排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)

排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)は、漢方の古典『金匱要略』に記される、化膿性疾患の基本処方です。「腫れを動かし、膿を外へ導く」という考え方に基づき、膿が溜まり始めた初期から軽度の化膿状態を整えるために用いられてきました。局所にこもった「熱」と「気の滞り」をほどき、スムーズな排出と回復を助けます。

成分(生薬)

桔梗、甘草、枳実、芍薬、大棗、生姜

漢方的な考え方

漢方では、炎症が起きる背景には、気の流れが詰まる「気滞(きたい)」と、それによって生じる「熱毒」があると考えます。本方は、滞りを力強く突き破る力と、患部の緊張を和らげる力の両方を備えています。切開などの処置を必要とする手前の段階で、自然な形で膿を整理し、患部の圧迫感や痛みを緩和するのが特徴です。

  • 化膿性皮膚疾患: おでき、にきび、湿疹などが赤く腫れ、芯ができて痛み出した初期から軽度の化膿状態。
  • 歯肉炎・扁桃炎: 歯ぐきや喉の粘膜が腫れ、化膿に伴う痛みや不快感がある状態。体力の有無に関わらず、局所の炎症を目標に用いられます。
  • 腫れと緊張感: 気が滞って熱を持つことで生じる、皮膚や粘膜の「つっぱり感」や「ズキズキする痛み」を感じる状態。

構成生薬の役割

  • 詰まりを動かし膿を排す: 桔梗(ききょう)が膿を排出しやすい道筋を作り、枳実(きじつ)が強力に気の滞りを破ることで、腫れの原因となっている「詰まり」を解消します。
  • 毒を制し緊張を和らげる: 甘草が炎症を抑えて解毒し、芍薬(しゃくやく)が血(けつ)を和らげて痛みや強ばりを和らげます。
  • 消耗を防ぎ全体を調和する: 大棗(たいそう)・生姜が全体のバランスを整えながら、排膿に伴う体力の消耗を防ぎ、回復力を支えるように働きます。

効能・効果(添付文書)

化膿性皮膚疾患の初期又は軽いもの、歯肉炎、扁桃炎

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堀口和彦(漢方薬剤師) 監修:堀口 和彦(漢方薬剤師)

執筆: KanpoNow編集部

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