続断(ぞくだん)とは?腰膝のだるさや外傷後のケア、不正出血に使う生薬を体質別に解説
続断(ぞくだん)は、マツムシソウ科トウナベなどの根を乾燥した生薬です。肝腎を補い経絡の通りを良くし痛みを止める働き(補肝腎・活絡止痛)や、筋骨をつなぎ経血を治め妊娠を安定させる働き(続筋接骨・固経安胎)から、肝腎不足による腰膝のだるさ・痛み、打撲や骨折など外傷後のケア、不正性器出血や妊娠中の下腹部痛のケアに用いられてきました。「断たれたものを続ける」という名の通り、筋や骨をつなぐ生薬として知られています。KanpoNowでは、この生薬を「肝腎を補い、筋骨と経血をつなぎとめる生薬」として整理します。
- 続断(ぞくだん)はマツムシソウ科トウナベ(Dipsacus asperoides)などの根を乾燥した生薬で、日本では主にキク科ノアザミの根(和続断)も用いられます*①②
- 主成分の詳細情報は限定的で、アルカロイド等が含まれるとされています*②③
- 漢方では、肝腎を補い経絡の通りを良くし痛みを止め(補肝腎・活絡止痛)、筋骨をつなぎ経血を治め妊娠を安定させる(続筋接骨・固経安胎)働きで用いられます*①②③
- 妊娠中に用いる場合は自己判断を避け、専門家の指導のもとで用いることが大切です
続断は杜仲・牛膝・防風など他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。強い出血が続く、外傷後の痛みが急激に悪化する場合は自己判断で対処せず、専門家へご相談ください。
続断とは
続断(ぞくだん)は、マツムシソウ科トウナベ(Dipsacus asperoides C.Y. Cheng et T.M. Ai)やナベナの根を乾燥させた生薬です。『神農本草経』の上品に収載される歴史ある生薬で、大きくて堅い宿根が良く、色は赤く瘠せており、折ると烟塵の発するものが良品とされます。続断は原植物に混乱の多い生薬としても知られ、中国ではマツムシソウ科のナベナやトウナベ(川続断)、日本では主にキク科ノアザミの根(和続断)が用いられるなど、地域によって基原植物が異なります。
漢方薬剤師の視点では、続断は陽虚を改善する助陽薬に分類され、鹿茸・杜仲・菟絲子などと同じ仲間に位置づけられます。骨折や打撲など外傷を治すという意味から「続断(断たれたものを続ける)」の名がつき、筋骨を接続する要薬として知られます。似た働きをもつ杜仲とはよく比較され、杜仲は補益に優れ強筋骨に働き腎虚腰痛にもっとも有効とされる一方、続断は通脈に優れ、跌打損傷(打撲による損傷)に対する接続筋骨の要薬とされます。
基原・成分データ
続断の基本データを整理します。マツムシソウ科植物の根を用いること、地域によって基原植物が異なることが、用いられ方を理解する鍵になります。
性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。続断は、苦く甘く辛く、やや温める性質(微温)で、肝・腎に働きます。
「苦」は活血し痛みを止める味、「甘」は補い養う味、「辛」はめぐらせる味とされます。肝腎を補いながら経絡をめぐらせる働きと結びつきます。
「微温」はおだやかに温める性質で、冷えを伴う肝腎不足や外傷後の回復を、温めながら支える方向に働きます。
肝に働いて筋を、腎に働いて骨を養い、腰膝のだるさ・痛みや外傷後の回復、妊娠の安定に関わります。
漢方的な働きの軸
続断の働きは、大きく二つの軸で整理できます。肝腎を補い痛みを止める軸、筋骨と経血をつなぎとめる軸が重なり、腰膝の痛み・外傷後の回復・妊娠の安定を整えます。
伝統的な使われ方
続断は古くから、補肝腎・活絡止痛・続筋接骨・固経安胎を目的に用いられてきました。肝腎不足による腰膝のだるさ・痛み・下肢無力、風寒湿痺による関節のこわばり・しびれ、打撲・捻挫・骨折などの外傷、不正性器出血や妊娠中の下腹部痛・性器出血などのケアに用いられてきた歴史があります。続断は肝・腎に入り、通脈に優れ、跌打損傷に対する接続筋骨の要薬とされています。
杜仲・牛膝などと組み合わせて、肝腎不足による腰膝のだるさ・下肢無力を整える処方(続断丸)、防風・烏頭などと組み合わせて風寒湿痺による関節痛・こわばりを整える処方に配合されます。また、菟絲子・阿膠などと組み合わせて妊娠中の不安定さを整える処方(寿胎丸)にも用いられます。他の生薬と組み合わせ、量や配合を調整して用いるのが一般的です。
形状・味・使われ方の体感
続断は、マツムシソウ科植物の根ならではの特徴をもつ生薬です。
赤みを帯びた瘠せた根
大きくて堅い宿根が良品とされ、色は赤く瘠せています。折ると烟塵(粉のようなもの)が発するものが良品とされます。
独特の香りと苦み
香りは独特ですが強くはなく、味は苦みが中心です。微温性で、おだやかに温める方向に働きます。
煎じ薬や外用に
主に煎じて用いるほか、粉末にして湿布のように外用でも使われてきました。他の生薬と組み合わせて配合されることが多い生薬です。
体質別の向き・不向き
続断は肝腎を補いながら筋骨と経血をつなぎとめる生薬です。肝腎不足・外傷後の回復期にあるか、逆に妊娠中で自己判断が難しくないかを見極めることが大切です。
肝腎不足による腰膝酸痛タイプ
腰や膝のだるさ・痛み、下肢無力がみられるタイプに向きます。続断の中心的な使い道です。
判断ポイント:肝腎不足の腰膝酸痛。外傷後の回復期タイプ
打撲・捻挫・骨折など外傷後の回復のケアに用いられてきました。
判断ポイント:外傷後の接続筋骨。風寒湿痺のこわばりタイプ
関節のこわばり・しびれには、防風や烏頭など他の生薬と組み合わせて用います。
判断ポイント:他の生薬と組み合わせて調整。妊娠中の自己判断使用タイプ
不正性器出血や妊娠中の下腹部痛に用いられることがありますが、自己判断は避け、専門家の指導のもとで用いてください。
判断ポイント:妊娠中は自己判断を避ける。安全性と受診の目安
続断は処方の中で用いられる補肝腎薬ですが、妊娠中に用いる場合は自己判断を避け、専門家の指導のもとで用いることが大切です。強い出血が続く、外傷後の痛みが急激に悪化する、意識障害を伴う打撲がある場合は、自己判断で対処せず医療機関へご相談ください。持病や併用薬のある方も、事前に専門家に相談してください。
- すぐに相談:強い出血が続く、外傷後の痛みが急激に悪化する、意識障害を伴う打撲
- 服薬中:妊娠中の方、持病や他剤を併用している場合は専門家に相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
続断が気になる方は、膝痛、しびれ、生理不順との関係も確認すると理解が深まります。
続断を含む漢方薬
続断は、肝腎不足・外傷後の回復・妊娠中の不安定さを整える処方に配合されます。続断のつなぎとめる働きが、処方の中でどう活きるかを整理しました。
※お使いの製品にどの生薬が含まれるかは、製品の添付文書・成分表示をご確認ください。処方の選択や併用については、薬剤師・登録販売者など専門家にご相談ください。
よくある質問
Q. 杜仲との違いは?
続断と杜仲はどちらも補肝腎・安胎の効能をもち、腰痛脚弱・胎動不安などに用いられます。杜仲は補益に優れ強筋骨に働き、腎虚腰痛・筋骨無力にもっとも有効とされる一方、続断は通脈に優れ、打撲による損傷に対する接続筋骨の要薬とされ、使い分けられます。
Q. 続断という名前の由来は?
骨折や打撲など、断たれたものをつなぐという意味から「続断」の名がつけられました。同じような働きをもつ生薬にも同様の名前がついていることがあり、外傷の治療に用いられてきた歴史を反映しています。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
肝腎不足による腰膝のだるさ・痛み、外傷後の回復期、不正性器出血や妊娠中の下腹部痛のタイプに向きます。妊娠中の使用は自己判断を避け、専門家の指導のもとで用いてください。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
続断は、肝腎を補い筋骨と経血をつなぎとめる生薬ですが、腰膝の痛みや不調の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。強い出血が続く、外傷後の痛みが急激に悪化する場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。妊娠中の方は自己判断を避け、症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。