更年期太り|ストレス過食・甘いものが止まらない気滞・血虚タイプ

更新日:2026年7月11日 監修:堀口和彦

更年期のストレス過食や甘いもの欲求に悩む女性

ストレスが強いと食べてしまう、甘いものが止まらない、夜になると過食しやすい更年期太りは、漢方では「気滞(きたい)」と「血虚(けっきょ)」の視点から考えることがあります。

気滞は、緊張やストレスによって気の巡りが滞った状態です。血虚は、心身を養う血が不足し、不眠、不安、疲労、甘いものへの欲求などが起こりやすい状態です。この2つが重なると、食べる量を意思だけで調整しようとしても、反動で過食しやすくなります。

このタイプで重要なのは、「食べた自分を責めること」ではありません。体重だけでなく、食べる時間、きっかけ、睡眠、気分の波、月経や更年期症状を一緒に確認することです。

ストレス過食 甘いもの欲求 不眠・不安 イライラ・気分の波

気滞・血虚タイプで確認したいポイント

  • 仕事や人間関係のストレスで食べる量が増える
  • 夕方から夜に甘いものや間食が増える
  • 食べた後に自己嫌悪や食事制限を繰り返す
  • 不眠、不安、イライラ、気力低下がある
  • 月経の変化や更年期症状と体重増加が重なる

体重だけでなく、食欲・睡眠・気分の変化まで確認しましょう。

気滞、血虚、湿熱、湿痰、血瘀など、現在の体質をまとめて判定します。

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気滞・血虚タイプの更年期太りとは

気滞タイプでは、緊張やストレスが抜けにくく、胸やみぞおちの張り、ため息、イライラ、喉のつかえなどが現れます。食べることで一時的に気持ちを落ち着かせようとするため、夕方から夜に食欲が強くなる場合があります。

血虚タイプでは、睡眠不足、月経歴、疲労、心配事などにより、心身を養う力が不足します。甘いものへの欲求、不安、集中力低下、動悸、肌や髪の乾燥などが重なることがあります。

気滞

ストレスを食べることで紛らわせる

仕事、人間関係、家庭の負担が増えた時に、間食や過食が増えやすいタイプです。

血虚

疲れるほど甘いものが欲しくなる

睡眠不足や疲労が続き、気力を補うように甘いものを求める場合があります。

悪循環

過食と極端な制限を繰り返す

食べた後の自己嫌悪から絶食や強い制限を行い、次の過食につながることがあります。

過食は意思の弱さだけで起きるものではありません。

更年期のホルモン変動に、ストレス、睡眠不足、不安、疲労、薬の影響などが重なると、食行動が乱れやすくなります。嘔吐や極端な食事制限を伴う場合は、漢方だけで対応せず、医療機関との併診が必要です。

なぜストレスで食べてしまうのか

1

緊張が続いて休めない

日中の緊張を夜まで引きずると、食べることで気持ちを切り替えようとしやすくなります。

2

睡眠不足で食欲が乱れる

寝つきが悪い、中途覚醒がある、睡眠時間が短いと、翌日の食欲や間食が増えることがあります。

3

制限の反動が起きる

朝昼を極端に減らすと、夕方以降に強い空腹が出て、食べる量を調整しにくくなります。

気滞・血虚タイプのセルフチェック

食欲・食行動

  • ストレスの後に食べる量が増える
  • 甘いものや炭水化物が止まらない
  • 夜になると食欲が強くなる
  • 過食と食事制限を繰り返す
  • 食べた後に強い後悔がある

心身の状態

  • イライラ、不安、落ち込みがある
  • 眠りが浅い、夢が多い
  • 動悸、喉のつかえ、胸の張りがある
  • 疲れやすく気力が続かない
  • 月経や更年期症状と連動する

ほかの更年期太りタイプとの違い

太り方 一緒に出やすい特徴 体質の方向
ストレス過食・甘いもの欲求 不眠、不安、イライラ、気分の波 気滞・血虚
お腹まわり・便秘・暑がり 発汗、ほてり、食欲が強い 湿熱
むくみ・水太り・下半身太り 靴下跡、体の重さ、天候で変動 湿痰
冷えのぼせ・肩こり・便秘 下腹部の張り、頭痛、月経歴 血瘀
食べていないのに太る 疲労、冷え、胃腸虚弱、活動量低下 気虚・陽虚

漢方薬を考えるときの処方鑑別

ストレス過食があるからといって、全員に同じ漢方薬を使うわけではありません。便通、むくみ、冷え、月経、更年期症状、睡眠、服薬状況を比較します。

柴胡加竜骨牡蛎湯

イライラ、不安、不眠、動悸、胸やお腹の張り、便秘傾向があり、緊張が抜けにくい場合に比較します。

半夏厚朴湯

喉のつかえ、胸の圧迫感、吐き気、不安、緊張による食欲の乱れなどが目立つ場合に比較します。

加味逍遙散

更年期のイライラ、気分の波、ほてり、疲労、月経に関連する不調が重なる場合に比較します。

女神散

のぼせ、発汗、頭痛、めまい、イライラなど、更年期の熱症状が食欲の乱れと一緒に現れる場合に比較します。

「食欲を抑える漢方」という選び方はしません。

食欲だけを抑えるのではなく、睡眠、緊張、便通、冷え、むくみ、月経や更年期症状を含め、過食につながる背景を確認して処方を選びます。

堀口先生の相談データから見る気滞・血虚タイプの相談例

以下は、堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データをもとに、個人が特定されないよう公開用に要約した参考例です。

44歳女性|ストレス過食・甘いもの欲求・腹囲増加

人間関係のストレスで甘いものが増え、体重とお腹まわりが変化

仕事や人間関係で緊張が続くと、甘いものや間食が増え、体重と腹囲の増加につながっていました。冷え、疲労、便通の乱れ、不眠、不安も重なり、気の巡りと自律神経の緊張を含めて確認しています。

選定記録にある処方:柴胡加竜骨牡蛎湯半夏厚朴湯

39歳女性|甘いもの欲求・過食・動悸

月経の変化とともに、甘いものが止まらず体重が増えた

月経に関連する不調、動悸、むくみがあり、疲れた時や気分が揺れる時に甘いものや過食が増えていました。食欲だけでなく、緊張、睡眠、月経歴、水分停滞をまとめて確認しています。

選定記録にある処方:柴胡加竜骨牡蛎湯

もう1件の相談例を見る

45歳女性|夜間の過食・不安・体重増加

夜になると過食し、ときどき嘔吐も伴う

夜間に食欲をコントロールしにくくなり、過食と体重増加に悩んでいました。不安、気分の落ち込み、便通の乱れ、ほてり、発汗も重なっていました。漢方相談では自律神経の緊張を含めて処方が検討されていますが、嘔吐を伴う過食は漢方だけで判断せず、医療機関との併診が必要です。

選定記録にある処方:柴胡加竜骨牡蛎湯

※上記は、堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データをもとに公開用に要約した参考例です。漢方薬の選定は、症状名だけでなく、冷え、胃腸の状態、便通、睡眠、発汗、服薬状況などを含めて総合的に判断されます。KanpoNow薬局の販売実績・改善実績を示すものではなく、効果を保証するものでもありません。

気滞・血虚タイプの生活養生

1. 過食の「直前」を記録する

食べた量だけでなく、時間、気分、出来事、睡眠時間を記録すると、引き金が見えやすくなります。

2. 朝昼を極端に減らさない

日中の食事を減らしすぎると、夕方以降の反動が強くなります。規則的に食べることを優先します。

3. 甘いものを完全禁止にしない

全面禁止は反動につながることがあります。量と時間を決め、食事の一部として扱います。

4. 睡眠を先に整える

夜更かしや中途覚醒が続く場合、体重対策より先に睡眠環境と生活時間を見直します。

よくある質問

ストレス過食に効く漢方薬はありますか?

過食という症状名だけで処方は決まりません。不眠、不安、便秘、喉のつかえ、ほてり、月経や更年期症状などを確認し、背景となる体質に合わせて比較します。

甘いものが欲しいのは血虚ですか?

血虚の一つの参考にはなりますが、それだけでは判断できません。睡眠不足、食事制限、血糖の変動、ストレスなどでも甘いものへの欲求は強くなります。

食べる量を減らしているのに夜に過食します。

朝昼の食事を減らしすぎると、夕方以降に反動が起きることがあります。極端な制限より、規則的な食事と睡眠の確保を優先してください。

過食後に吐いてしまう場合も漢方相談でよいですか?

相談はできますが、嘔吐を伴う過食、絶食、急激な体重変動がある場合は、摂食障害などの可能性もあるため、心療内科、精神科、内科など医療機関への相談が必要です。

更年期が終われば過食も自然に治りますか?

ホルモン変動が落ち着くことで軽くなる場合はありますが、ストレス、睡眠、食行動、服薬など複数の要因が関係します。更年期だけの問題と決めつけずに確認します。

医療機関へ相談したい目安

  • 過食後に嘔吐することがある
  • 絶食と過食を繰り返している
  • 短期間で体重が大きく増減した
  • 食べることや体重への不安で生活に支障がある
  • 強い落ち込み、自傷念慮、不安発作がある
  • 動悸、失神、脱水、月経停止などがある

参考・出典

  1. 日本産科婦人科学会「更年期障害」
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
  3. 厚生労働省「こころの情報サイト」摂食障害に関する情報
  4. PMDA 医療用医薬品情報(柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯、加味逍遙散ほか)
  5. 堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データ

更年期太りは、食べた量だけで処方を選べません。

ストレス、甘いもの欲求、不眠、不安、便通、むくみ、冷え、月経や更年期症状をまとめて確認します。

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本ページは一般的な情報提供を目的としており、診断や治療を代替するものではありません。過食嘔吐、絶食、急激な体重変動、強い抑うつや不安がある場合は、医療機関へご相談ください。体調や服用中の薬、妊娠・授乳の可能性、持病がある場合は、医師または薬剤師へご相談ください。

監修者プロフィール
堀口和彦

堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師

光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。

著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。