竹節人参(ちくせつにんじん)とは?痰の多い咳や打撲、食欲不振に使う生薬を体質別に解説
竹節人参(ちくせつにんじん)は、ウコギ科トチバニンジンの根茎を湯通しして乾燥した生薬です。解熱し痰と咳をさばく働きや、瘀血をめぐらせ出血を止める働き、胃腸を健やかにする働きから、痰の多い咳や発熱、打撲による腫れ、吐血・下血、食欲不振などのケアに用いられてきました。竹の節のような形をした根茎が名前の由来で、オタネニンジン(高麗人参)とは同属別種の日本特産の生薬です。KanpoNowでは、この生薬を「熱と痰をさばき、瘀血と胃腸を整える生薬」として整理します。
- 竹節人参(ちくせつにんじん)はウコギ科トチバニンジン(Panax japonicus C.A.Meyer)の根茎を湯通しして乾燥した生薬で、日本薬局方に人参の代用品として収載されています*①②
- 主成分はギンセノサイド類に類似したサポニン(chikusetsusaponin等)です*②
- 漢方では、解熱し痰と咳をさばき、瘀血をめぐらせ出血を止め、胃腸を健やかにする働きで用いられます*①②③
- 新陳代謝を高める力はオタネニンジンより穏やかとされ、解熱・去痰の力が優れているとされます
竹節人参は当帰・川芎など他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。高熱が続く、血を吐く・下血が続く場合は自己判断で対処せず、医療機関へご相談ください。
竹節人参とは
竹節人参(ちくせつにんじん)は、ウコギ科トチバニンジン(Panax japonicus C.A.Meyer、別名チクセツニンジン)の根茎を、秋に地上部が枯れたあと掘り上げ、湯通ししてから天日で乾燥させた生薬です。地下の根茎が1年ごとに1節ずつ増え、その形が竹の節に似ることから「竹節人参」の名がつきました。江戸時代初期の寛永年間に、薩摩に漂着した中国人・何欽吉(かきんきち)がこれを発見し、医療に用い始めたのが日本での利用の始まりとされています。
漢方薬剤師の視点では、竹節人参はオタネニンジン(人参)と同属別種でありながら、薬用部位が根ではなく根茎である点、また性味が微温でオタネニンジンよりやや涼性寄りである点が異なります。中国の本草書には記載のない生薬で、日本では民間的に止咳・化痰・散瘀・活血薬として利用されてきましたが、近年の中国医学的解釈では甘苦・温で肝・脾経に入るとされます。新陳代謝を高める力はオタネニンジンに劣るとされる一方、解熱・去痰の力は優れているとされ、体を温めながら痰の多い寒性の咳によいとされています。
基原・成分データ
竹節人参の基本データを整理します。トチバニンジンの根茎を用いること、オタネニンジンとは薬用部位が異なることが、用いられ方を理解する鍵になります。
性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。竹節人参は、甘く苦く、温める性質で、肝・脾に働きます。
「甘」は補い養う味、「苦」は熱をさばき瘀血をめぐらせる味とされます。胃腸を健やかにしながら熱と痰をさばく働きと結びつきます。
「温」は温める性質で、痰が多く寒いときに出る咳を、体を温めながらやわらげる方向に働きます。
肝に働いて瘀血をめぐらせ出血を止め、脾に働いて胃腸を健やかにし、咳・打撲・食欲不振に関わります。
漢方的な働きの軸
竹節人参の働きは、大きく二つの軸で整理できます。熱と痰をさばく軸、瘀血と胃腸を整える軸が重なり、咳・打撲・食欲不振を整えます。
伝統的な使われ方
竹節人参は古くから、解熱・去痰止咳・散瘀止血・健胃を目的に用いられてきました。痰の多い寒性の咳、発熱、打撲による腫れ・痛み、吐血・下血、食欲不振・胃腸虚弱などのケアに用いられてきた歴史があります。竹節人参は肝・脾に入り、新陳代謝を高める力はオタネニンジンより穏やかですが、解熱・去痰・健胃の力に優れているのが特徴です。
日本では育毛剤や健胃薬など、身近な製品にも配合されてきました。伝統的には当帰・川芎など活血の生薬と組み合わせて打撲や瘀血の腫れを整え、白朮・茯苓など健脾の生薬と組み合わせて胃腸の調子を整える目的でも用いられます。オタネニンジンの代用品として用いられることもありますが、両者は薬用部位・性質が異なるため、目的に応じて使い分けられます。
形状・味・使われ方の体感
竹節人参は、竹の節のような根茎ならではの特徴をもつ生薬です。
竹の節状の根茎
横に走る根茎に竹節状の結節が連なる、特徴的な形をしています。よく肥大し充実したものが良品とされます。
甘みと苦みが中心
味は甘みと苦みがあり、温性。体を温めながら、痰と熱をおだやかにさばく方向に働きます。
他の生薬と組み合わせて使用
当帰・川芎など活血の生薬、白朮・茯苓など健脾の生薬と組み合わせて煎じ薬に配合されるのが一般的です。
体質別の向き・不向き
竹節人参は熱と痰をさばきながら瘀血と胃腸を整える生薬です。痰の多い咳・打撲・食欲不振があるか、逆に強壮目的での安易な代用でないかを見極めることが大切です。
痰の多い寒性の咳タイプ
体が冷えて痰が多いときに出る咳がみられるタイプに向きます。竹節人参の中心的な使い道です。
判断ポイント:寒性で痰の多い咳。打撲・瘀血の腫れタイプ
打撲による腫れ・痛みのケアに用いられてきました。
判断ポイント:瘀血による腫れ・痛み。胃腸虚弱の健胃目的タイプ
食欲不振・胃腸虚弱には健胃目的で用いられますが、オタネニンジンより作用は穏やかとされます。
判断ポイント:穏やかな健胃目的。強壮目的の安易な代用タイプ
オタネニンジンの代用として安易に強壮目的だけで用いるのではなく、体質や症状に応じた見極めが必要です。
判断ポイント:目的に応じた使い分けが必要。安全性と受診の目安
竹節人参は民間的に利用されてきた生薬で、体質や体調によりまれに胃部不快が出ることがあります。高熱が続く、血を吐く・下血が続く、打撲後の腫れが急激に悪化する場合は、自己判断で対処せず医療機関へご相談ください。持病や併用薬のある方も、事前に専門家に相談してください。
- すぐに相談:高熱が続く、血を吐く・下血が続く、打撲後の腫れが急激に悪化する
- 服薬中:持病や他剤を併用している場合は自己判断での継続・中止を避け、専門家へ相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
竹節人参が気になる方は、咳・喘息、食欲不振との関係も確認すると理解が深まります。
竹節人参を含む漢方薬
竹節人参は、咳・打撲・食欲不振を整える目的で配合されることが知られる生薬です。竹節人参の熱と痰をさばく働きが、製品の中でどう活きるかを整理しました。
※お使いの製品にどの生薬が含まれるかは、製品の添付文書・成分表示をご確認ください。処方の選択や併用については、薬剤師・登録販売者など専門家にご相談ください。
よくある質問
Q. オタネニンジン(人参)との違いは?
同属別種の植物で、オタネニンジンは根を、竹節人参は竹の節のような根茎を薬用部位とします。新陳代謝を高める力は竹節人参のほうが穏やかですが、解熱・去痰の力は竹節人参が優れているとされます。
Q. 日本で使われるようになった経緯は?
江戸時代初期の寛永年間、薩摩に漂着した中国人・何欽吉(かきんきち)が竹節人参を発見し、医療に用い始めたのが始まりとされています。日本各地の山地に自生する、日本特産の生薬として知られています。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
痰の多い寒性の咳、発熱、打撲による腫れ、吐血・下血、食欲不振などのタイプに向きます。オタネニンジンの代用として安易に強壮目的だけで用いるのではなく、体質に応じた見極めが必要です。
参考・出典
自分に合う漢方薬を知りたい方へ
竹節人参は、熱と痰をさばき瘀血と胃腸を整える生薬ですが、咳や不調の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。高熱が続く、血を吐く・下血が続く場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。