著者:堀口和彦(東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師)|更新日:2025-08-22
はじめに
東洋医学の視点で、漢方によるダイエット方法について解説してまいります。まずは痩せない原因を探ってまいりましょう。
太ったり、なかなか体重が減らないのはなぜなのか、その原因を見極めることが漢方では大切になります。大きく分けると2つの癒せない原因があります。
〇代謝の低下
メタボリックシンドローム、メタボという言葉も耳慣れてきました。そもそもメタボリズムは「代謝」という意味です。これらは、代謝が低下し体に余分な脂肪や糖(本来は不要な老廃物)が蓄積してお腹とか体についてしまうわけです。
実際に代謝が悪くなってくると、大便や小便の出が悪くなります。当然それを上回る量を食べれば体の中に蓄積してしまいます。こうして代謝が低下することで、体重が増加し時には肥満になっていきます。
〇ホルモンの影響
もう1つはホルモンが影響している場合です。ホルモンが特に関係してくるのが、「女性ホルモン」と喉にある「甲状腺ホルモン」です。この2つのホルモンは、代謝や食欲に関係します。
摂食中枢といって、食べたいとかお腹が空くといった食欲に絡んでくる。特に女性の場合は、生理前に過食になってお腹が空いて甘いものが食べたくなったりします。チョコレートとか。
そして、生理周期によっても過食になったりします。「女性ホルモン」の影響です。
「甲状腺ホルモン」は、代謝と絡んできます。それが減ってくると、どうしても代謝機能が停滞するので、体の中に様々なものが溜まってしまいます。まさにメタボの状態になっていきます。
大元の原因がホルモンとなると、それを改善しないとただ運動して代謝を上げるだけでは体質の改善は望めません。
このように、「ダイエット」を効果的に進めるためには、代謝とホルモンが重要なキーワードになります。その辺を見極めて進める必要があります。
「痩せにくい」体質を改善するには、原因を探るのが第一のとっかかりです。上手に漢方を使って、あなたの持つ体質(証)などを見極めながら、適切な漢方処方と養生で体重を落としやすい土台を作りましょう。
説明者:堀口和彦 | インタビュー:KanpoNow 横山伸行
動画インタビュー
※本記事は上記インタビュー内容をもとに編集しています。
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ダイエットの3タイプ
具体的にタイプごとに説明していきます。
① 代謝の低下(メタボ・アレルギー)
いわゆるメタボのタイプは漢方で言うとだいたいが湿熱(しつねつ)です。体の中の水分が停滞していて、熱や炎症がある体質です。
食べたものは口から胃、腸に入り肝臓で解毒し、さらに大腸を通り排出されます。解毒代謝は肝臓で行われています。
しかし、この流れが停滞し、肝臓の解毒代謝の機能も低下して体の中に悪いものが溜まってくると、体は熱を帯びてきます。その結果、例えば大腸の炎症やアレルギーなどの炎症が起こってきます。もしあなたがアレルギー体質であるならば、このタイプを疑う余地があります。
このタイプに有効な漢方薬で有名なのが、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。このお薬は、体の中の解毒代謝を高めて老廃物など悪いものを出していく作用があります。便通をよくします。
食べる量に対して出る量が多くなれば、自然と体重は減ってきます。いわゆるメタボ体質を改善していく漢方薬として、よく使われています。
② 女性ホルモン(生理周期・ストレス)
女性ホルモンと絡んでくるパターンです。生理前になると過食になったり、逆に生理周期に重なって食欲がなくなることがあります。
これは、生理周期と特に関係が深い「血(けつ)」の影響があると考えられます。
血とは血液のことで、血が滞り停滞して体の中で淀んでいる状態を「血瘀(けつお)」といいます。一方、血が不足し貧血的な体質のタイプを「血虚(けっきょ)」と言います。
どちらのタイプでも、それに「気滞(きたい)」といって精神的なストレスや精神的な要素が加わると、このような症状が出てくると考えます。
※もしもあなたがストレスによるイライラが出ている場合は、こちらの記事も参考にしてください。→イライラの漢方|タイプ別セルフケア(堀口和彦メソッド)
複雑に絡み合う体質によく使われる漢方薬は、桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう)です。女性ホルモンの働きをスムーズにする作用があります。
便秘があって、お腹が溜まっている人には、通導散(つうどうさん)や桃核承気湯(とうかくしょうきとう)が有効です。いずれも、排便を促進させ、便秘を解消する働きがあります。
※ダイエットがうまくいかない背景には、女性特有のPMSや冷えなども関係している可能性があります。詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
→女性のつらさ(PMS/更年期/子宮内膜症/不妊/冷え)を漢方とツボでケア
③ 甲状腺ホルモン(ぽちゃぽちゃ・冷え)
こちらは、甲状腺ホルモンの低下です。甲状腺ホルモンはのどの付近から出ており、体の代謝を司っています。
それが機能低下で、このホルモンが出てこないと、ぽちゃぽちゃしむくみが出てきます。実はこのタイプは比較的多くいらっしゃいます。病院で検査をすると分かりますが、新陳代謝が悪いのであまり汗をかかないし、小便も出づらい傾向にあります。むくみやすい体質でもあります。
※一方で、甲状腺ホルモンが多くなると亢進症、いわゆるバセドウ氏病になり、汗をかいたり代謝が進み過ぎて今度は痩せてきたりするので注意が必要です。
漢方のタイプとしては、「湿痰(しったん)」に当たります。体の中に水が停滞して、熱を持たない体質から体が冷えているタイプです。ぼちゃぼちゃした体系で冷えタイプの方に多いです。
このタイプの漢方薬は、代謝を上げるのに麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)を使います。ヨクイニンという生薬が入っており、むくみを取ったり小便を出しやすくする作用があります。またマオウという咳止めにも使う生薬が、新陳代謝を上げる作用があります。
ダイエットのツボ
太谿(たいけい)

まず、代謝とか甲状腺のホルモンが低下してむくんでいるタイプの人によいツボを紹介します。腎臓に繋がってる腎経のツボで、足のくるぶしの内側にある「太谿(たいけい)」というツボです。内くるぶしの横になります。
ここは割とむくみ始めると一番最初に反応が出てくる場所です。
腎臓にも繋がっているので、水分代謝を活性化し小便を出させる作用もあります。これを指圧してあげるとむくみの改善によいです。
神門(しんもん)

もう1つは、女性ホルモンに関係する、便秘にも使うツボなんです。手の「神門(しんもん)」というツボです。
小指側の手首のところにあり、精神的に落ち着かせるような作用があります。ストレスかかって、キーキーしたり、過食に走ったり、いわゆるストレス食いしそうなったときに押してください。
食欲を抑えてくれる作用があるので、過食気味になっている時は神門(しんもん)を刺激するのはすごくいいです。
おわりに
ダイエットへの対処方法も体質によって、漢方のアプローチが様々です。ご自身の症状や体質に合った漢方薬を用いるようにお願いします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。持病や服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で服用せず、事前にご相談ください。
執筆・監修:堀口和彦/編集:KanpoNow横山伸行
著者プロフィール
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