腸癰湯(ちょうようとう)

腸癰湯(ちょうようとう)は、『金匱要略』の「腸癰(ちょうよう)」、すなわち下腹部の腫れや痛み、炎症を伴う状態を整えるための処方です。強い下剤などを用いず、体に負担を抑えながら、内部にこもった「湿・熱・血の滞り」を穏やかに外へ導き出し、自然な回復へとつなげるのが特徴です。

成分(生薬)

薏苡仁、冬瓜子、桃仁、牡丹皮

漢方的な考え方

古典では、下腹部を按(おさ)えると痛む状態を、内部に「膿(のう)」や「血の滞り」が溜まっているサインと捉えます。これらを「排膿(はいのう)・消腫(しょうしゅ:腫れを引かせる)・活血(かっけつ:血を巡らせる)」という三つのアプローチで内側から整理し、不快な圧痛や違和感を取り除きます。

  • 下腹部・盲腸部の痛み: 局所に湿気や血の停滞が集まり、腫れや圧痛(押すと痛む)が生じている初期から慢性の状態。
  • 慢性的な下腹部の違和感: 急な痛みが落ち着いた後も、内部にこもったものが残り、重だるさや不快な感覚が続いている状態。
  • 血の巡りによる痛み: 骨盤内の「血(けつ)」の巡りが悪いために、月経時や日常的に下腹部が痛みやすい状態。

構成生薬の役割

  • 膿や腫れを外へ導く: 薏苡仁(よくいにん:ハトムギ)と冬瓜子(とうがし)が、組織の余分な湿気や「こもったもの」を外へ排出し、腫れを和らげます。
  • 血の滞りをほどいて流す: 桃仁(とうにん)と牡丹皮(ぼたんぴ)が、痛みの原因となる古い血の停滞(瘀血)を崩して、スムーズな循環へと導きます。
  • 内側から清めて整える: これら四味の生薬がシンプルに連携し、炎症性の「停滞」をほどくことで、慢性化した不快な痛みやこわばりを内側から整理します。

効能・効果(添付文書)

盲腸部に急性又は慢性の痛みがあるもの、あるいは月経痛のあるもの。

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堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。