芍薬(しゃくやく)
まずは要点
- どんな生薬? 芍薬(シャクヤク)は、血を補い、筋のひきつりや痛みを和らげる目的で配合される代表的な生薬です。*①②
- 中身は? 主成分はモノテルペン配糖体のペオニフロリンなどです。*①②
- 注意点 長期・多量や併用により胃部不快感などが出ることがあります。体質や他剤併用によっては不向きな場合があるため、自己判断での継続・中止は避け専門家に相談してください。*②
芍薬の基礎データ
- 読み方: シャクヤク
- 基原・由来: ボタン科 Paeonia lactiflora の根(乾燥根)。日本薬局方の適合生薬です。*①②
- 主要成分: ペオニフロリン、アルビフロリン、有機酸類 ほか。*①②
- 性味: 苦・酸 / 微寒 帰経: 肝・脾。*②
伝統的な使われ方
肝血を養い、筋のひきつり(攣急)や腹痛をやわらげる目的で用いられます。月経痛、腹部の痙攣性疼痛、虚弱に伴う諸症の調整などに配合されてきました。*②
この生薬を含む漢方薬例
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)(こむらがえり、筋けいれん、疼痛 など)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)(冷え・貧血傾向、月経不順・月経痛 など)
- 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)(腹痛、下痢、腹部膨満 など)
- 桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)(腹痛、便秘 など)
- 小建中湯(しょうけんちゅうとう)(虚弱体質、腹痛、冷え など)
安全性と受診の目安
通常用量での安全性は一般に良好ですが、体質や用量により胃部不快・軟便などがみられることがあります。持病や併用薬がある方、妊娠・授乳中の方は、自己判断での継続・中止を避け、専門家に相談してください。*②
- すぐ相談: 痛み・けいれんが強く続く、出血が増える、消化器症状が長引く とき。
- 服薬中: 妊娠中・授乳中、抗凝固薬や他の生薬成分を含む製剤を併用中の方は事前に専門家へ。
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
よくある質問
Q. 芍薬と牡丹皮(ぼたんぴ)の違いは?
A. 芍薬は血を補い筋の攣急や痛みを和らげる目的で使われ、牡丹皮は瘀血に対する活血の性質が強いとされ、体質や症状に応じて使い分けます。*②
Q. どんな処方に入っていますか?
A. 芍薬甘草湯、当帰芍薬散、桂枝加芍薬湯、小建中湯など、多くの処方に配合されます。用途は処方ごとに異なります。*①②