湿痰を伴う体重・腹囲増加:45歳女性の相談例
長期間の安静生活と服薬の影響が重なり、体重が大きく増加しました。顔・手・足のむくみ、強い口渇、下腹部まで張る体型変化、夜間の過食、ホットフラッシュ、月経トラブルもありました。
この例では、体重やむくみだけでなく、ホルモン変動、自律神経、過食、睡眠、服薬状況まで含めて、柴胡加竜骨牡蛎湯が選定されました。
脂肪が増えたというより、体全体が重い。夕方には脚がパンパンになり、体重も少しずつ増えてきた。
更年期太りの中でも、数か月以上続く体重・腹囲の変化に、「むくみ」「水太り」「下半身の重さ」「疲れやすさ」が重なる方は、漢方でいう湿痰(しったん)の傾向を考えることがあります。
湿痰タイプの更年期太りでは、実際の体重・腹囲の増加に、余分な水分の停滞や全身の重だるさが重なります。夕方だけ脚が張る一時的なむくみとは分けて、数か月以上続く体型変化、便通、冷え、疲労、食欲、活動量を一緒に確認します。
体重増加やお腹まわりの変化が、数か月以上続いているかを確認します。
脚、手、顔のむくみ、靴下跡、下半身の重さなどが重なります。
疲れやすさ、活動量低下、便秘・軟便、胃腸の弱さも重要な手がかりです。
更年期のむくみとの違い
朝夕や数日単位で体重が変わる、靴下跡が強い、指輪がきつい、片脚だけ腫れるなどは、むくみそのものの評価が優先です。このページでは、実際の体重・腹囲の増加に水分停滞が重なる状態を扱います。むくみ自体が主症状の方は、更年期のむくみも確認してください。
更年期には、女性ホルモンの変動、筋肉量や活動量の低下、睡眠不足、ストレスなどが重なり、体重や体型が変化しやすくなります。湿痰タイプでは、そこに水分を巡らせて排出する力の低下が加わり、脂肪の増加と水分停滞が重なって見えることがあります。
疲労、関節痛、冷えなどで活動量が落ちると、消費エネルギーも減りやすくなります。
下半身や手足に余分な水分がたまり、体が重く、太く見えやすくなります。
便秘、軟便、腹部膨満感などが続くと、食事や活動のリズムも崩れやすくなります。
湿痰は「水分だけが原因」という意味ではありません。実際には、食事、運動、睡眠、服薬、持病、ホルモン変動などを含めて、体重増加に水分停滞がどう重なっているかを見ます。
体脂肪だけでなく、余分な水分が重なり、顔・手足・下半身が張って見えることがあります。
夕方に脚が重くなり、足首が分かりにくい、靴下跡が残るなどが見られます。
腹部膨満感、ガス、食欲の波、胃腸の弱さが体重管理を難しくすることがあります。
体が重く、関節痛やだるさも重なり、運動を続けにくくなる場合があります。
※該当数だけで体質は決まりません。急激な体重増加、片脚だけの腫れ、息切れ、胸痛などがある場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。
| タイプ | 太り方・主な特徴 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| 湿痰 | 体重増加にむくみ、水太り、下半身の重さが重なる | 靴下跡、冷え、疲労、便通の乱れ |
| 湿熱 | お腹まわり、内臓脂肪、便秘 | 暑がり、汗、食欲、赤ら顔 |
| 血瘀 | 下腹部太り、冷えのぼせ、肩こり | 便秘、頭痛、月経トラブル、固定性の痛み |
| 気虚・陽虚 | 食べていないのに太る、疲れて動けない | 胃腸虚弱、軟便、強い冷え、夜間頻尿 |
| 気滞・血虚 | ストレス過食、甘いもの欲求 | イライラ、不安、不眠、食欲の波 |
湿痰タイプでも、処方は「むくみがある」「体重が増えた」だけで決めません。便通、冷え、汗、胃腸、動悸、息切れ、体力、併用薬などによって候補が変わります。
下肢のむくみ、重だるさ、便秘傾向、動悸・息切れ、胸腹部のつかえなど、気と水の停滞が重なる場合に比較されます。大黄を含むため、下痢しやすい方や胃腸虚弱の方は注意が必要です。
水太り、汗をかきやすい、疲れやすい、下肢のむくみなどがある場合に知られる処方です。ただし、実際の相談では冷え、便通、胃腸、自律神経症状まで含めて判断します。
尿量や口渇、天候・気圧による変化、頭痛、吐き気など、水分バランスの乱れが中心の場合に比較されます。体脂肪そのものを減らす薬ではありません。
体重増加やむくみに、不眠、不安、イライラ、動悸、のぼせ、過食などが重なる場合に比較されます。水分停滞だけでなく、自律神経症状を含めて考える処方です。
むくみや体重増加に、冷えのぼせ、肩こり、月経トラブル、下腹部の張りなど、血瘀の傾向が重なる場合に比較されます。
漢方薬は体重減少を保証するものではありません。
複数の漢方薬を併用すると、生薬の重複や副作用のリスクがあります。治療中、妊娠・授乳中、下痢しやすい方、腎臓・心臓の病気がある方は、医師・薬剤師へ相談してください。
むくみがあるからといって水分を過度に制限すると、脱水や便秘につながります。持病がある場合は医師の指示を優先してください。
足首回し、かかとの上げ下げ、短時間の歩行などを、無理のない範囲でこまめに行います。
汁物、麺類、惣菜、漬物、スナック菓子などが重なると塩分が多くなりやすいため、食事全体で調整します。
冷たい飲食物、夜遅い食事、脂っこい食事を続けず、温かく消化しやすい食事を基本にします。
週1回の体重・腹囲に加え、朝夕のむくみ、靴下跡、便通、活動量も記録すると、脂肪と水分変動を分けて見やすくなります。
以下は、堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データのうち、実際の体重・腹囲の変化に、むくみ、水太り、下半身の重さが重なった例を、個人が特定されないよう公開用に要約したものです。KanpoNow薬局の販売実績や改善実績を示すものではなく、効果を保証するものでもありません。
長期間の安静生活と服薬の影響が重なり、体重が大きく増加しました。顔・手・足のむくみ、強い口渇、下腹部まで張る体型変化、夜間の過食、ホットフラッシュ、月経トラブルもありました。
この例では、体重やむくみだけでなく、ホルモン変動、自律神経、過食、睡眠、服薬状況まで含めて、柴胡加竜骨牡蛎湯が選定されました。
若い頃から足がむくみやすく、更年期には足首が分かりにくいほど腫れるようになりました。体重増加、冷え、便秘、ほてり、めまいも重なり、運動を続けても下半身の重さが残っていました。
この例では、むくみだけでなく、体重増加、便通、冷え、血と水の巡りを含めて九味檳榔湯が選定されました。
年齢とともに代謝が落ち、体重が増加傾向になった相談です。手のしびれ、抜け毛、強い冷え、むくみ、硬い便があり、おへその周りが硬く張る感覚もありました。
この例では、体重増加とむくみに、冷え、便通、骨盤周辺の巡りが重なっていることを含めて、桂枝茯苓丸料と当帰芍薬散が選定されました。
関節の痛みと活動量低下が重なり、体重増加と体の重さを感じていました。手指のこわばり、ホットフラッシュ、便秘傾向、むくみもあり、運動を増やしにくい状態でした。
この例では、水分停滞と血の巡り、関節症状、便通を含めて、九味檳榔湯と桂枝茯苓丸料が選定されました。
食事量は多くないのに体重増加が著しく、腹部膨満感、下痢、慢性疲労、ほてり、発汗、食欲の波、不安感が重なっていました。
この例では、水分停滞だけでなく、過食、熱感、胃腸、自律神経を含めて、九味檳榔湯と柴胡加竜骨牡蛎湯が選定されました。
閉経後、気力が続かず疲れやすくなり、生活リズムも乱れていました。体重増加、むくみ、便秘、肩こり、動悸、イライラなどが重なっていました。
この例では、体重とむくみだけでなく、疲労、自律神経、睡眠、便通を含めて柴胡加竜骨牡蛎湯が選定されました。
※原資料上で症状、年齢、処方選定を確認できた6件を掲載しています。相談例は公開用に要約し、1例あたりの処方表示は最大2つに整理しています。
朝夕や数日で大きく変動する、靴下跡が強い、顔や手が腫れる場合は水分変動が疑われます。数か月以上かけて体重・腹囲が増える場合は、脂肪や活動量の変化も確認します。
極端な水分制限は勧められません。脱水、便秘、腎機能への影響があります。心臓・腎臓の病気などで指示がある場合は、医師の指示に従ってください。
防已黄耆湯は水太り、汗、疲れやすさなどで知られます。九味檳榔湯は下肢の強い重だるさ、便秘傾向、動悸・息切れ、胸腹部のつかえなどが重なる場合に比較されます。
五苓散は水分バランスの乱れで使われる処方で、体脂肪を直接減らす薬ではありません。体重増加が脂肪中心か、水分変動中心かを分けて考える必要があります。
まず内科で、心臓、腎臓、肝臓、甲状腺、服薬の影響などを確認できます。月経異常や更年期症状が強い場合は婦人科も選択肢です。
次のような場合は、体質の問題と決めつけず、医療機関へ相談してください。
心不全、腎疾患、肝疾患、甲状腺機能低下症、深部静脈血栓症、薬の副作用などでも、むくみや体重増加が起こることがあります。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療を代替するものではありません。漢方薬にも副作用や相互作用があり、体質、持病、妊娠・授乳、服薬状況によって適否が異なります。治療中の方や症状が強い方は、医師・薬剤師へご相談ください。
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。