陰部掻痒・帯下のケアに用いられてきました。
判断ポイント:下焦の湿熱による淋証。皮膚の赤み・かゆみタイプ
皮膚の紅腫・かゆみには、他の清熱薬と組み合わせて用います。
判断ポイント:他の生薬と組み合わせて調整。冷えが強い虚寒体質のタイプ
冷えが強い虚寒体質や妊娠中は慎重に用います。
判断ポイント:虚寒体質・妊娠中は慎重に。安全性と受診の目安
竜胆は処方の中で用いられる清熱燥湿薬ですが、体質や体調により胃部不快・食欲低下・下痢などが出ることがあります。冷えが強い虚寒体質や妊娠中は慎重に用います。38.5℃以上の発熱、血尿・背部痛、陰部の激しい痛み・腫脹、意識障害がある場合は、自己判断で対処せず医療機関へご相談ください。持病や併用薬のある方も、事前に専門家に相談してください。
- すぐに相談:38.5℃以上の発熱、血尿・背部痛、陰部の激しい痛み・腫脹、意識障害
- 服薬中:冷えが強い虚寒体質の方、妊娠中の方、持病や他剤を併用している場合は専門家に相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
竜胆が気になる方は、かゆみ、おりものとの関係も確認すると理解が深まります。
竜胆を含む漢方薬
竜胆は、肝胆の熱・排尿トラブル・神経痛を整える処方に配合されます。竜胆の肝胆の熱と下焦の湿をさばく働きが、処方の中でどう活きるかを整理しました。
よくある質問
Q. 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)での役割は?
竜胆瀉肝湯は肝胆の湿熱や下焦の湿熱(排尿痛・頻尿・陰部掻痒・帯下など)を目標にし、竜胆が瀉火・燥湿の中核を担います。
Q. ゲンチアナ根と同じものですか?
竜胆はゲンチアナ根に代用できる生薬として知られています。中国産の「関竜胆」「雲南竜胆」「貴州竜胆」など、産地によっていくつかの系統があります。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
口苦や目の充血、いらいらなどの実熱傾向、排尿痛・頻尿・帯下などの湿熱傾向、赤み・かゆみを伴う皮膚症状に向きます。体質に応じて黄芩・黄連・沢瀉などと組み合わせます。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
竜胆は、肝胆の熱と下焦の湿をさばく生薬ですが、目赤や排尿トラブルの背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。38.5℃以上の発熱、血尿・背部痛がある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。冷えが強い虚寒体質の方、妊娠中の方は慎重に用い、症状が長引く・悪化する場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。