六君子湯(りっくんしとう)

六君子湯(りっくんしとう)は、宋代の医書『和剤局方』に記される、胃腸(脾胃)を整える代表的な処方です。「もともと胃腸が弱く、食欲がない」「すぐにお腹がもたれる」といった状態を、不足したエネルギーを補いながら、胃に溜まった余分な水分をさばくことで改善します。弱った胃腸を立て直し、「食べて元気になる力」を取り戻します。

成分(生薬)

蒼朮、人参、半夏、茯苓、大棗、陳皮、甘草、生姜

漢方的な考え方

漢方において胃腸は、食べ物からエネルギー(気)や栄養(血)を生み出す「後天の本」と呼ばれる重要な場所です。ここが弱ると、消化しきれなかった水分がゴミ(痰)として胃に溜まり、それがつかえやもたれを引き起こします。六君子湯は、エネルギーを足すだけでなく、この「ゴミ」を掃除して気の巡りをスムーズにする、非常にバランスの取れた構成です。

  • 食欲不振・胃もたれ: 胃の働きが鈍く、少し食べただけでお腹がいっぱいになったり、いつまでも胃の中に食べ物が残っているような重苦しさを感じる状態。
  • 胃炎・胃腸虚弱: 慢性的な胃の不快感があり、消化吸収の力が弱いために、十分に栄養を体に取り込めない状態。
  • 疲れやすさ・手足の冷え: 胃腸が弱いために全身の「気」が不足し、すぐに疲れてしまったり、エネルギーが末端まで届かず冷えを感じたりする状態。

構成生薬の役割

  • 胃腸を強力に補う: 人参・蒼朮(そうじゅつ)・茯苓・大棗(たいそう)が、弱った胃腸のエネルギーを底上げし、元気を生み出す土台をしっかりと構築します。
  • 停滞を流し、つかえを取る: 半夏(はんげ)と陳皮(ちんぴ)が、胃の中に溜まった余分な水分や「気の滞り」を取り除き、みぞおちのつかえやムカムカをスッキリと解消します。
  • 温めて巡りを助ける: 生姜が冷えた胃を温めて消化を助け、甘草が全体の生薬を調和させます。この「補う力」と「巡らせる力」の組み合わせが、虚弱な胃腸症状を穏やかに、かつ確実に整えます。

効能・効果(添付文書)

体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐

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堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療を目的とするものではありません。