桃仁（とうにん）

まずは要点

• どんな生薬？ 桃仁（とうにん）はモモ（Prunus persica）の成熟種子（仁）を乾燥した生薬で、活血化瘀・潤腸通便・消癰のはたらきが知られます。瘀血による痛み・月経トラブル、便秘やしこりの改善を狙って配合されます。*①②③
• 中身は？ アミグダリン（cyanogenic glycoside）、脂肪油（オレイン酸等）、タンニンなどを含みます。*②③
• 注意点 過量では悪心・嘔吐など消化器症状のほか、アミグダリン由来の作用に注意が必要です。妊娠中・出血傾向のある場合は使用を避けるか専門家に相談します。*②④

桃仁の基礎データ

• 読み方： とうにん
• 基原・由来： モモ（Prunus persica (L.) Batsch）の成熟種子。日本薬局方に収載。*①②
• 主要成分： アミグダリン、脂肪油（オレイン酸など）、タンニン類。*②③
• 性味： 苦・甘 / 平　帰経： 心・肝・大腸。*①③

伝統的な使われ方

瘀血による月経痛・月経不順、産後の瘀血停滞、外傷後の疼痛、しこりの消退促進などに用いられてきました。潤腸通便のはたらきから乾燥傾向の便秘に応用されることもあります。*①②③

この生薬を含む漢方薬例

• 芎帰調血飲第一加減（きゅうきちょうけついんだいいちかげん）（月経不順など）
• 桂枝茯苓丸料（けいしぶくりょうがんりょう）（月経痛、月経不順、下腹部痛など）
• 潤腸湯（じゅんちょうとう）（肩こり、便秘、のぼせなど）
• 折衝飲（せっしょういん）（月経痛、月経不順、月経困難など）
• 疎経活血湯（そけいかっけつとう）（腰痛など）

安全性と受診の目安

体質や体調により腹痛・下痢・めまいなどが出ることがあります。出血や強い腹痛が続く場合、妊娠の可能性がある場合は医療機関へ。自己判断での長期連用は避けます。*②④

• すぐ相談： 大量出血、激しい腹痛、意識障害や強いめまいが出現。
• 服薬中： 持病や他剤を併用している場合は自己判断での継続・中止を避け、専門家へ。

※このページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療の決定には医療専門家の判断が必要です。

よくある質問

*参考・出典

1. 公益社団法人 東京生薬協会「トウニン（桃仁）」 ①
2. ツムラ「漢方ビュー｜生薬辞典：桃仁」 ②
3. 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬DB：桃仁」 ③
4. MSDマニュアル家庭版（受診目安の一般情報） ④