更年期の動悸に漢方|ドキドキ・不安を8つの体質から考える

更新日:2026年7月17日 監修:堀口和彦

更年期に胸の動悸を感じる女性

突然、胸がドキドキする。夜、横になると鼓動が気になる。動悸が始まると、「心臓の病気では」と不安になる。

更年期の女性に動悸や息苦しさが現れることはあります。ただし、動悸は更年期だけに特有の症状ではありません。心臓や肺の病気、不整脈、甲状腺の異常、貧血、薬やカフェインの影響などでも起こります。

漢方で体質を考える前に、危険な動悸を見逃さないことが大前提です。医療機関で重大な病気がないことを確認したうえで、不安、不眠、ほてり、発汗、冷え、疲労、めまい、胃腸などを含めて体質を比較します。

胸が急にドキドキする 夜や安静時に鼓動が気になる 不安・不眠と一緒に出る ほてり・発汗・めまいもある

動悸は「更年期だから」で済ませず、先に医療評価を

  • 初めての動悸、繰り返す動悸、脈が飛ぶ・乱れる感じがある場合は、まず内科・循環器内科へ相談します。
  • 胸痛、圧迫感、失神、強い息苦しさ、冷や汗、著しく速い脈を伴う場合は、早急な受診が必要です。
  • 心臓・肺などに問題がなく、更年期症状との関連が考えられる場合に、婦人科や漢方相談で体質を比較します。
  • 漢方薬は「動悸」という症状名ではなく、不安・不眠・熱・冷え・疲労・胃腸などを含めて選びます。

胸痛・胸の圧迫感、失神、呼吸が苦しく会話しにくい、顔色や唇の色が悪い、冷や汗を伴う場合は、救急要請を含めて速やかに医療機関へ相談してください。

心臓病の治療中の方に、これまでなかった動悸、息切れ、失神、めまいが出た場合も、担当医へ早めに連絡してください。

更年期の動悸とは

動悸とは、心臓の拍動を「ドキドキする」「強く打つ」「速く感じる」「脈が飛ぶ・乱れる」などと自覚する症状です。更年期の女性に動悸や息苦しさが現れることはありますが、日本女性医学学会は、ほてりや発汗ほど女性ホルモン低下との関連が深い症状とは限らず、心臓・肺などの病気がないことが前提だと説明しています。

そのため、まだ心電図、心臓超音波、胸部検査などを受けていない場合は、「更年期だろう」と決めつけず、まず呼吸・循環器系の診察を受けることが重要です。貧血や甲状腺異常などがないことも確認します。

「検査で異常なし」でも、つらさが存在しないわけではありません。

重大な心肺疾患が否定されたあとも、女性ホルモン変動、睡眠不足、不安、ほてり、疲労などが重なり、拍動を強く感じることがあります。その段階で、婦人科治療や漢方を含む選択肢を検討します。

更年期の動悸に見られる4つの現れ方

緊張・不安型

ストレスで胸がドキドキする

不安、不眠、胸や喉のつかえ、ため息が重なる場合は、気滞などを比較します。

夜間・安静時型

横になると鼓動を強く感じる

不眠、寝汗、乾燥、冷えなどを確認します。ただし、安静時の不整脈もあるため反復時は受診します。

ほてり随伴型

熱くなり、汗と一緒に動悸が出る

陰虚、湿熱、血瘀などを比較します。脈が著しく速い場合は医療評価が必要です。

疲労・めまい型

疲れると動悸やふらつきが出る

血虚、気虚、陽虚、湿痰などを比較します。貧血、出血、甲状腺異常も確認します。

「脈が飛ぶ・抜ける・乱れる」は、体質分類より先に医療機関で確認してください。

一拍だけ飛ぶ感覚でも、不整脈の症状であることがあります。特に初めて出た、回数が増えた、めまい・息切れ・胸痛を伴う場合は、循環器内科へ相談してください。

受診時に伝えたい動悸の記録

1

いつ・どのくらい続いたか

始まった時刻、持続時間、安静時か運動時か、月経やほてりとの関係を記録します。

2

脈拍数と規則性

可能なら1分間の脈拍数と、規則的か、抜ける感じがあるかを記録します。

3

一緒に出た症状

胸痛、息苦しさ、めまい、失神、冷や汗、ほてり、不安、服用薬を伝えます。

※強い症状がある場合は、記録や脈の測定に時間をかけず、受診を優先してください。

なぜ更年期に動悸を感じることがあるのか

1

女性ホルモンが変動する

更年期には女性ホルモンが大きく変動し、ほてり、発汗、気分の揺らぎなど、さまざまな症状が現れます。

2

睡眠・不安・疲労が重なる

不眠や緊張が続くと、普段は意識しない拍動を強く感じやすくなる場合があります。

3

ほかの病気との区別が必要

不整脈、心疾患、呼吸器疾患、貧血、甲状腺異常、薬剤などを除外してから更年期との関係を考えます。

漢方では、動悸の背景にある「高ぶり・不足・滞り」を見ます

漢方では、動悸だけを見て処方を決めません。不安や緊張で気が上がっているのか、血や潤いが不足して心身が過敏なのか、熱がこもっているのか、冷えと疲労が強いのか、水分停滞や胃腸の弱りがあるのかを比較します。

  • 不安・緊張・イライラと連動するか
  • 夜間、安静時、運動時のどこで出るか
  • ほてり、発汗、乾燥、不眠があるか
  • めまい、立ちくらみ、疲労、顔色不良があるか
  • 冷え、下痢、むくみ、胃もたれがあるか
  • 月経、閉経、手術、ホルモン療法との関係
  • 血圧、脈拍、心臓・甲状腺の病気、服用薬

体質は1つに分かれず、動悸では安全確認が体質判定より先です。

気滞に陰虚が重なる、血虚に気虚が重なるなど、複数の体質が同時に見られます。ただし、漢方的な説明ができても、心疾患を否定したことにはなりません。

更年期の動悸を8つの体質で見る早見表

更年期の動悸を考える8つの体質
体質 動悸の出方 一緒に出やすい不調 漢方で見るポイント 詳しく見る
気滞 不安・緊張でドキドキする 不眠、胸・喉のつかえ、ため息 気の滞りと神経の高ぶり 気滞へ
陰虚 夜やほてり時に拍動が気になる 寝汗、乾燥、不眠、焦燥 潤い不足と虚熱 陰虚へ
血虚 疲労・不安・ふらつきと重なる 立ちくらみ、顔色不良、月経変化 心身を養う血の不足 血虚へ
湿熱 ほてり・発汗と強い拍動が出る 便秘、熱感、口の粘り 余分な熱と水分の停滞 湿熱へ
陽虚 冷え・消耗時に動悸を感じる 冷え、下痢、夜間頻尿、めまい 温め支える力の不足 陽虚へ
気虚 少し動くと動悸・息切れ 疲労、食欲低下、だるさ 気力と回復力の不足 気虚へ
血瘀 冷えのぼせ・肩こりと重なる 頭痛、月経痛、下腹部の張り 血の巡りと熱の偏り 血瘀へ
湿痰 めまい・胸のつかえと重なる 胃もたれ、むくみ、頭重 水分・痰と気の停滞 湿痰へ

横にスクロールしてご覧いただけます。脈が飛ぶ・乱れる場合は、体質表より受診を優先してください。

気滞体質で不安と動悸を感じる女性
不安・緊張・不眠

気滞体質|緊張すると胸がドキドキする

気滞は、ストレスや不安で気の巡りが滞った状態です。人間関係や考え事をきっかけに、胸の拍動を強く感じたり、喉やみぞおちがつかえたりします。

見分けるヒント不安、ため息、胸や喉のつかえ、不眠、症状がストレスで変動する。
漢方で見るポイント体力、便通、のぼせ、冷え、胃腸を確認します。

比較される漢方薬:柴胡加竜骨牡蛎湯半夏厚朴湯など。

柴胡加竜骨牡蛎湯は、不安、不眠、イライラ、便秘などを伴う比較的体力のある方で比較します。半夏厚朴湯は、喉・胸のつかえ、不安、吐き気、食欲低下などがある場合に比較します。

陰虚体質でほてりと夜間の動悸に悩む女性
ほてり・寝汗・乾燥

陰虚体質|夜やほてりの時に鎮まりにくい

陰虚は、心身を潤し熱を落ち着かせる力が不足した状態です。寝る前や明け方に鼓動が気になり、ほてり、寝汗、口の渇き、不眠が重なることがあります。

見分けるヒント夜間の熱感、寝汗、乾燥、眠りの浅さ、焦燥感。
漢方で見るポイント熱が強いか、冷えや虚弱も同時にあるかを分けます。

比較される漢方薬:桂枝加竜骨牡蛎湯女神散など。

桂枝加竜骨牡蛎湯は、疲れやすく神経過敏で、不眠や動悸がある場合に比較します。女神散は、のぼせ、めまい、精神的な高ぶりなどが前面に出る場合に比較します。

血虚体質で疲労とめまいを伴う動悸に悩む女性
疲労・めまい・不眠

血虚体質|心身を養えず、拍動に敏感になる

血虚は、心身を養う血が不足した状態です。疲労、立ちくらみ、眠りの浅さ、月経変化などと動悸が重なる場合に比較します。ただし、医学的な貧血は検査で確認します。

見分けるヒント疲れやすい、顔色不良、ふらつき、乾燥、月経量の変化。
漢方で見るポイント出血や貧血の有無、胃腸が栄養を取り込めるかを確認します。

比較される漢方薬:加味帰脾湯温経湯など。

加味帰脾湯は、心身の疲労、食欲低下、不安、不眠などが重なる場合に比較します。温経湯は、下半身の冷え、手足のほてり、乾燥、月経の乱れなどがある場合に比較します。

湿熱体質でほてりと発汗を伴う動悸に悩む女性
ほてり・多汗・便秘

湿熱体質|熱と発汗に動悸が重なる

湿熱は、余分な水分と熱が停滞した状態です。ホットフラッシュ、多汗、顔の赤み、便秘、熱感などと動悸が重なる場合に比較します。

見分けるヒント暑がり、多汗、便秘、口の粘り、顔の赤み、夜食や飲酒で悪化。
漢方で見るポイント脈の速さを医療的に確認し、冷やす処方が体力・胃腸に合うかを見ます。

比較される漢方薬:黄連解毒湯女神散など。

黄連解毒湯は、体力中等度以上で、のぼせ、顔の赤み、イライラなど熱が強い場合に比較します。女神散は、更年期ののぼせ、めまい、精神的な高ぶりなどがある場合に比較します。

陽虚体質で冷えとめまいを伴う動悸に悩む女性
冷え・下痢・消耗

陽虚体質|冷えと消耗で動悸を感じやすい

陽虚は、体を温め支える力が不足した状態です。冷え、下痢、めまい、夜間頻尿、疲労があり、動悸を感じる場合に比較します。

見分けるヒント手足や腰の冷え、軟便、疲労、低血圧傾向、温めると楽。
漢方で見るポイント脈が遅い・弱いと感じる場合も、まず医学的な評価が必要です。

比較される漢方薬:真武湯柴胡桂枝乾姜湯など。

真武湯は、冷え、下痢、めまい、むくみなどがある場合に比較します。柴胡桂枝乾姜湯は、比較的体力がなく、冷え、頭部の発汗、口渇、動悸、不眠などが重なる場合に比較します。

気虚体質で疲労と息切れを伴う動悸に悩む女性
疲労・息切れ・胃腸虚弱

気虚体質|少し動くだけで動悸・息切れが出る

気虚は、心身を動かし回復させる気が不足した状態です。疲れやすい、食欲がない、朝つらい、少しの動作で動悸や息切れが出る場合に比較します。

見分けるヒント疲労、食欲不振、食後の眠気、息切れ、風邪をひきやすい。
漢方で見るポイント運動時の動悸・息切れは、心肺疾患や貧血の確認が優先です。

比較される漢方薬:加味帰脾湯など。

心身の疲労、食欲低下、不安、不眠、血色不良などが目立つ場合に比較します。息切れが進行する場合は漢方で様子を見ないでください。

血瘀体質で冷えのぼせと肩こりを伴う女性
冷えのぼせ・肩こり・月経変化

血瘀体質|巡りの滞りと熱の偏りが重なる

血瘀は、血の巡りが滞った状態です。冷えのぼせ、肩こり、頭痛、月経痛、下腹部の張りなどと動悸が重なる場合に比較します。

見分けるヒント顔は熱いが足は冷える、肩こり、頭痛、経血の塊、固定した痛み。
漢方で見るポイント胸痛や圧迫感を「血瘀」と自己判断せず、医療評価を優先します。

比較される漢方薬:桂枝茯苓丸料など。

比較的体力があり、冷えのぼせ、肩こり、頭重、月経トラブルなどがある場合に比較します。妊娠の可能性、出血傾向、強い貧血がある場合は自己判断で使用しないでください。

湿痰体質でめまいと胸のつかえを伴う動悸に悩む女性
めまい・胃もたれ・むくみ

湿痰体質|水分停滞で胸やみぞおちがつかえる

湿痰は、余分な水分や濁りが停滞した状態です。めまい、頭重、胃もたれ、むくみ、胸やみぞおちのつかえと動悸が重なる場合に比較します。

見分けるヒントふわふわするめまい、頭重、胃のチャポチャポ感、むくみ、天候で悪化。
漢方で見るポイント心臓由来の息苦しさやむくみを除外してから、水分代謝を考えます。

比較される漢方薬:苓桂朮甘湯半夏白朮天麻湯など。

苓桂朮甘湯は、めまい、立ちくらみ、動悸などがある場合に比較します。半夏白朮天麻湯は、胃腸が弱く、冷え、頭重、ふらつきがある場合に比較します。

更年期の動悸で比較される漢方薬

動悸に使われる漢方薬でも、不安、ほてり、疲労、冷え、めまい、胃腸など、背景によって方向性が異なります。処方前に心肺疾患・不整脈などの評価が必要です。

漢方薬 比較するときの特徴 見分けるポイント
柴胡加竜骨牡蛎湯 不安、不眠、イライラ、胸の緊張、便秘 比較的体力があり、熱と高ぶりがあるか
桂枝加竜骨牡蛎湯 疲れやすい、神経過敏、不眠、動悸 虚弱で、消耗と高ぶりが重なるか
半夏厚朴湯 喉・胸のつかえ、不安、吐き気、食欲低下 気滞と湿痰、胃腸症状が中心か
女神散 更年期ののぼせ、めまい、精神的な高ぶり 上半身の熱と気血水の乱れがあるか
柴胡桂枝乾姜湯 冷え、頭部の発汗、口渇、動悸、不眠 体力が低下し、冷えと神経過敏が重なるか
苓桂朮甘湯 めまい、立ちくらみ、動悸、水分停滞 頭重、胃内停水など水の偏りがあるか

心臓・血圧・甲状腺・貧血の治療中は、処方薬を自己判断で中止・変更しないでください。

漢方薬にも甘草などの生薬が含まれ、利尿薬、心臓病・高血圧の薬などとの併用で注意が必要な場合があります。医師または薬剤師へ相談してください。

更年期の動悸で生活から確認したい6つのこと

1. 動悸の記録を取る

時刻、持続時間、脈拍、規則性、直前の行動、月経、ほてり、一緒に出た症状を記録します。

2. カフェインと刺激物を確認する

コーヒー、濃いお茶、エナジードリンク、飲酒、喫煙、風邪薬などの後に悪化していないか確認します。

3. 食事を抜かない

空腹、脱水、無理なダイエットで動悸やふらつきを感じる場合があります。規則的に食事を取ります。

4. 睡眠を整える

不眠が続くと拍動への不安が強くなることがあります。眠りの悩みは更年期の不眠も確認してください。

5. 急に運動で追い込まない

動悸の原因が未確認の段階で、激しい運動による自己テストをしないでください。医師に運動可否を確認します。

6. 呼吸法は補助として使う

検査で重大な病気が否定され、不安・緊張で悪化する場合は、ゆっくり息を吐く呼吸が役立つことがあります。受診の代わりにはなりません。

更年期の動悸についてよくある質問

更年期の動悸は、よくある症状ですか?

更年期の女性に、特に明確なきっかけがなく動悸や息苦しさが現れることはあります。ただし、ほてりや発汗ほど女性ホルモン低下との関連が明確な症状とは限りません。心臓・肺・甲状腺・貧血など、ほかの原因がないことを確認することが大切です。

動悸があれば、最初に何科を受診すればよいですか?

初めての動悸、繰り返す動悸、脈が飛ぶ・乱れる感じがある場合は、まず内科または循環器内科が基本です。息苦しさが強い場合は呼吸器内科も候補になります。心肺疾患が否定され、更年期症状もある場合は婦人科や更年期外来で相談できます。

胸がドキドキするだけなら、漢方で様子を見てもよいですか?

自己判断で更年期と決めつけないでください。胸痛、胸の圧迫感、失神、強い息苦しさ、冷や汗、急に速くなった脈、脈の明らかな乱れがある場合は、漢方より医療機関での評価を優先します。

更年期の動悸には、どの漢方薬がよいですか?

一つの漢方薬に決めることはできません。不安や不眠を伴う、ほてりや発汗と一緒に出る、疲労やめまいが強い、冷えや胃腸の弱りがあるなど、動悸以外の症状と体質を比較します。持病・血圧・脈拍・服用薬の確認も必要です。

柴胡加竜骨牡蛎湯は、動悸なら誰にでも合いますか?

いいえ。柴胡加竜骨牡蛎湯は、比較的体力があり、不安、不眠、イライラ、胸やみぞおちの緊張、便秘などを伴う場合に比較されます。冷え、下痢、著しい虚弱、胃腸の弱さが強い場合は、別の処方を検討します。

夜、横になると動悸が気になるのは更年期ですか?

更年期の自律神経症状や不安、不眠で、安静時に拍動を意識しやすくなることはあります。しかし、不整脈や心疾患でも夜間や安静時に症状が出ることがあります。繰り返す場合は心電図などの検査を受けてください。

ほてりと動悸が同時に出る場合は、どの体質ですか?

陰虚、湿熱、血瘀、気滞などを比較します。寝汗や乾燥があれば陰虚、発汗・便秘・熱感が強ければ湿熱、冷えのぼせや肩こりがあれば血瘀、不安や緊張が強ければ気滞の要素を確認します。

動悸がしたとき、自分で脈を測る意味はありますか?

診断の代わりにはなりませんが、症状が出た時刻、持続時間、1分間の脈拍数、規則的か、脈が抜ける感じがあるかを記録すると、受診時の参考になります。強い症状がある場合は、測定に時間をかけず受診を優先してください。

ホルモン補充療法や心臓の薬と、漢方薬を併用できますか?

併用できる場合はありますが、治療内容、血圧、心臓・腎臓の状態、利尿薬や抗不整脈薬などの服用状況によって判断が必要です。処方薬を自己判断で中止・変更せず、医師または薬剤師へ相談してください。

相談データで多かった漢方薬を選べばよいですか?

いいえ。処方件数は効果や推奨の順位ではありません。堀口先生が、動悸だけでなく、不安、不眠、ほてり、めまい、月経、胃腸、体力、血圧、服用薬などを含めて選定した記録です。

医療機関へ相談したい目安

  • 胸痛、胸の圧迫感、締め付けられる感じがある
  • 失神、意識が遠のく、目の前が暗くなる
  • 強い息苦しさ、会話しにくい、横になれない
  • 顔色や唇の色が悪い、冷や汗が出る
  • 脈が著しく速い、速い状態が続く
  • 脈が飛ぶ、抜ける、乱れる感じが初めて出た・増えている
  • 動悸にめまい、むくみ、強い疲労が重なる
  • 大量の月経・不正出血、顔色不良、立ちくらみがある
  • 手の震え、急な体重減少、多汗がある
  • 心臓病や不整脈の治療中に、新しい症状が出た

初めて・反復する動悸は内科または循環器内科が基本です。心肺疾患などが否定され、更年期症状もある場合は、婦人科・更年期外来で治療を相談できます。緊急性に迷う場合は、地域の救急相談窓口も利用してください。

参考・出典

  1. 日本女性医学学会「動悸・息切れ」
  2. 厚生労働省「働く女性の更年期について」
  3. 厚生労働省「更年期」
  4. 日本循環器学会「不整脈の症状は?」
  5. 日本循環器学会「危険な不整脈の原因と兆候は?」
  6. 総務省消防庁「救急受診ガイド」
  7. PMDA「一般用医薬品・要指導医薬品 添付文書等情報検索」
  8. PMDA「医療用医薬品 添付文書等情報検索」
  9. 堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データ

堀口先生の相談データから見る、更年期動悸の特徴

堀口和彦先生による過去の漢方相談・処方選定データを整備した「更年期症例」から、動悸が主訴として分類された全51件を整理しました。

体質、併発症状、漢方薬は1人に複数記録される場合があります。

25件 気滞

体質判定で最も多く確認されました。

16件 血虚

次に多く確認された体質です。

21件 不安・緊張

一緒に記録された症状で最も多い項目です。

25件 最多の選定記録

柴胡桂枝乾姜湯が最も多く記録されました。

体質判定

気滞
25件
血虚
16件
陰虚
15件
気虚
7件
陽虚
2件
血瘀
2件

※1人に複数の体質が記録されるため、合計は51件を超えることがあります。

動悸と一緒に記録された症状

不安・緊張
21件
疲労・気力低下
21件
便秘・便通の乱れ
17件
頭痛・頭重
14件
首こり・肩こり
12件
めまい・立ちくらみ
9件
むくみ
8件
ほてり・のぼせ
8件

初期回答で選定された漢方薬

柴胡桂枝乾姜湯
25件
柴胡加竜骨牡蛎湯
18件
半夏厚朴湯
12件
加味逍遙散
9件
温経湯
7件

※処方件数は効果や推奨の順位ではありません。相談時の体質、体力、便通、胃腸、睡眠、持病、服薬状況などを含めた選定記録です。

公開用に要約した代表相談例

陰虚・気滞を中心に考えた例|46歳女性

ほてりと息切れに、強い動悸が重なる

月経が半年なく、婦人科で閉経相当のホルモン値と説明されていました。動悸、息切れ、体のほてりが続き、動悸について検査を受けても異常なしとされた例です。

選定記録にある漢方薬:柴胡加竜骨牡蛎湯疎経活血湯

気滞・血虚を中心に考えた例|51歳女性

明け方、動悸と不安で目が覚める

卵巣摘出後、動悸、体のしびれ、不眠、ホットフラッシュが現れ、明け方に動悸と不安で目が覚めて熟睡できない状態でした。

選定記録にある漢方薬:柴胡加竜骨牡蛎湯女神散

ほかの相談例3件を見る

湿熱・陰虚を中心に考えた例|50歳女性

ホットフラッシュと大量の汗に動悸が重なる

更年期のホットフラッシュと動悸があり、夏場は特に汗が多く、軟便も続いていました。上半身の熱と水分代謝の偏りを確認した例です。

選定記録にある漢方薬:黄連解毒湯桂枝茯苓丸料

血虚・気虚を中心に考えた例|47歳女性

生理前後に、めまい・吐き気・動悸が続く

生理前後の長い期間、目の奥の痛み、頭重、めまい、吐き気、胃もたれ、肩こり、動悸が重なっていました。

選定記録にある漢方薬:半夏厚朴湯温経湯

陰虚・気滞を中心に考えた例|40歳女性

朝から午前中に、動悸とふわふわするめまいが出る

朝から午前中、特に通勤中に動悸とふわふわするめまいが出やすく、頭痛、肩こり、吐き気、胃もたれも生理前後に悪化していました。

選定記録にある漢方薬:柴胡桂枝乾姜湯半夏白朮天麻湯

※この集計と相談例は、堀口和彦先生による「うち漢方/光和堂薬局」時代の漢方相談・処方選定データを、個人が特定されない形で公開用に匿名化・要約したものです。KanpoNow薬局の販売実績・改善実績を示すものではなく、特定の漢方薬の効果を保証するものでもありません。

医療機関で重大な病気がないことを確認したあと、動悸と一緒に出る症状から体質を考えます。

不安、不眠、ほてり、冷え、疲労、めまい、胃腸、月経まで含めて、自分の体質傾向を確認してください。

KanpoNowのAI漢方診断は、堀口先生の漢方相談・処方選定の考え方をもとに、症状と複数の体質傾向から漢方薬の候補を提案します。

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本ページは一般的な健康情報と、匿名化された過去の相談データをもとに漢方の考え方を紹介するものであり、診断・治療・服薬指示を目的とするものではありません。動悸は心疾患、不整脈、呼吸器疾患、甲状腺疾患、貧血、薬剤などでも起こります。持病がある方、治療中の方、妊娠中・授乳中の方、ホルモン補充療法や心臓・血圧の薬などを使用中の方は、自己判断で薬を中止・変更せず、医師または薬剤師へ相談してください。胸痛、失神、強い息苦しさ、冷や汗、著しい頻脈などがある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。

 

監修者プロフィール
堀口和彦

堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師

光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。

著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。