手足はほてるのに、お腹と太ももは冷たい
ホットフラッシュがあり、手のひらと足の裏はほてる一方、二の腕、お腹まわり、太ももは冷たく感じていました。イライラ、喉のつかえ、硬い便、体重増加も重なり、熱と冷えの偏り、自律神経、血の巡りを合わせて確認した例です。
手足が氷のように冷たい。腰から下だけが冷えて重い。顔は熱くなるのに、お腹や太ももは冷たい。冬だけでなく、夏の冷房でもつらい。
更年期の冷えは、単なる寒がりだけではありません。女性ホルモンの変動、自律神経の揺らぎ、血流、水分代謝、胃腸の力、筋肉量、睡眠やストレスが重なり、全身の冷え、末端冷え、下半身の冷え、冷えのぼせとして現れることがあります。
漢方では「熱を作れない冷え」と「熱はあるのに巡らない冷え」を分け、8つの体質から比較します。温めるだけでよいのか、血や水を巡らせるのか、胃腸や体力を補うのかによって、選ぶ漢方薬が変わります。
同じ「冷え」でも、補う、温める、巡らせる、水をさばく、緊張を緩めるなど、整え方は異なります。
片側だけが急に冷たい、白色・紫色になる、強い痛みやしびれがある、胸痛・息切れ・失神を伴う場合は、更年期の冷えと決めつけず医療機関へ相談してください。
強いだるさ、急な体重増加やむくみ、脱毛、動悸などが重なる場合は、貧血、甲状腺、血流、心臓・腎臓、膠原病、糖尿病などの確認が必要なことがあります。
冷え症は、周囲の人が寒さを感じない環境でも、手足や腰など特定の部位を本人が強く冷たいと感じ、生活上の苦痛になっている状態です。更年期には「腰や手足が冷えやすい」ことが症状の一つとして挙げられますが、冷えのすべてが女性ホルモンの低下だけで起こるわけではありません。
更年期では、ほてり・発汗と冷えが同時に出ることがあります。上半身は熱いのに下半身は冷たい、日中は汗をかくのに夜や冬は芯から冷えるなど、熱の偏りが目立つ点が特徴です。
体温計の数値と、本人が感じる冷えは別です。
平熱が正常でも手足だけがつらく冷えることがあります。一方、急な冷えや全身状態の変化は別の病気でも起こるため、冷える場所、左右差、皮膚の色、痛み、むくみ、動悸、体重変化まで確認します。
疲れやすい、食欲が弱い、低血圧、夜間尿などが重なる場合は、熱を作る力や内側から温める力を確認します。
血の不足や巡り、筋肉量、長時間同じ姿勢、しもやけや皮膚色の変化を確認します。
むくみ、重だるさ、頻尿、便通、骨盤内の巡り、水分代謝との関係を見ます。
ほてり、発汗、肩こり、イライラ、乾燥などを合わせ、熱と血流の偏りを確認します。
女性ホルモンの変動に伴い、自律神経による血管の拡張・収縮や発汗の調節が不安定になり、ほてりと冷えが混在することがあります。
食事量、胃腸機能、筋肉量、活動量、睡眠などが低下すると、体内で熱を作りにくくなります。無理な食事制限も冷えの一因になります。
長時間の座位・立位、むくみ、ストレス、骨盤内の巡りの低下などにより、熱が末端や下半身へ届きにくくなることがあります。
更年期の症状は、ホルモン変動だけでなく、体質、環境、仕事や家庭の負担、睡眠、病気、服薬などの影響を受けます。生活に支障がある場合は我慢せず、婦人科やかかりつけ医へ相談してください。
漢方では、冷えている部位だけでなく、熱を作れているか、血や水が巡っているか、上半身に熱が偏っていないかを見ます。冷えを強く感じても、温める処方だけが選択肢とは限りません。
体質は1つではなく、複数重なることがあります。
気虚と陽虚、血虚と血瘀、気滞と湿痰などが重なると、全身の冷えと冷えのぼせ、むくみと乾燥など、一見反対の症状が同時に現れます。
| 体質 | 冷えの出方 | 一緒に出やすい不調 | 漢方で見るポイント | 詳しく見る |
|---|---|---|---|---|
| 気滞 | ストレスで手足が冷える、症状に波がある | イライラ、不安、喉・胸のつかえ | 自律神経と気の巡り | 気滞へ |
| 陰虚 | 顔や手足はほてるのに、腹部や下半身が冷える | 口渇、乾燥、寝汗、空咳 | 潤い不足と熱の偏り | 陰虚へ |
| 血虚 | 手足の末端が冷たい | めまい、顔色不良、髪・肌の乾燥 | 全身を養う血の不足 | 血虚へ |
| 血瘀 | 顔はのぼせるのに足が冷える | 肩こり、頭痛、下腹部の張り、月経歴 | 血流と骨盤内の滞り | 血瘀へ |
| 気虚 | 疲れるほど冷え、温まりにくい | 食欲低下、息切れ、軟便、だるさ | 胃腸と熱を作る力 | 気虚へ |
| 湿熱 | 暑がり・多汗なのに下半身が冷える | むくみ、過食、肌荒れ、体の重さ | 熱と余分な水の停滞 | 湿熱へ |
| 湿痰 | 下半身が冷えて重い、むくむ | めまい、胃もたれ、体重増加 | 水分代謝と循環 | 湿痰へ |
| 陽虚 | 全身や腰から下が芯から冷える | 夜間尿、低血圧、腰膝のだるさ、下痢 | 内側から温める力 | 陽虚へ |
横にスクロールしてご覧いただけます。体質は複数重なることがあります。
気滞は、ストレスや緊張で気の巡りが滞った状態です。手足が急に冷える、冷えとほてりが交互に出る、胸やお腹が張るなど、気分や環境で症状が変わります。
陰虚は、体を潤し熱を鎮める力が不足した状態です。顔や手足はほてるのに、お腹や下半身は冷たい、口や皮膚が乾く、寝汗があるといった形で現れます。
血虚は、心身を養う血が不足した状態です。手足の冷えに、めまい、顔色不良、疲労、髪や肌の乾燥、眠りの浅さなどが重なります。
血瘀は、血の巡りが滞った状態です。顔は熱いのに足先は冷える、肩こりや頭痛が強い、下腹部が張るなど、上と下の温度差が目立ちます。
気虚は、胃腸や体力が弱く、食事から熱を作る力が不足した状態です。疲れるほど冷え、食欲が落ちるとさらに温まりにくくなります。
湿熱は、余分な水分と熱がこもった状態です。顔や上半身は暑く汗をかく一方、むくんだ下半身や末端は冷えることがあります。
湿痰は、余分な水分や老廃物が停滞した状態です。足、太もも、腰が冷え、むくみ、重だるさ、めまい、胃もたれが重なります。
陽虚は、体を温め活動させる力が不足した状態です。全身や腰から下が芯から冷え、夜間尿、低血圧、腰や膝のだるさ、下痢などが重なります。
漢方薬は「冷え」という症状名だけで選びません。体力、胃腸、ほてり、むくみ、便通、頻尿、月経歴、服薬状況を確認します。
| 冷えの出方 | 比較される漢方薬 | 確認したい症状 |
|---|---|---|
| 冷えのぼせ・イライラ | 加味逍遙散、温経湯 | ほてり、発汗、肩こり、乾燥、月経歴 |
| 全身冷え・疲労・不眠 | 柴胡桂枝乾姜湯、加味帰脾湯 | 不安、だるさ、食欲、睡眠、低血圧 |
| 末端冷え・めまい・むくみ | 当帰芍薬散、人参養栄湯 | 顔色、乾燥、月経、食欲、体格 |
| 下半身冷え・水分停滞 | 苓姜朮甘湯、九味檳榔湯 | むくみ、尿、腹部膨満、重だるさ |
| 腰から下の冷え・頻尿 | 八味地黄丸料、牛車腎気丸 | 夜間尿、腰膝、しびれ、胃腸 |
処方名は比較例です。体質、持病、併用薬によって適否が異なります。
複数の漢方薬を自己判断で重ねないでください。
甘草、麻黄、地黄、大黄などを含む処方は、体質や併用薬によって副作用や胃腸症状が出ることがあります。病院、市販、通販で使用している漢方薬やサプリメントを医師・薬剤師へ伝えてください。
冷えのぼせがある人は上半身を厚着しすぎず、腹巻き、レッグウォーマーなどで下半身を中心に保温します。
食事を抜いたり、冷たい飲食物だけで済ませたりせず、汁物、煮物、穀類など胃腸に負担の少ない食事を取ります。
むくみや胃もたれがある場合は、冷水のがぶ飲みを避け、温かい飲み物を少量ずつ取ります。水分制限は自己判断で行いません。
散歩、かかと上げ、軽いスクワット、足首回しなどを続けます。疲労が強い日は短時間にとどめます。
長時間座る・立つ仕事では、1時間に一度を目安に足首や股関節を動かし、下半身の循環を保ちます。
時間帯、季節、食事、睡眠、ストレス、ほてり、むくみとの関係を記録すると、体質や受診時の説明に役立ちます。
一つに決めることはできません。全身が芯から冷える、手足だけが冷える、下半身がむくんで冷える、顔は熱いのに足が冷えるなど、冷える場所と、疲労、乾燥、ほてり、むくみ、胃腸、頻尿を合わせて体質を比較します。
更年期の体温調節の揺らぎに加え、血流や自律神経の偏り、水分停滞などが関係することがあります。漢方では血瘀、気滞、陰虚などを比較し、足だけを温めるのではなく全身の巡りを確認します。
冷房、薄着、冷たい飲食物、運動不足などに更年期の体温調節の揺らぎが重なり、夏でも手足やお腹が冷えることがあります。ただし、貧血や甲状腺など別の原因もあるため、強い症状が続く場合は受診してください。
自己判断で水分を制限しないでください。むくみや胃もたれがある人は、冷たい水の一気飲みを避け、温かい飲み物を少量ずつ取る方法があります。心臓や腎臓の病気がある場合は医師の指示を優先します。
起こります。顔や上半身が急に熱くなる一方、お腹、太もも、足先は冷たいという人もいます。温めるだけでのぼせが強くなることがあるため、冷えと熱の両方を確認します。
筋肉を使うことは熱産生や循環に役立ちますが、疲労や体力低下が強い人が激しい運動をすると消耗することがあります。散歩や足首運動などから始め、胸痛、息切れ、めまいがあれば中止して受診してください。
片側だけの急な冷え、しびれ、強い痛み、白色や紫色への変化は、血流障害や神経の問題などを確認する必要があります。更年期と自己判断せず、早めに医療機関へ相談してください。
ほてり、発汗、月経変化など更年期症状全体がある場合は婦人科が目安です。強いだるさ、むくみ、体重変化、動悸、息切れ、皮膚色の変化などがある場合は、内科やかかりつけ医にも相談してください。
更年期症状全体は婦人科、全身のだるさや甲状腺・貧血などが気になる場合は内科、手足の色や血流の異常は循環器内科・血管外科、強いしびれや筋力低下は神経内科・整形外科が相談先の目安です。
堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データを整備した「更年期症例」から、冷えが主訴として分類された全52件を整理しました。
体質、併発症状、漢方薬は1人に複数記録される場合があります。
体質判定で最も多く確認されました。
次に多く確認された体質です。
一緒に記録された症状で最も多い項目です。
柴胡桂枝乾姜湯が最も多く記録されました。
※1人に複数の体質が記録されるため、合計は52件を超えることがあります。
※処方件数は効果や推奨の順位ではありません。相談時の体質、体力、便通、胃腸、睡眠、持病、服薬状況などを含めた選定記録です。
ホットフラッシュがあり、手のひらと足の裏はほてる一方、二の腕、お腹まわり、太ももは冷たく感じていました。イライラ、喉のつかえ、硬い便、体重増加も重なり、熱と冷えの偏り、自律神経、血の巡りを合わせて確認した例です。
全身の冷えと強い疲労感があり、体力低下、むくみ、抜け毛、乾燥肌、眠気、イライラが重なっていました。冷えだけでなく、熱を作る力、胃腸、睡眠、自律神経を確認した例です。
立ち仕事が続き、足のむくみと下半身の冷えが強く、耳鳴り、頭痛、便秘、生理前の不安感もありました。下半身の水分停滞と血の不足、自律神経の緊張を合わせて確認した例です。
手足の冷えは一年中続き、足と腰のだるさもありました。事務仕事で座る時間が長く、睡眠は途中で目が覚める状態でした。末端の冷えだけでなく、胃腸から気血を作る力と睡眠を確認した例です。
もともと低体温で冷えやすく、冬はしもやけができる一方、更年期にはほてりと中途覚醒、早朝覚醒がありました。冷えと熱の両方、自律神経、血流、便通を一緒に確認した例です。
40歳を過ぎてから、イライラ、首の後ろの発汗、生理周期の変化、息苦しさ、だるさ、過食が目立ちました。下腹部、お尻、太ももは触ると冷たいことが多く、冷たい飲食やストレスで不調が強くなるため、自律神経と水分代謝を確認した例です。
※この相談例は、堀口和彦先生による「うち漢方/光和堂薬局」時代の漢方相談・処方選定データを、個人が特定されない形で公開用に匿名化・要約したものです。KanpoNow薬局の販売実績・改善実績を示すものではなく、特定の漢方薬の効果を保証するものでもありません。
更年期の冷えは、同じ「冷たい」でも、体質によって考え方が変わります。
冷える場所、ほてり、むくみ、疲労、乾燥、胃腸、頻尿、睡眠まで含めて体質傾向を確認してください。
KanpoNowのAI漢方診断は、堀口先生の漢方相談・処方選定の考え方をもとに、症状と複数の体質傾向から漢方薬の候補を提案します。
AI漢方診断をする(無料)本ページは一般的な健康情報と、匿名化された過去の相談データをもとに漢方の考え方を紹介するものであり、診断・治療・服薬指示を目的とするものではありません。持病がある方、治療中の方、妊娠中・授乳中の方、ホルモン補充療法や漢方薬を使用中の方は、自己判断で薬を中止・変更せず、医師または薬剤師へ相談してください。片側だけの急な冷え、皮膚色の変化、強い痛みやしびれ、胸痛、息切れ、失神、発熱や強い悪寒がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。