決明子(けつめいし)とは?目の充血・かすみ・頭痛や便秘に使う生薬を体質別に解説
決明子(けつめいし)は、エビスグサの種子を乾燥した生薬です。肝の熱をさまし目をすっきりさせる働き(清肝明目)や、腸を潤し便通を促す働き(潤腸通便)から、目の充血・かすみ・頭痛、便秘などのケアに用いられてきました。「視力を回復させる」という意味から「決明」の名がついたとされ、ハブ茶としても健康茶に親しまれている生薬です。KanpoNowでは、この生薬を「目をすっきりさせ、腸を潤す生薬」として整理します。
- 決明子(けつめいし)はマメ科エビスグサ(Cassia obtusifolia L.)またはCassia tora L.の種子を乾燥した生薬で、日本薬局方に収載されています*①②
- 主成分はアントラキノン誘導体(クリソファノール、エモジン、オブツシフォリンなど)です*②
- 漢方では、肝の熱をさまし目をすっきりさせ(清肝明目)、腸を潤し便通を促す(潤腸通便)働きで用いられます*①②③
- 瀉下作用は大黄やセンナ葉ほど強くはなく、炒ったり焙じたりすることでさらに弱くなるとされています
決明子は当帰・川芎・芍薬・地黄や連翹・薄荷・菊花など他の生薬と組み合わせて用いられることが多い生薬です。視力の急激な低下、激しい腹痛を伴う下痢、血便がある場合は自己判断で対処せず、医療機関へご相談ください。
決明子とは
決明子(けつめいし)は、マメ科エビスグサ(Cassia obtusifolia L.)またはコエビスグサ(Cassia tora L.)の種子を乾燥させた生薬です。『神農本草経』の上品に収載される歴史ある生薬で、エビスグサとは「異国から日本に渡来した草」を意味します。北アメリカ原産のマメ科の一年草で、黄色い花を咲かせ、サヤが褐色に熟した頃に種子を採取したものが生薬の決明子です。市販の「ハブ茶」は、このエビスグサとコエビスグサの種子を乾燥させ炒ったものを煮出した健康茶として広く親しまれています。
漢方薬剤師の視点では、決明子は「清肝明目薬(肝の熱をさまし目をすっきりさせる生薬)」に分類されます。眼科の常備薬として、目の炎症や充血を除く働きがあり、視力を回復させることから「決明(目を明らかにする)」と名付けられたと伝えられています。また、腸が乾燥することによる便秘にも用いられ、民間では整腸薬・弱い緩下薬としても利用されています。瀉下活性成分はアントラキノン誘導体と考えられていますが、大黄やセンナ葉に含まれるセンノシドほど強くはなく、炒ったり焙じたりすることで瀉下作用はさらに弱くなると考えられています。
基原・成分データ
決明子の基本データを整理します。エビスグサの種子を用いること、アントラキノン誘導体を含むことが、用いられ方を理解する鍵になります。
性味・帰経でみる性質
漢方では、生薬の性質を「性味(せいみ)」と「帰経(きけい)」で捉えます。性味は味と温度の傾向、帰経は主にどの臓腑に働きかけるかを示します。決明子は、甘く苦く、やや冷やす性質(微寒)で、肝・大腸に働きます。
「苦」は熱をさばく味、「甘」はやわらげる味とされます。肝の熱をさまし目をすっきりさせる働きと結びつきます。
「微寒」はやや涼〜寒寄りの性質で、目の充血・炎症をおだやかに冷ます方向に働きます。
肝に働いて目の充血・かすみを、大腸に働いて便秘に関わります。
漢方的な働きの軸
決明子の働きは、大きく二つの軸で整理できます。肝の熱をさまし目をすっきりさせる軸、腸を潤し便通を促す軸が重なり、目の充血・便秘を整えます。
伝統的な使われ方
決明子は古くから、清肝明目・潤腸通便を目的に用いられてきました。眼科の常備薬として、目の炎症や充血を除く働きがあり、腸が乾燥することによる便秘のケアにも用いられてきた歴史があります。決明子は肝・大腸に入り、視力を回復させることから「決明」と名付けられたと伝えられています。民間では整腸薬・弱い緩下薬としても利用され、ハブ茶として健康茶に親しまれています。
当帰・川芎・芍薬・地黄などと組み合わせて、目の充血・目の痛み・目の乾燥を整える処方(洗肝明目湯)に配合されます。連翹・薄荷・菊花などとともに、頭や目の熱を冷ます働きが期待されます。他の生薬と組み合わせ、量や配合を調整して用いるのが一般的です。
形状・味・使われ方の体感
決明子は、エビスグサの種子ならではの特徴をもつ生薬です。
4稜性円柱形〜円柱形の種子
4稜性円柱形〜円柱形の種子で、光沢のある褐色をしています。サヤが褐色に熟した頃に種子を採取したものが生薬として用いられます。
甘みと苦みで微寒性
味は甘みと苦みがあり、性質は微寒。目の充血・炎症をおだやかに冷ます方向に働きます。炒ったり焙じたりすることで香ばしくなり、ハブ茶として親しまれます。
他の生薬と組み合わせて使用
当帰・川芎・芍薬・地黄や連翹・薄荷・菊花など、他の補血薬・清熱薬と組み合わせて煎じ薬に配合されるのが一般的です。健康茶としても単独で親しまれます。
体質別の向き・不向き
決明子は目をすっきりさせ腸を潤す生薬です。目の充血・便秘があるか、逆に下痢傾向や冷え体質でないかを見極めることが大切です。
目の充血・かすみタイプ
目の炎症や充血、かすみがみられるタイプに向きます。決明子の中心的な使い道です。
判断ポイント:清肝明目の働き。便秘タイプ
腸が乾燥することによる便秘のケアに用いられてきました。
判断ポイント:潤腸通便の働き。頭痛を伴うタイプ
頭や目の熱を冷ます働きから、頭痛を伴う場合には他の清熱薬と組み合わせて用います。
判断ポイント:他の生薬と組み合わせて調整。下痢傾向・冷え体質のタイプ
下痢傾向のある方、冷え体質の方は、自己判断での多量摂取を避けてください。
判断ポイント:下痢傾向・冷え体質には注意。安全性と受診の目安
決明子は処方の中で用いられる清肝明目薬ですが、瀉下作用は大黄やセンナ葉ほど強くはなく、炒ったり焙じたりすることでさらに弱くなるとされています。視力の急激な低下、激しい腹痛を伴う下痢、血便がある場合は、自己判断で対処せず医療機関へご相談ください。持病や併用薬のある方も、事前に専門家に相談してください。
- すぐに相談:視力の急激な低下、激しい腹痛を伴う下痢、血便
- 服薬中:下痢傾向のある方、持病や他剤を併用している場合は専門家に相談する
※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。
症状から理解を深める
決明子が気になる方は、頭痛、便秘との関係も確認すると理解が深まります。
決明子を含む漢方薬
決明子は、目の充血・頭痛・便秘を整える処方に配合されます。決明子の目をすっきりさせ腸を潤す働きが、処方の中でどう活きるかを整理しました。
よくある質問
Q. ハブ茶と生薬の決明子は同じですか?
市販の「ハブ茶」は、エビスグサとコエビスグサの種子を乾燥させ炒ったものを煮出した健康茶で、生薬名は決明子です。健康茶として飲まれる場合と、医薬品の品質規格に適合した生薬としての決明子とでは用途が異なります。
Q. なぜ「決明」という名前がついたのですか?
視力を回復させることから「決明(目を明らかにする)」と名付けられたと伝えられています。眼科の常備薬として、目の炎症や充血を除く働きが古くから知られてきました。
Q. どんな体質・症状に向きますか?
目の炎症や充血、かすみ、頭痛、腸の乾燥による便秘のタイプに向きます。瀉下作用は大黄やセンナ葉ほど強くはありません。
参考・出典
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決明子は、目をすっきりさせ腸を潤す生薬ですが、目の充血や便秘の背景は人によって異なり、向く漢方薬も変わります。自分の体質にどんな処方が合うのかを知りたい方は、AI漢方診断をご利用ください。

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AI漢方診断をする免責:本ページは生薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療・服薬指示を行うものではありません。視力の急激な低下、激しい腹痛を伴う下痢、血便がある場合は、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が長引く・悪化する場合、基礎疾患がある場合、他のお薬を服用中の場合も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。