更年期太りに漢方|食べていないのに太る原因を8つの体質から考える

更新日:2026年7月16日 監修:堀口和彦

更年期に体重やお腹まわりが増え、痩せにくさに悩む女性のイラスト

食べる量は変わらないのに太る。今までのダイエットが効かない。お腹まわりだけ増えてきた。

更年期太りは、単なる食べすぎだけではありません。女性ホルモンの変動に、筋肉量・活動量・睡眠・ストレス・食欲・便通・水分代謝などが重なって、体重や体型が変わることがあります。

  • 数か月から数年かけて、体重や腹囲が増えているか
  • お腹まわり、過食、便秘、冷え、疲労のどれが目立つか
  • 脂肪の増加と、数日単位で変わるむくみを区別できているか

更年期太りの漢方は「太り方+一緒に出ている不調」で選びます

「更年期太りだから防風通聖散」と一つに決めることはできません。 お腹まわりが増えたのか、食欲が乱れるのか、疲れて動けないのか、冷えや便秘、むくみが重なるのかによって、比較する漢方薬は変わります。

  • お腹まわり・便秘・暑がりが中心なら、湿熱傾向として防風通聖散大柴胡湯などを比較します。
  • 体重増加にむくみ・重だるさが重なるなら、湿痰傾向として九味檳榔湯などを比較します。
  • 冷えのぼせ・肩こり・便秘が重なるなら、血瘀傾向として桂枝茯苓丸料桃核承気湯などを検討します。
  • ストレス過食・不眠・イライラが中心なら、気滞・血虚傾向として柴胡加竜骨牡蛎湯などを比較します。
  • 食べていないのに太る・冷える・疲れて動けないなら、気虚・陽虚傾向として真武湯などを検討します。

体重だけではなく、食欲・便通・冷え・疲労・むくみまで含めて体質を確認します。

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急な体重増加や強いむくみは、漢方だけで様子を見ないでください。

短期間で急に体重が増えた、息切れ・動悸・胸痛がある、片脚だけが腫れる、強い口渇や多尿がある、食べていないのに増え続ける場合は、心臓・腎臓・甲状腺・糖代謝・薬の影響などを確認するため医療機関へ相談してください。

更年期太りと「むくんで太く見える状態」は別に考えます

更年期太り

数か月から数年単位で体重・腹囲・服のサイズが増える状態です。体脂肪、食欲、活動量、睡眠、便通などを確認します。

更年期のむくみ

朝夕や数日単位で顔・手・脚の腫れ方が変わり、靴下の跡や指輪のきつさが出る状態です。尿、冷え、左右差、痛みなどを確認します。

両方が重なることもありますが、むくみだけを「脂肪が増えた」と判断したり、実際の体重増加を「水太りだけ」と考えたりすると、対策がずれます。足・顔・手の腫れが主な悩みの場合は、更年期のむくみも確認してください。

なぜ更年期に太りやすくなるのか

更年期には女性ホルモンが大きく変動し、体温調節、睡眠、気分、食欲なども揺らぎやすくなります。さらに加齢による筋肉量の低下、活動量の減少、睡眠不足、ストレス、便秘が重なると、以前と同じ食事でも体重を調整しにくくなります。

1消費する力が落ちる

筋肉量や活動量が減ると、日常で使うエネルギーが少なくなります。

2食欲が乱れやすい

不眠、ストレス、イライラにより、間食や甘いもの、過食が増えることがあります。

3排泄と巡りが滞る

便秘、むくみ、冷え、血流の低下が体の重さや体型変化に重なることがあります。

更年期太りは「ホルモンのせいだから仕方がない」という意味ではありません。 食事、運動、睡眠の見直しは基本です。そのうえで、続けられない理由や一緒に出ている不調を体質から整理するのが漢方の役割です。

更年期太りを5つの太り方から整理する

体質は一つにきれいに分かれません。湿熱に血瘀が重なる、湿痰に気虚が重なる、気滞に血虚が重なるなど、複数の傾向が同時に現れることがあります。

太り方と一緒に出る不調から、詳しい体質ページを確認できます。
太り方 目立つ変化 一緒に出やすい不調 漢方で見るポイント 詳しく見る
湿熱 お腹まわり・内臓脂肪 便秘、暑がり、汗、口の渇き 余分な栄養・水分・熱のこもり 湿熱タイプ
湿痰 体重増加+水太り・下半身の重さ むくみ、だるさ、胃腸の弱さ 脂肪増加に水分停滞が重なる 湿痰タイプ
血瘀 下腹部・腰まわりが落ちにくい 冷えのぼせ、肩こり、便秘、頭痛 骨盤周辺と全身の血の巡り 血瘀タイプ
気滞・血虚 ストレス食い・甘いもの・体重の波 イライラ、不安、不眠、疲労 食欲と自律神経、心身を養う力 気滞・血虚タイプ
気虚・陽虚 食べていないのに太る・痩せにくい 冷え、疲労、むくみ、下痢、頻尿 活動する力と体を温める力 気虚・陽虚タイプ

更年期太りで比較される代表的な漢方薬

漢方薬は、体重だけで選ぶものではありません。同じ処方でも、便通、体力、冷え、汗、胃腸、服薬状況によって向き不向きがあります。

防風通聖散

お腹まわり、便秘、暑がりなどがあり、比較的体力のある湿熱傾向で比較します。

大柴胡湯

みぞおちから脇腹の張り、便秘、ストレス、がっしりした体格が目立つ場合に比較します。

九味檳榔湯

体重増加に、むくみ、だるさ、腹部膨満感、下半身の重さが重なる場合に比較します。

桂枝茯苓丸料

冷えのぼせ、肩こり、下腹部の張り、月経トラブルなど血瘀傾向で比較します。

桃核承気湯

血瘀に便秘、のぼせ、イライラが重なり、骨盤周辺の滞りが目立つ場合に検討します。

柴胡加竜骨牡蛎湯

不眠、不安、イライラ、便秘、過食など、心身の緊張と食欲の乱れが重なる場合に比較します。

真武湯

冷え、疲労、むくみ、下痢、めまいなどがあり、体を温めて動かす力が弱い場合に比較します。

加味逍遙散

更年期のイライラ、気分の波、のぼせ、冷え、月経トラブルが重なる場合に検討します。

防已黄耆湯

体重増加よりも、汗かき、水太り、下肢のむくみ、疲れやすさが中心の場合に比較します。

※処方名は代表例です。持病、妊娠可能性、併用薬、体力、便通などにより選択は変わります。自己判断で複数の漢方薬を併用しないでください。

更年期太りを整える生活の5つのポイント

1. 体重と腹囲を同じ条件で測る

毎日の増減に一喜一憂せず、週単位の傾向を見ます。むくみの強い日も記録します。

2. 食事を減らしすぎない

極端な制限は疲労や反動の過食につながります。たんぱく質、野菜、主食を整えます。

3. 筋肉を落とさない

歩行に加え、無理のないスクワットや立ち座りなど、継続できる筋力運動を取り入れます。

4. 睡眠とストレスを食欲対策にする

夜更かしや緊張が続くと間食が増えやすくなります。就寝時間と呼吸を整えます。

5. 便秘とむくみを放置しない

水を一律に増減せず、便通、尿、塩分、冷え、活動量を一緒に見直します。

堀口先生の相談データから見る更年期太り

堀口和彦先生が「うち漢方/光和堂薬局」で行った過去の漢方相談・処方選定データから、体重、腹囲、体脂肪または内臓脂肪の増加が明記された更年期世代の女性相談を厳格に抽出したところ、85件が確認されました。

むくみだけの相談、以前から肥満だったものの増加時点が分からない相談、「痩せたい」という希望だけの相談は、この85件に含めていません。

85件体重・腹囲・脂肪の増加が明記

実際の体重増加、下腹部やウエストの変化、脂肪増加を確認できた相談です。

39件・25件便秘・むくみ

脂肪だけでなく、便通や水分停滞を一緒に確認する必要がある相談がありました。

24件・20件過食・疲労

食行動の乱れや、疲れて動けないことが体重変化に重なる例も見られました。

症状・体質・処方選定の集計を見る

一緒に記録されていた症状

便秘39件、月経トラブル35件、むくみ25件、過食・ドカ食い24件、冷え22件、発汗・多汗22件、疲労感・活動量低下20件、下痢・軟便19件、ほてり・のぼせ19件、不安感・気分の落ち込み18件でした。

記録されていた体質傾向

血瘀74件、湿痰73件、湿熱70件、血虚43件、気虚27件、陽虚24件などが確認されました。1件の相談に複数の体質が記録されるため、合計は85件を超えます。

処方選定の出現数

単独処方として確認できたものでは、柴胡加竜骨牡蛎湯17件、九味檳榔湯15件、防風通聖散8件などがありました。これは効果順位ではなく、体重増加と一緒に見られた不眠、不安、便秘、むくみ、冷え、腹部膨満感などを含めて選定された結果です。

相談データから見える5つの太り方

お腹まわり・便秘・熱感
湿熱腹囲便秘

食事量だけでなく、便通、暑がり、発汗、腹部の張りまで含めて整理します。

湿熱タイプを詳しく見る

体重増加に水太りが重なる
湿痰むくみ重だるさ

一時的な腫れだけではなく、実際の体重・体型変化がある相談を扱います。

湿痰タイプを詳しく見る

冷えのぼせ・肩こり・便秘
血瘀下腹部巡り

骨盤周辺の滞り、月経変化、肩こりなどを含めて考えます。

血瘀タイプを詳しく見る

ストレス食い・甘いもの
気滞・血虚過食不眠

意思の弱さと決めつけず、気分、睡眠、疲労、食欲の波を確認します。

気滞・血虚タイプを詳しく見る

食べていないのに太る・冷える
気虚・陽虚疲労冷え

活動量が落ちる理由、胃腸、下痢、むくみなどを含めて整理します。

気虚・陽虚タイプを詳しく見る

※この集計は、堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データを、公開用に匿名化・分類したものです。KanpoNow薬局の販売実績や改善実績を示すものではなく、効果を保証するものでもありません。

更年期太りと漢方について、よくある質問

更年期太りには、どの漢方薬が比較されますか?

太り方と一緒に出ている不調によって異なります。腹部脂肪・便秘・暑がりには防風通聖散、むくみ・汗かき・疲れやすさには防已黄耆湯、冷えのぼせ・肩こりには桂枝茯苓丸料、ストレス過食・不眠・不安には柴胡加竜骨牡蛎湯などを比較します。体重だけで処方を決めるものではありません。

防風通聖散と防已黄耆湯は、どう違いますか?

防風通聖散は、腹部に脂肪が多く、便秘がちで、比較的体力のある方に比較されます。防已黄耆湯は、比較的体力がなく、疲れやすく汗をかきやすい方のむくみや水太り傾向で比較されます。冷え、便通、胃腸、発汗、持病、服薬状況まで確認して選びます。

防風通聖散を飲めば、更年期太りは痩せますか?

防風通聖散は、誰にでも使える減量薬ではありません。腹部に皮下脂肪が多く便秘がちな方の肥満症などに用いられますが、冷え、虚弱、下痢、胃腸の弱さ、著しい発汗がある方には合わないことがあります。食事・運動・睡眠の見直しを基本とし、改善がない場合は漫然と継続せず相談してください。

むくみや水太りが目立つ場合は、どの漢方薬を比較しますか?

疲れやすく汗をかきやすい水太り傾向では防已黄耆湯、下半身のむくみ・重だるさ・腹部膨満感が目立つ場合は九味檳榔湯などを比較することがあります。ただし、短期間での急な体重増加、息切れ、胸痛、片脚だけの腫れがある場合は、漢方より医療機関での確認を優先してください。

便秘・冷えのぼせ・肩こりの更年期太りには、どの漢方薬が考えられますか?

冷えのぼせ、肩こり、頭痛、下腹部の張りなど血の滞りが目立つ場合は桂枝茯苓丸料、便秘やのぼせ、イライラが強い場合は桃核承気湯や通導散などを比較します。桃核承気湯や通導散は大黄を含むため、下痢しやすい方、妊娠中・授乳中の方、ほかの下剤を使用中の方は自己判断で使わず相談してください。

ストレス過食・不眠・イライラがある場合は、どの漢方薬を比較しますか?

不安、動悸、不眠、便秘、緊張が強く、過食につながる場合は柴胡加竜骨牡蛎湯、イライラ、気分の波、のぼせ、冷えなどが重なる場合は加味逍遙散などを比較します。どちらも過食だけを止める薬ではなく、心身の症状と体質を含めて選びます。

冷え・疲労・下痢・むくみがある場合は、どの漢方薬が考えられますか?

体が冷え、疲れやすく、下痢やめまい、むくみが重なる場合は真武湯、汗をかきやすく疲れやすい水太り傾向では防已黄耆湯などを比較することがあります。これらは体重を直接落とす目的ではなく、冷えや水分代謝、体力低下を含めて選ぶ処方です。

ホルモン補充療法(HRT)や病院の薬と漢方は併用できますか?

併用を検討できる場合はありますが、自己判断で追加・中止しないでください。HRTを受けている方、持病の治療中の方、複数の薬や漢方薬を使用している方は、処方医と薬剤師に使用中の薬をすべて伝えます。特に甘草、大黄、麻黄、黄芩などの重複や、血圧、心臓、腎臓、甲状腺への影響を確認します。

更年期太りの漢方は、どのくらい続けて判断しますか?

製品と処方によって確認時期が異なるため、添付文書や専門家の指示に従います。体重だけでなく、腹囲、便通、むくみ、食欲、疲労、睡眠の変化を記録し、改善がない場合は漫然と継続しません。下痢、強い腹痛、動悸、息苦しさ、むくみの悪化、筋肉のつり、発疹などが現れた場合は服用を中止して相談してください。

どのような体重増加なら、漢方より医療機関を優先すべきですか?

数週間から数か月で急に体重が増えた、息切れ・胸痛・強い動悸がある、片脚だけが腫れる、強い口渇や多尿がある、食べる量が少ないのに増え続ける場合は受診を優先してください。過食嘔吐、極端な食事制限、著しい体重変動、食行動を止められない状態がある場合も、摂食障害の専門医療へ相談してください。

医療機関へ相談したい体重増加

  • 数週間から数か月で急に体重が増えた
  • 息切れ、胸痛、強い動悸、横になると苦しい状態がある
  • 片脚だけの腫れ、痛み、赤み、熱感がある
  • 強い口渇、多尿、極端な疲労がある
  • 食べる量が少ないのに増え続ける、または甲状腺疾患が心配
  • 過食嘔吐、極端な食事制限、急激な体重変動がある

参考・出典

  1. 厚生労働省「女性の健康づくり」
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」関連情報
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
  4. 日本女性医学学会「更年期障害」
  5. 堀口和彦先生による「うち漢方/光和堂薬局」時代の漢方相談・処方選定データ

更年期太りは、同じ体重増加でも、体質と一緒に出ている不調によって考え方が変わります。

体重だけで決めず、食欲、便通、冷え、疲労、むくみ、睡眠まで含めて確認してください。

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本ページは一般的な健康情報および過去の匿名化された相談データをもとに、漢方の考え方を紹介するものです。診断や治療を目的とするものではなく、特定の漢方薬の効果を保証するものでもありません。持病がある方、治療中の方、医薬品を服用中の方は、医師または薬剤師へ相談してください。

監修者プロフィール
堀口和彦

堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師

光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。

著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。