車前子（しゃぜんし）

まずは要点

• どんな生薬？ 車前子（しゃぜんし）はオオバコ科オオバコ（Plantago asiatica）やヘラオオバコ（P. lanceolata）の種子を乾燥した生薬で、清熱利湿・通淋、清肝明目、清肺化痰止咳のはたらきが知られます。排尿痛・頻尿・尿の濁り、むくみ、目の充血やかゆみ、咳・痰の改善を狙って配合されます。*①②③
• 中身は？ イリドイド配糖体（アウクビン等）、多糖・粘質物、脂肪油、フラボノイドなどを含みます。*②③
• 注意点 体質により軟便・下痢や口渇（利尿による）を感じることがあります。血尿や高熱を伴う排尿痛は受診を検討します。妊娠中は専門家に相談します。*②④

車前子の基礎データ

• 読み方： しゃぜんし
• 基原・由来： Plantago asiatica L. ほかの成熟種子（日本薬局方収載）。*①②
• 主要成分： アウクビン等のイリドイド配糖体、多糖・粘質物、脂肪油、フラボノイド。*②③
• 性味： 甘 / 微寒　帰経： 肝・腎・肺・小腸。*①③

伝統的な使われ方

下焦の湿熱による排尿痛・頻尿・尿の濁り、水湿停滞のむくみ、風熱による目赤・かゆみ、肺熱の咳・痰などに用いられてきました。木通・滑石・黄柏と併用して通淋清熱を図る（八正散）、竜胆・黄芩・沢瀉と配合して肝胆・下焦の湿熱をさばきます（竜胆瀉肝湯）。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

• 牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）（肩こり、頭重、耳鳴りなど）
• 五淋散（ごりんさん）（排尿痛、頻尿、残尿感など）
• 竜胆瀉肝湯（りゅうたんしゃかんとう）（排尿痛、おりもの、頻尿残尿感など）
• 清心蓮子飲（せいしんれいしんいん）（排尿痛、頻尿、残尿感など）

安全性と受診の目安

体質や体調により口渇・めまい・軟便などが出ることがあります。高熱、背部痛や血尿、排尿時の激痛、急なむくみの増悪などは医療機関へ。自己判断での長期連用は避けます。*②④

• すぐ相談： 38.5℃以上の発熱、背部痛（腎盂炎の疑い）、血尿や排尿困難、全身の急なむくみ。
• 服薬中： 持病や他剤を併用している場合は自己判断での継続・中止を避け、専門家へ。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

*参考・出典

1. 公益社団法人 東京生薬協会「シャゼンシ（車前子）」 ①
2. ツムラ「漢方ビュー｜生薬辞典：車前子」 ②
3. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB：車前子」 ③
4. MSDマニュアル家庭版（受診目安の一般情報） ④