下腹部が気になり、暑い時期には食欲と発汗が増える
腹囲の増加に加え、便秘と軟便を繰り返し、発汗、肩こり、イライラも重なっていました。体質判定では湿熱の傾向が強く、便通、熱症状、水分停滞をまとめて確認しています。
お腹まわりや下腹部が増え、便秘、暑がり、発汗、ほてりが重なる更年期太りは、漢方では「湿熱(しつねつ)」の視点から考えることがあります。
湿熱タイプは、余分な水分や栄養が体内に停滞し、そこに熱がこもった状態です。単に体重が増えるだけでなく、お腹の張り、便がすっきり出ない、顔や上半身が熱い、汗をかきやすい、食欲やイライラが強い、といった特徴が重なります。
ただし、更年期のお腹太りがすべて湿熱とは限りません。冷えて動けない気虚・陽虚、むくみが中心の湿痰、肩こりや冷えのぼせを伴う血瘀、ストレス過食が中心の気滞・血虚とは、処方の考え方が異なります。
湿熱タイプで確認したいポイント
漢方でいう「湿」は、体内に停滞した余分な水分や重だるさの原因となるものです。「熱」は、ほてり、発汗、口の渇き、イライラ、炎症傾向などとして現れます。この湿と熱が重なった状態を湿熱と考えます。
更年期には女性ホルモンの変動に加え、睡眠の乱れ、活動量の低下、ストレス、食行動の変化が重なります。その結果、以前と同じ食事量でもお腹まわりが増え、便通や発汗にも変化が出ることがあります。
体重だけでなく、下腹部、腰まわり、ウエストの変化が目立ちやすいタイプです。
便が毎日出ても量が少ない、お腹が張る、すっきりしない場合があります。
顔や首が急に熱くなり、汗が増える一方、冷房では冷えを感じることもあります。
湿熱タイプは「水太り」だけではありません。
一日の中で変動するむくみよりも、数か月から数年単位で続く体重・腹囲の増加に、便秘、暑がり、発汗などが重なることが中心です。むくみや靴下跡だけが主症状の場合は、更年期のむくみや湿痰タイプも確認します。
ストレスや睡眠不足が重なると、夕方以降の間食や、食欲の波が大きくなることがあります。
便秘やお腹の張りが続くと、体重だけでなく、下腹部の見た目や不快感も強くなります。
暑がりで汗をかいていても、体内の水分バランスが整っているとは限りません。
チェック数だけで漢方薬は決まりません。体力、胃腸の強さ、便の状態、服薬状況、既往歴を含めて判断します。
| 太り方 | 一緒に出やすい特徴 | 体質の方向 |
|---|---|---|
| お腹まわり・内臓脂肪が気になる | 便秘、暑がり、発汗、ほてり | 湿熱 |
| むくみ・水太り・下半身太り | 靴下跡、体の重さ、天候で変動 | 湿痰 |
| 冷えのぼせ・肩こり・便秘を伴う | 下腹部の張り、頭痛、月経歴 | 血瘀 |
| ストレスで甘いものが止まらない | イライラ、不安、不眠、過食 | 気滞・血虚 |
| 食べていないのに太る | 疲労、冷え、胃腸虚弱、活動量低下 | 気虚・陽虚 |
「更年期太り」という症状名だけで処方は決まりません。体力、便秘の程度、発汗、冷え、精神症状、胃腸の強さを比較します。
比較的体力があり、お腹まわりの脂肪、便秘、のぼせ、熱感が重なる場合に比較されます。冷えや胃腸虚弱、下痢傾向が強い方には慎重な判断が必要です。
イライラ、不安、不眠、胸やみぞおちの張り、便秘傾向など、ストレスと内側にこもった熱が目立つ場合に比較します。
体の重さ、下肢のむくみ、お腹の張り、だるさなど、水分停滞が体重増加に重なる場合に比較します。
更年期ののぼせ、発汗、イライラ、頭痛、めまいなどが強く、体重や食欲の変化と一緒に現れる場合に比較します。
便秘薬の成分が入る処方には注意が必要です。
大黄などを含む処方では、腹痛や下痢が出ることがあります。ほかの便秘薬、漢方薬、サプリメントを使用している場合も、自己判断で重ねず、薬剤師や医師へ確認してください。
以下は、堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データをもとに、個人が特定されないよう公開用に要約した参考例です。
腹囲の増加に加え、便秘と軟便を繰り返し、発汗、肩こり、イライラも重なっていました。体質判定では湿熱の傾向が強く、便通、熱症状、水分停滞をまとめて確認しています。
更年期症状に伴う気分の揺れ、過食傾向、ほてりがあり、体重の増加にも悩んでいました。便通や睡眠も含め、自律神経の緊張と内側にこもる熱を確認しています。
選定記録にある処方:柴胡加竜骨牡蛎湯
頭や首が急に熱くなって汗が出る更年期症状に、便秘と体重増加が重なっていました。発汗だけでなく、便通、睡眠、精神的な高ぶりを含めて処方を検討しています。
選定記録にある処方:柴胡加竜骨牡蛎湯
肥満傾向と月経の乱れがあり、体重が落ちにくいことを相談していました。年齢だけで更年期と決めず、月経歴、便通、水分停滞、体質判定を組み合わせて確認しています。
選定記録にある処方:九味檳榔湯
下腹部の変化、代謝の低下感、便秘、ほてり、頭痛などが重なっていました。湿熱だけでなく、血瘀や陽虚も含む複合的な体質として確認しています。
選定記録にある処方:女神散
生活の変化で活動量が減り、体重増加、体の重さ、ホットフラッシュ、便秘傾向が重なっていました。湿熱だけでなく、湿痰や血瘀も含めて処方が選定されています。
※上記は、堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データをもとに公開用に要約した参考例です。漢方薬の選定は、症状名だけでなく、冷え、胃腸の状態、便通、睡眠、発汗、服薬状況などを含めて総合的に判断されます。KanpoNow薬局の販売実績・改善実績を示すものではなく、効果を保証するものでもありません。
夜遅い食事や、夕方以降の間食が続いていないか確認します。極端な食事制限ではなく、食事の時間を安定させます。
回数だけでなく、量、硬さ、残便感、腹痛の有無を記録すると、処方を見直す材料になります。
大量に汗をかくことより、歩行や筋力運動を継続し、活動量を保つことが重要です。
短い睡眠や中途覚醒が続くと、食欲や間食のコントロールが難しくなります。
一律ではありません。体力、胃腸の強さ、便秘の程度、発汗、冷え、服薬状況によっては別の処方を比較します。冷えや下痢が強い場合は特に慎重な判断が必要です。
あります。暑がり、発汗、口の粘り、お腹の張り、食欲の強さなどが中心になる場合もあります。ただし、便秘がない場合は湿痰や気滞など、ほかの体質も比較します。
むくみだけでは決まりません。体重・腹囲の増加に、暑がり、便秘、発汗が重なる場合は湿熱、水分変動や下半身の重さが中心なら湿痰を比較します。
漢方薬は体重を機械的に落とすものではありません。便通、水分代謝、睡眠、食欲、冷えなど、体重増加の背景を整えるために使われます。食事、活動量、睡眠の見直しも必要です。
急速な腹囲増加、強い腹痛、不正出血、息苦しさ、著しいむくみ、短期間の大幅な体重増加がある場合は、漢方だけで判断せず医療機関へ相談してください。
更年期太りは、体重だけでは処方を選べません。
お腹まわり、便秘、発汗、ほてり、むくみ、冷え、食欲、睡眠をまとめて確認します。
AI漢方診断をする(無料)本ページは一般的な情報提供を目的としており、診断や治療を代替するものではありません。体調や服用中の薬、妊娠・授乳の可能性、持病がある場合は、医師または薬剤師へご相談ください。
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。