腹痛に漢方|ストレス腹痛・冷え腹痛・生理前の下腹部痛を体質別に考える
監修:堀口和彦|更新日:2026-06-25
冷たいものを食べるとお腹が痛くなる。緊張すると腹痛が出てトイレに駆け込む。生理前に下腹部が刺すように痛む。疲れるとシクシク痛む。
腹痛は、胃腸だけでなく、ストレス、自律神経、冷え、血流、便通、月経周期、食事、水分代謝などが重なって起こります。漢方では、痛みの場所だけでなく、張る痛みなのか、刺す痛みなのか、冷える痛みなのか、差し込む痛みなのかを見ます。
同じ腹痛でも、ストレスで張る気滞タイプ、冷えると痛む陽虚タイプ、疲れると差し込む気虚・血虚タイプ、生理前や下腹部に固定して痛む血瘀タイプ、胃もたれや下痢を伴う湿痰・湿熱タイプでは、合う漢方薬も養生も変わります。
KanpoNowの診断データでは、腹痛を訴える方の体質は、気滞が最も多く、次いで気虚、湿痰、血瘀、血虚が続きました。つまり、腹痛対策では「ストレスによる気の滞り」と「胃腸の弱り」を中心に見ることが重要です。
KanpoNow診断データで見る腹痛の傾向
7,581件
KanpoNowで行われたAI漢方診断の件数です。
197件・3%
症状ランキングでは30位でした。
女性92%・平均43歳
40代31%、50代29%でした。
40代・50代が中心
仕事、家庭、ストレス、月経・更年期、胃腸の弱りが重なりやすい年代です。
気滞 30%
ストレスや緊張で気が滞り、張る痛み、腹鳴、おなら、過敏性腸症候群様の腹痛につながりやすい体質です。
気虚 21%
胃腸を動かす力が不足し、疲れると腹痛が出る、食後にだるい、虚弱な腹痛につながりやすい体質です。
湿痰 13%
水分代謝や消化が滞り、胃もたれ、腹部膨満、下痢、重だるさを伴う腹痛につながりやすい体質です。
血瘀12%・血虚6%
下腹部の固定痛、月経痛、差し込む痛み、疲労や栄養不足を伴う腹痛に関係することがあります。
目次
腹痛とは
腹痛とは、みぞおち、へそ周り、下腹部、脇腹などに痛みを感じる状態です。胃腸の不調だけでなく、胆のう、膵臓、腎臓、泌尿器、婦人科疾患、血管疾患などが関係することもあります。
漢方では、腹痛を「張る」「刺す」「冷える」「差し込む」「シクシクする」「押すと痛い」「温めると楽」などの痛み方から整理します。ただし、強い腹痛、急な腹痛、発熱、嘔吐、血便、黒色便、妊娠の可能性がある場合などは、体質の問題と決めつけず医療機関で確認してください。*①
腹痛は、急ぎの判断が必要なことがあります。
漢方は、慢性的・反復性の腹痛や、冷え・ストレス・胃腸虚弱と関係する腹痛を体質から整える考え方です。急性の強い痛みや危険なサインがある場合は、受診を優先してください。
なぜ腹痛が起こるのか
漢方では、腹痛を「気の滞り」「冷え」「血の滞り」「水分や食べ物の停滞」から見ます。腸はストレスや冷えの影響を受けやすく、気血水の巡りが止まると痛みが出やすくなります。
ストレスで腸が緊張し、ガスや内容物が停滞すると、張る痛み、腹鳴、おなら、下痢や便秘につながります。
お腹が冷えると、胃腸の動きが鈍り、差し込む痛み、下痢、腹部膨満感が起こりやすくなります。
骨盤内で血が滞ると、下腹部の固定痛、月経痛、押すと痛い腹痛、便秘を伴う痛みにつながります。
腹痛では、痛みの場所だけでなく、冷え、ストレス、便通、月経周期、食事、水分摂取、発熱、吐き気、血便の有無を確認します。
漢方では「気・冷え・血・水」から見る
漢方では、腹部は気血水の巡りが現れやすい場所です。気が滞れば張って痛み、冷えれば差し込むように痛み、血が滞れば刺すように痛み、水や食べ物が停滞すれば重く張る痛みになります。
気滞
緊張すると痛む、ガス、腹鳴、おなら、下痢や便秘があるタイプです。
気虚・血虚
疲れると痛む、シクシク痛む、差し込むように痛む、体力がないタイプです。
湿痰
胃もたれ、吐き気、腹部膨満、下痢、重だるさを伴うタイプです。
血瘀
刺す痛み、押すと痛い、月経痛、便秘、経血の塊を伴うタイプです。
腹痛を体質別に見る
腹痛では、気滞、気虚、湿痰が中心になりやすく、下腹部の固定痛では血瘀、差し込む痛みでは血虚、冷えると痛い場合は陽虚、炎症や粘血便を伴う場合は湿熱も確認します。
気滞
張る痛み、腹鳴、おなら、緊張で悪化するタイプです。
気虚
疲れると痛む、食後にだるい、少食、下痢しやすいタイプです。
湿痰
胃もたれ、吐き気、腹部膨満感、下痢、重だるさを伴うタイプです。
血瘀
下腹部の固定痛、刺す痛み、月経痛、便秘を伴うタイプです。
血虚
差し込むような痛み、筋肉や腸管の引きつり、疲労を伴うタイプです。
陽虚
冷えると痛む、温めると楽、下痢、手足の冷えを伴うタイプです。
湿熱
便秘、粘液便、血便、熱感、強い痛み、炎症を伴う場合に注意するタイプです。
気滞(きたい)体質の腹痛
気滞は、ストレスや緊張で気の巡りが滞りやすい体質です。腹痛では、腹部膨満感、張る痛み、腹鳴、おなら、排便前の痛み、緊張で悪化する腹痛として現れます。
病態の考え方
ストレスで肝の気が滞ると、腸の動きが過敏になったり、逆に止まったりします。腸内にガスや内容物が停滞すると、張るような痛み、下痢、便秘、残便感が出やすくなります。
見られやすい症状
- 緊張するとお腹が痛くなる
- 腹部が張る
- 腹鳴、おならが多い
- 下痢と便秘を繰り返す
- 排便前に痛み、出すと楽になる
- イライラ、ため息、胸のつかえがある
漢方の考え方・処方例
緊張が強く、胸腹部の重苦しさ、胃痛、腹痛、イライラを伴う場合には、四逆散(しぎゃくさん)などが検討されることがあります。
腹鳴、おなら、消化不良、胃もたれ、腹部膨満を伴う場合には、平胃散(へいいさん)などを考えることがあります。
暑さや湿気、胃腸炎、下痢を伴う腹痛では、藿香正気散(かっこうしょうきさん)なども候補になります。
喉のつかえ、胸苦しさ、不安、吐き気を伴う場合には、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などを体質に応じて考えることもあります。
養生のポイント
気滞タイプでは、痛みを我慢して力むほどお腹が硬くなります。腹式呼吸、短い散歩、腹部を温めること、食べすぎないことを意識しましょう。
気虚(ききょ)体質の腹痛
気虚は、胃腸を動かすエネルギーである気が不足しやすい体質です。腹痛では、疲れると痛む、食後にだるい、少食、下痢しやすい、シクシク痛む状態として現れます。
病態の考え方
胃腸が弱っていると、食べ物を消化すること自体が負担になります。気が不足すると、腸をスムーズに動かす力も、痛みから回復する力も落ちやすくなります。
見られやすい症状
- 疲れると腹痛が出る
- 食後にお腹が張る
- 少食、食欲不振がある
- 下痢しやすい
- シクシク痛む
- 体力がなく、顔色が悪い
漢方の考え方・処方例
体力虚弱で疲れやすく、腹痛、腹部の緊張、食欲不振を伴う場合には、小建中湯(しょうけんちゅうとう)などが検討されることがあります。
疲労倦怠感、食欲不振、胃腸虚弱、気力低下を伴う場合には、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などを考えることがあります。
胃腸が弱く、食欲不振、胃もたれ、水分停滞を伴う場合には、六君子湯(りっくんしとう)なども候補になります。
病後・術後などの体力低下、疲労倦怠、食欲不振を伴う場合には、人参養栄湯(にんじんようえいとう)などを体質に応じて考えることもあります。
養生のポイント
気虚タイプでは、栄養をつけようとして食べすぎるとかえって痛みが出ることがあります。食欲がない時は無理に食べず、温かく消化のよいものを少量ずつ摂りましょう。
湿痰(しったん)体質の腹痛
湿痰は、水分代謝が滞り、余分な水分や消化しきれないものが胃腸に停滞しやすい体質です。腹痛では、胃もたれ、吐き気、腹部膨満、下痢、重だるさとして現れます。
病態の考え方
冷たい飲食、水分の摂りすぎ、脂っこいもの、甘いものが続くと、胃腸に湿がたまります。湿が停滞すると、気の巡りも鈍くなり、腹痛や膨満感につながります。
見られやすい症状
- 胃もたれがある
- 腹部膨満感がある
- 吐き気、胸やけがある
- 下痢しやすい
- むくみやすい
- 冷たい飲食や水分の摂りすぎで悪化する
漢方の考え方・処方例
胃腸に湿が停滞し、胃もたれ、腹部膨満、食べすぎ後の腹痛を伴う場合には、平胃散(へいいさん)などが検討されることがあります。
暑さや湿気による胃腸炎、下痢、吐き気、腹痛を伴う場合には、藿香正気散(かっこうしょうきさん)などを考えることがあります。
水分の偏り、むくみ、尿量の少なさ、頭重感を伴う場合には、五苓散(ごれいさん)なども候補になります。
胃の働きが弱り、水分と気が停滞して、みぞおちのつかえ、胸やけ、吐き気を伴う場合には、茯苓飲(ぶくりょういん)などを体質に応じて考えることもあります。
養生のポイント
湿痰タイプでは、水分のガブ飲み、冷たい飲食、脂っこいもの、甘いものが腹痛を長引かせます。温かいものを少しずつ、腹八分目を意識しましょう。
血瘀(けつお)体質の腹痛
血瘀は、血の巡りが滞りやすい体質です。腹痛では、下腹部の固定痛、刺すような痛み、押すと痛い、月経痛、便秘、経血の塊として現れます。
病態の考え方
骨盤内に血が滞ると、子宮や腸のまわりに酸素と栄養が届きにくくなり、下腹部が刺すように痛みやすくなります。月経前後、便秘、冷え、長時間の座りっぱなしで悪化しやすいタイプです。
見られやすい症状
- 下腹部が刺すように痛む
- 痛む場所が固定している
- 押すと痛い
- 生理痛が強い
- 経血に塊が混じる
- 便秘、のぼせ、肩こりがある
漢方の考え方・処方例
血の巡りを整え、冷えのぼせ、肩こり、生理痛、下腹部痛を伴う場合には、桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう)などが検討されることがあります。
便秘、のぼせ、下腹部の張り、精神不安、血の滞りを伴う腹痛では、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などを考えることがあります。
下腹部に圧痛があり、便秘がちで、月経痛や月経不順を伴う場合には、通導散(つうどうさん)なども候補になります。
下腹部に熱と血がこもり、便秘や炎症を伴う痛みでは、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)などを体質に応じて考えることもあります。
養生のポイント
血瘀タイプでは、冷え、便秘、長時間座りっぱなしが悪化要因になります。下腹部、腰、足首を温め、股関節やふくらはぎを動かして骨盤内の巡りを整えましょう。
血虚(けっきょ)体質の腹痛
血虚は、体を養う血が不足しやすい体質です。腹痛では、筋肉や腸管が引きつるような差し込む痛み、疲労時の腹痛、顔色の悪さ、めまいとして現れることがあります。
病態の考え方
血は筋肉や内臓を養います。血が不足すると、腸管まわりの筋肉が急にこわばり、けいれん性の腹痛が出やすくなります。過労、睡眠不足、食事不足、月経後に悪化しやすいタイプです。
見られやすい症状
- 差し込むように痛む
- 急に引きつるような痛みが出る
- 疲れると痛みやすい
- 顔色が悪い
- めまい、立ちくらみがある
- 眠りが浅い、体力がない
漢方の考え方・処方例
体力虚弱で疲れやすく、こわばって差し込むような腹痛を伴う場合には、小建中湯(しょうけんちゅうとう)などが検討されることがあります。
腹壁や腸管まわりの緊張が強く、急激なけいれんを伴う差し込む痛みでは、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)などを短期的に考えることがあります。
不安、不眠、動悸、精神疲労、血の不足を伴う場合には、加味帰脾湯(かみきひとう)なども候補になります。
気力と体力が落ち、疲労感や顔色の悪さを伴う場合には、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などを体質に応じて考えることもあります。
養生のポイント
血虚タイプでは、睡眠不足、食事抜き、過労で腹部の緊張が強まりやすくなります。温かい食事、休息、たんぱく質、鉄を意識して、体を養う血を補いましょう。
陽虚(ようきょ)体質の腹痛
陽虚は、体を温める力が不足しやすい体質です。腹痛では、冷えると痛む、温めると楽になる、下痢、腹部膨満感、手足の冷えとして現れます。
病態の考え方
お腹が冷えると、胃腸の動きが鈍り、気血の巡りが止まりやすくなります。冷たい飲食、冷房、薄着、体力低下が重なると、差し込むような冷え腹痛が出やすくなります。
見られやすい症状
- 冷えると腹痛が出る
- 温めると楽になる
- 下痢しやすい
- お腹が張る
- 手足やお腹が冷える
- 冷たい飲食で悪化する
漢方の考え方・処方例
お腹を内側から温め、冷えによる腸の動きの停滞、下腹部痛、腹部膨満感を伴う場合には、大建中湯(だいけんちゅうとう)などが検討されることがあります。
胃腸が冷えて弱り、嘔吐、下痢、冷え、食欲不振、腹痛を伴う場合には、人参湯(にんじんとう)などを考えることがあります。
深部の冷え、むくみ、ふらつき、下痢を伴う場合には、真武湯(しんぶとう)なども候補になります。
体力虚弱で疲れやすく、腹痛や腹部の緊張を伴う場合には、小建中湯(しょうけんちゅうとう)などを体質に応じて考えることもあります。
養生のポイント
陽虚タイプでは、冷たい飲食、冷房、薄着が腹痛を悪化させます。腹巻き、カイロ、入浴でお腹と腰を温め、食事は温かいものを選びましょう。
湿熱(しつねつ)体質の腹痛
湿熱は、余分な水分や老廃物に熱が加わった体質です。腹痛では、便秘、粘液便、血便、熱感、強い腹痛、下痢、排便後も残る痛みとして現れることがあります。
病態の考え方
湿熱が腸にこもると、炎症や強い腹痛につながることがあります。食べすぎ、飲酒、脂っこいもの、ストレスが重なると、腹痛、下痢、便秘、粘血便が出ることがあります。ただし、粘血便や強い痛みがある場合は、炎症性腸疾患などの確認も必要です。
見られやすい症状
- 強い腹痛がある
- 便秘や下痢を伴う
- 粘液便、血便がある
- 排便後も腹痛が続く
- 熱感、発熱、口渇がある
- 飲酒や脂っこいもので悪化する
漢方の考え方・処方例
下腹部に熱と血がこもり、便秘や炎症を伴う痛みでは、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)などが検討されることがあります。
便秘、のぼせ、下腹部の張り、血の滞りを伴う場合には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などを考えることがあります。
胸脇部の張り、便秘、ストレス、肩こり、腹部の張りを伴う場合には、大柴胡湯(だいさいことう)なども候補になります。
暑さや湿気による胃腸炎、下痢、吐き気、腹痛では、藿香正気散(かっこうしょうきさん)などを体質に応じて考えることもあります。
養生のポイント
湿熱タイプでは、飲酒、脂っこいもの、辛いもの、夜食を控えます。粘血便、発熱、強い腹痛がある場合は、自己判断で漢方だけにせず医療機関で確認してください。
腹痛の漢方薬は、痛み方と体質で選びます
「腹痛にはこの漢方」と一律に決めるのではなく、ストレスで張るのか、冷えて痛むのか、下腹部が刺すように痛むのか、疲れると差し込むのかを確認することが大切です。
ストレス・炎症性腸疾患・冷えから見る腹痛
ストレスと過敏性腸症候群
緊張するとお腹が痛くなる、下痢や便秘を繰り返す、排便すると楽になる場合は、過敏性腸症候群のように自律神経と腸の過敏性が関係することがあります。漢方では気滞を中心に見ます。
炎症性腸疾患の可能性
粘血便、血便、発熱、体重減少、排便後も続く強い腹痛がある場合は、潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患の確認が必要です。自己判断で様子を見すぎないようにしましょう。
冷えと腹痛
冷たい飲み物、冷房、薄着でお腹が冷えると、胃腸の動きが止まりやすくなります。冷えると痛む、温めると楽になる場合は、陽虚や寒による腹痛を考えます。
生理前・月経痛と腹痛
生理前や月経中に下腹部が刺すように痛む場合、血瘀を考えることがあります。経血の塊、便秘、冷えのぼせ、肩こりがある場合は、骨盤内の巡りを整える視点が重要です。
腹痛を整える生活養生
1. お腹を温める
冷え腹痛では、お腹、腰、足首を温めることが大切です。腹巻き、カイロ、入浴を活用し、冷たい飲食を控えましょう。
2. のの字マッサージをする
お腹を強く押さず、時計回りに「の」の字を書くようにやさしくなでます。ガスや張りを伴う腹痛では、腸の動きが穏やかになることがあります。
3. 腹式呼吸で緊張をゆるめる
ストレス腹痛では、お腹と横隔膜が硬くなっています。鼻から吸い、口からゆっくり吐き、お腹を大きく動かす腹式呼吸を行いましょう。
4. 食欲がない時は無理に食べない
腹痛がある時に無理に食べると、胃腸の負担が増えることがあります。食欲が戻るまでは、温かい水分や消化のよいものを少量ずつ摂りましょう。
5. 温かく消化のよいものを選ぶ
お粥、雑炊、味噌汁、野菜スープなど、温かく消化にやさしいものを選びます。冷たい飲み物、揚げ物、脂っこいもの、食べすぎは控えましょう。
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よくある質問
腹痛には、どの漢方薬がよいですか?
腹痛だからといって、すべての方に同じ漢方薬が合うわけではありません。ストレスで張る腹痛では気滞、冷えると痛む腹痛では陽虚、下腹部の固定痛では血瘀、疲れると痛む場合は気虚や血虚を考えます。
緊張するとお腹が痛くなるのは、どの体質ですか?
緊張やストレスで腹痛が出る場合、気滞を考えることがあります。気が滞ると腸が過敏になり、張る痛み、下痢、便秘、腹鳴が出やすくなります。
冷たいものを食べるとお腹が痛くなるのはなぜですか?
冷たい飲食で胃腸が冷えると、腸の動きが鈍り、気血の巡りが止まりやすくなります。温めると楽になる腹痛では、陽虚や寒による腹痛を考えます。
生理前の下腹部痛には、どの体質が関係しますか?
生理前や月経中に下腹部が刺すように痛み、経血に塊がある場合は、血瘀を考えることがあります。骨盤内の血流が滞っているタイプです。
腹痛が続く場合、漢方だけで様子を見てよいですか?
強い腹痛、急な腹痛、発熱、嘔吐、血便、黒色便、体重減少、妊娠の可能性がある場合は、漢方だけで様子を見ず、医療機関で確認してください。
受診の目安
以下のような場合は、体質による腹痛と決めつけず、医療機関に相談してください。
- 突然の強い腹痛がある場合
- 痛みがどんどん強くなる場合
- 発熱、嘔吐、強い下痢を伴う場合
- 血便、黒色便、粘血便がある場合
- 腹部が硬い、押すと強く痛い場合
- 冷汗、めまい、意識が遠のく感じがある場合
- 体重減少、食欲不振が続く場合
- 妊娠の可能性がある、または妊娠中の腹痛
- 生理と関係ない強い下腹部痛がある場合
- 小児、高齢者、持病がある方の腹痛
腹痛は、急性疾患や外科的治療が必要な病気のサインであることがあります。
虫垂炎、腸閉塞、胆石、膵炎、尿路結石、胃腸炎、炎症性腸疾患、婦人科疾患、異所性妊娠、腹部大動脈瘤などが関係することがあります。急な強い痛みや危険なサインがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
参考・出典
- *① MSDマニュアル プロフェッショナル版「急性腹痛」
- *② 日本消化器病学会「過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン」
- *③ 日本消化器病学会「炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン」
- *④ PMDA 医療用医薬品 添付文書等情報検索
AI漢方診断へ
腹痛は、同じ「お腹が痛い」症状でも、体質によって考え方が変わります。
ストレスで気が滞っているのか、冷えで胃腸が止まっているのか、血の巡りが悪く下腹部に痛みが出ているのか、胃腸の力が落ちているのか。まずは自分の体質を知ることが、漢方選びの第一歩です。
腹痛に合う漢方を、体質から確認する
腹痛の場所、痛み方、冷え、下痢、便秘、胃もたれ、ストレス、月経周期、生活背景まで含めて確認します。
※本ページは一般的な情報提供を目的としたものであり、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。腹痛には、胃腸炎、過敏性腸症候群、便秘、胆石、膵炎、虫垂炎、腸閉塞、炎症性腸疾患、尿路結石、婦人科疾患、異所性妊娠、腹部大動脈瘤などが関係することがあります。漢方薬は体質や症状、持病、服薬状況によって適否が異なります。持病がある方、服薬中の方、妊娠中・授乳中の方、小児、高齢の方は、自己判断で服用・中止せず、事前に医師または薬剤師にご相談ください。突然の強い腹痛、発熱、嘔吐、血便、黒色便、腹部の強い圧痛、冷汗、めまい、妊娠の可能性がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。