血瘀を伴う下腹部太り:47歳女性の相談例
更年期に入り、下腹部が出てきたことに加え、便秘、強い肩こり、冷え、ほてり、イライラ、めまいに悩んでいました。食べる量を減らしても体重が増え、便通を整えても太りやすさが残っていました。
この例では、下腹部の変化だけでなく、便秘、冷えのぼせ、肩こり、めまいを含めて血の巡りと自律神経を確認し、柴胡加竜骨牡蛎湯と桃核承気湯が選定されました。
顔はのぼせるのに足は冷える。肩や首がこる。便秘が続き、食事を減らしても下腹部や腰まわりが落ちにくい。
更年期太りの中でも、体重や下腹部の変化に「冷えのぼせ」「肩こり」「便秘」「頭痛」「月経トラブル」が重なる方は、漢方でいう血瘀(けつお)の傾向を考えることがあります。
更年期にお腹まわりが増えたからといって、全員が同じ漢方薬を選ぶわけではありません。血瘀タイプでは、骨盤周辺や全身の血の巡りが滞り、便秘、肩こり、頭痛、冷えのぼせなどが同時に現れているかを確認します。
体重そのものより、下腹部や腰まわりの張り、硬さ、服のきつさが気になることがあります。
上半身はほてる一方で、手足や下半身は冷えるなど、熱の分布が偏りやすくなります。
肩こり、頭痛、便秘、月経トラブル、シミやくすみなどを含めて体質を判断します。
むくみが主症状の場合は、更年期のむくみと分けて考えます。
夕方だけ脚が腫れる、数日で体重が大きく変動する、靴下の跡が残る場合は、水分停滞が中心のことがあります。その場合は更年期のむくみも確認してください。このページでは、数か月以上続く体重・腹囲の変化に、便秘や冷えのぼせ、肩こりなどが重なる状態を中心に扱います。
更年期には、女性ホルモンの変動、睡眠不足、ストレス、活動量の低下などが重なり、体重や体型が変化しやすくなります。血瘀タイプでは、そこに便通の滞りや筋肉の緊張、冷えのぼせなどが加わり、下腹部や腰まわりの重さを感じやすくなります。
便秘や月経トラブルが重なると、下腹部の張りや重さが目立ちやすくなります。
顔や上半身はほてるのに、手足や下半身は冷える「冷えのぼせ」が起こりやすくなります。
肩こり、頭痛、腰痛などで活動量が落ちると、体重管理も難しくなります。
ただし、「血の巡りが悪いから脂肪が増える」と単純に断定することはできません。実際には、食事、活動量、睡眠、持病、薬の影響なども確認しながら、血瘀の傾向が体重変化にどう重なっているかを見ます。
体重は大きく増えていなくても、下腹部や腰まわりに変化を感じることがあります。
ほてりや発汗がある一方で、手足、腰、足先の冷えが強いことがあります。
排便が滞ることで、腹部の張りや体の重さを感じやすくなる場合があります。
こりや痛みが長く続き、運動や日常活動を妨げることがあります。
※該当数だけで体質は決まりません。閉経後の出血、急な腹部膨満、強い腹痛などがある場合は、漢方の体質判断より先に医療機関へ相談してください。
| タイプ | 太り方・主な特徴 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| 血瘀 | 下腹部太り、冷えのぼせ、肩こり、便秘 | 頭痛、月経トラブル、シミ、固定性の痛み |
| 湿熱 | お腹まわり、内臓脂肪、便秘 | 暑がり、汗、食欲、赤ら顔 |
| 湿痰 | 水太り、下半身太り、むくみ | 靴下跡、重だるさ、天候で変化 |
| 気虚・陽虚 | 食べていないのに太る、疲れて動けない | 冷え、胃腸虚弱、軟便、夜間頻尿 |
| 気滞・血虚 | ストレス過食、甘いもの欲求 | イライラ、不安、不眠、食欲の波 |
血瘀タイプでも、処方は下腹部太りだけで決めません。便通、月経、冷えのぼせ、体力、胃腸、妊娠可能性、併用薬などによって候補が変わります。
冷えのぼせ、肩こり、頭痛、月経トラブル、下腹部の張りなど、瘀血の傾向がある場合に比較される代表的な処方です。便秘が強いかどうかでも選択は変わります。
瘀血の傾向に便秘や下腹部の張り、のぼせ、イライラなどが重なる場合に検討されます。大黄や芒硝を含むため、下痢しやすい方、妊娠中・妊娠可能性がある方などは専門家への相談が必要です。
便秘、下腹部の張り、月経トラブル、肩こりなど、瘀血と便通の滞りが強い場合に比較されます。体力や胃腸の状態を確認して使います。
冷え、めまい、むくみ、月経トラブルなど、血虚や水分停滞が重なる場合に比較されます。血瘀だけが中心の処方とは位置づけが異なります。
のぼせ、発汗、イライラ、めまいなど、更年期の熱感や自律神経症状が目立つ場合に比較されます。
漢方薬は体重減少を保証するものではありません。
桂枝茯苓丸料や桃核承気湯は、証(体質・症状)を考慮して使用する必要があります。複数の漢方製剤を併用するときは、生薬の重複や副作用にも注意が必要です。
長時間同じ姿勢を続けず、1時間に一度は立ち上がり、足首や股関節を動かします。
水分、食物繊維、朝食、運動のバランスを整えます。強い便秘や腹痛がある場合は、自己判断で下剤や漢方を増やさず相談してください。
冷房、薄着、冷たい飲食物が続くと下半身の冷えを感じやすくなります。無理のない範囲で入浴や温かい食事を取り入れます。
ウォーキング、軽いスクワット、ストレッチなどを、翌日に痛みを残さない強さから始めます。
週1回程度、体重、腹囲、便通、冷えのぼせ、肩こりを一緒に記録すると、変化を把握しやすくなります。
以下は、堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データのうち、体重・腹囲の変化に便秘、冷えのぼせ、肩こりなどが重なった例を、個人が特定されないよう公開用に要約したものです。KanpoNow薬局の販売実績や改善実績を示すものではなく、効果を保証するものでもありません。
更年期に入り、下腹部が出てきたことに加え、便秘、強い肩こり、冷え、ほてり、イライラ、めまいに悩んでいました。食べる量を減らしても体重が増え、便通を整えても太りやすさが残っていました。
この例では、下腹部の変化だけでなく、便秘、冷えのぼせ、肩こり、めまいを含めて血の巡りと自律神経を確認し、柴胡加竜骨牡蛎湯と桃核承気湯が選定されました。
子宮と両卵巣の摘出後、以前は食べても太らなかった体質から、食事や運動に気をつけても太りやすい状態へ変化しました。体重は標準範囲でも、胃から下腹部に脂肪がつき、便秘、ほてり、頭痛、めまい、イライラが重なっていました。
この例では、体重の数字だけでなく、術後のホルモン変化、腹部脂肪、便通、のぼせなどを含めて女神散が選定されました。
年齢とともに代謝が落ち、体重が増加傾向になった相談です。手のしびれ、抜け毛、強い冷え、むくみ、硬い便があり、おへその周りが硬く張る感覚もありました。
この例では、体重増加とむくみだけでなく、冷え、便通、骨盤周辺の巡りを含めて、桂枝茯苓丸料と当帰芍薬散が選定されました。
運動不足と関節の痛みが重なり、体重増加と体の重さを感じていた相談です。手指のこわばり、ホットフラッシュ、便秘傾向、むくみもあり、活動量を増やしにくい状態でした。
この例では、水分代謝と血の巡りの両方を見ながら、九味檳榔湯と桂枝茯苓丸料が選定されました。
炭水化物の過食があり、お腹の皮下脂肪、手足や顔のむくみ、肩・首のこり、腰の痛み、末端の冷え、顔ののぼせに悩んでいました。仕事や生活上の強いストレスもあり、イライラが重なっていました。
この例では、腹部脂肪や便秘だけでなく、血の巡り、熱感、ストレスを含めて、桃核承気湯と女神散が選定されました。
若い頃から足のむくみがあり、更年期には足首が分からないほど腫れるようになりました。体重増加、冷え、便秘、ほてり、めまいも重なり、運動を続けても下半身の重さが残っていました。
この例では、むくみだけでなく、体重増加と血・水の巡りを含めて九味檳榔湯が選定されました。
食事量は多くないのに体重増加が著しく、ほてり、首から頭部の発汗、腹部膨満感、下痢、慢性疲労、不安感が重なっていました。食欲がない時と突然過食になる時の差も大きい相談でした。
この例では、体重だけでなく、過食、熱感、胃腸、自律神経を含めて、九味檳榔湯と柴胡加竜骨牡蛎湯が選定されました。
※原資料上で症状、年齢、処方選定を確認できた7件を掲載しています。相談例は公開用に要約し、1例あたりの処方表示は最大2つに整理しています。
下腹部の変化だけでは判断できません。便秘、冷えのぼせ、肩こり、月経トラブル、痛みなどが重なるかを確認します。
どちらも瘀血の傾向で検討されますが、桃核承気湯は便秘や下腹部の張り、のぼせなどが強い場合に比較されます。体力や便通、妊娠可能性などを含めて判断します。
便通が整うことで腹部の張りや一時的な体重変動が改善することはありますが、体脂肪の減少とは別です。食事、活動量、睡眠も重要です。
下半身を冷やさないことは大切ですが、熱い長風呂や過度な温めでほてりが強くなる場合があります。無理のない温度と時間にしてください。
あります。月経がなくても、冷えのぼせ、肩こり、頭痛、便秘、固定性の痛みなどを含めて血の巡りを考えます。ただし閉経後の出血は必ず婦人科へ相談してください。
次のような場合は、体質の問題と決めつけず、医療機関へ相談してください。
強い冷え、むくみ、便秘、無気力などは、甲状腺機能低下症などでも見られます。更年期症状に似ていても、症状が続く場合は内科や婦人科で確認することが大切です。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断や治療を代替するものではありません。漢方薬にも副作用や相互作用があり、体質、持病、妊娠・授乳、服薬状況によって適否が異なります。治療中の方や症状が強い方は、医師・薬剤師へご相談ください。
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。