更年期むくみ|熱感・喉の渇き・便秘を伴う湿熱タイプ
監修:堀口和彦|更新日:2026-06-19
足や体がむくむだけでなく、熱っぽい。喉が渇く。便秘がちで、尿の色も濃い。
更年期むくみの中でも、「むくみ」「熱感」「喉の渇き」「便秘」「尿の濃さ」「顔の赤み」が重なる方は、漢方でいう湿熱(しつねつ)タイプとして考えることがあります。
湿熱とは、体内に停滞した余分な水分である湿と、こもった熱が結びつき、ドロドロと動きにくくなっている状態です。冷えで水が止まる湿痰タイプとは異なり、湿熱タイプでは、熱・炎症・便秘・排尿トラブルを伴いやすいことが特徴です。
このページでわかること
- 更年期に熱感・喉の渇き・便秘を伴うむくみが起こる理由
- 湿熱タイプの更年期むくみの特徴
- 湿痰・血瘀・血虚・陽虚・気滞との見分け方
- 防風通聖散・越婢加朮湯などを考えるときの目安
- 湿熱をためない食事・水分・運動・便通の養生
目次
熱感・便秘を伴うむくみのメカニズム
更年期には、女性ホルモンの変動に伴って、自律神経、血流、リンパ、体温調節、水分代謝が揺らぎやすくなります。更年期の不調は、疲れやすさ、発汗、冷え、肩こり、腰痛、不眠、イライラなど多様に現れることがあります。*①
湿熱タイプのむくみでは、冷えによって水が停滞するというよりも、体内にこもった熱と、排泄しきれない湿が結びついて、流通が悪くなっている状態を考えます。
熱があるため、喉が渇く、顔が赤い、暑がり、汗が多い、尿の色が濃い、便秘がちといったサインが重なります。さらに湿があるため、むくみ、重だるさ、腫れぼったさ、関節の腫れや痛みを伴うことがあります。
食べすぎ、飲酒、ストレス、便秘、ホルモン変動などが重なり、体内に余分な熱がこもりやすくなります。
処理しきれない水分や老廃物が湿となり、熱と結びついてドロドロと動きにくくなります。
便秘、尿の濃さ、膀胱炎傾向、汗のべたつきなどが起こり、むくみや腫れぼったさが強くなります。
熱と水が結びつき、湿熱になる
湿熱タイプでは、体内にこもった熱を冷まそうとして水が集まります。しかし、熱を鎮めきれず、水分も排泄しきれないと、湿と熱が結びついて停滞します。
この湿熱は、さらさら流れる水ではなく、粘り気を帯びた濁りのように考えます。体の中で流通を邪魔し、むくみ、熱感、腫れぼったさ、便秘、排尿トラブルを起こしやすくします。
骨盤内の流通が悪くなり、下半身がむくむ
湿熱が下腹部や骨盤内に停滞すると、下半身から戻るリンパや静脈の流れが悪くなりやすくなります。足の付け根、下腹部、太もも、ふくらはぎにかけて、パンパンと張るようなむくみが出ることがあります。
便秘があると、骨盤内の圧が高まり、さらに下半身からの戻りが悪くなります。尿が濃い、排尿時に違和感がある、膀胱炎を繰り返すといった場合も、湿熱の停滞を考えます。
湿熱タイプは「熱い・濁る・詰まる」がキーワードです。
熱感、喉の渇き、便秘、尿の濃さ、顔の赤み、吹き出物、腫れぼったいむくみが重なる場合は、湿熱の関与を考えます。
湿熱タイプの更年期むくみとは
湿熱タイプは、過剰な栄養、熱、湿、老廃物が体内に停滞し、排泄が追いついていない状態です。更年期むくみでは、熱感、喉の渇き、便秘、尿の濃さ、腫れぼったさとして現れやすくなります。
このタイプは、食欲があり、比較的がっちりした体格、内臓脂肪やメタボリック傾向がある方に見られることがあります。顔色が赤い、暑がり、汗をかきやすい、皮膚にツヤがある一方で、吹き出物や炎症が出やすいこともあります。
むくみは、湿痰タイプのように冷えて重いだけではなく、熱感を伴ってパンパンに張るように出ることがあります。関節が腫れて痛む、膀胱炎を起こしやすい、尿が濃い、便秘でお腹が張るといった症状が重なる場合は、湿熱を考えます。
湿熱タイプで見られやすい症状
- 足や体がパンパンに張ってむくむ
- むくみに熱感や赤みを伴う
- 暑がりで、汗をかきやすい
- 喉が渇きやすい
- 便秘がち、または悪臭の強い泥状便が出る
- 尿の色が濃い、尿量が少ない
- 顔が赤い、のぼせやすい
- ニキビ、吹き出物、化膿しやすい皮膚症状がある
- 膀胱炎を繰り返しやすい、排尿時の違和感がある
- 高血圧、脂質異常、尿酸値、血糖などが気になる
- 飲酒、脂っこい食事、夜食、便秘で悪化しやすい
湿熱タイプは「水が足りない」のではなく、「水と熱が滞っている」状態です。
喉が渇くからといって水をガブ飲みすると、処理しきれない水分がさらに湿となり、むくみや重だるさが悪化することがあります。
湿熱タイプのセルフチェック
以下に当てはまる項目が多いほど、湿熱タイプの更年期むくみを考えます。
むくみ方の特徴
- むくみがパンパンに張る
- むくみに熱感や赤みがある
- 足だけでなく顔や手も腫れぼったい
- 関節が腫れて痛むことがある
- 便秘や尿の濃さと一緒に悪化する
体調の特徴
- 暑がりで汗をかきやすい
- 喉が渇きやすい
- 便秘がちで、お腹が張る
- 尿が濃い、排尿時の違和感がある
- 飲酒、脂っこい食事、甘辛い味で悪化しやすい
湿熱タイプでは、むくみだけでなく、便・尿・皮膚・熱感を一緒に見ることが大切です。便秘でむくみが強くなる、尿の色が濃い、吹き出物が増える、飲酒や脂っこい食事の後にパンパンになる場合は、湿熱のサインです。
ほかの更年期むくみタイプとの違い
更年期のむくみは、どこがむくむか、熱いのか冷えるのか、疲れるのか張るのか、便通や尿の状態はどうかを組み合わせて見ます。
| むくみの出方 | 漢方で見たい背景 | よくある体質 |
|---|---|---|
| 足がパンパン、下半身が重い ▶詳しく見る |
水分代謝が悪く、湿や痰が停滞 | 湿痰 |
| 熱感・喉の渇き・便秘を伴う |
湿と熱がこもり、炎症を伴う | 湿熱 |
| 冷えのぼせ、肩こり、足のむくみ ▶詳しく見る |
血の巡りが悪く、リンパや静脈も滞る | 血瘀 |
| 色白、貧血気味、疲れやすい ▶詳しく見る |
血が不足し、水を血管内に保つ力が弱い | 血虚 |
| 芯から冷え、夜間尿や腰痛がある ▶詳しく見る |
陽気が不足し、水を巡らせる力が弱い | 陽虚 |
| ストレスで張る・尿が出にくい ▶詳しく見る |
気が滞り、水の巡りも止まる | 気滞 |
湿熱タイプは、湿痰タイプのように「冷え・重だるさ・雨の日に悪化」が中心ではありません。血瘀タイプのように「冷えのぼせ・肩こり・シミ・骨盤内のうっ血」が中心でもありません。
中心にあるのは、湿と熱がこもり、排泄が追いつかないことです。熱感、喉の渇き、便秘、尿の濃さ、皮膚の炎症がむくみと一緒に出る場合は、湿熱タイプを考えます。
湿熱タイプは、温めるだけでは悪化することがあります。
冷えが強い湿痰タイプと違い、湿熱タイプでは熱を冷まし、便・尿・汗から余分な湿と熱を出す方向で整えることが大切です。
漢方薬を考えるときの処方鑑別
湿熱タイプの更年期むくみでは、単に利尿させるだけでなく、体内にこもった熱と老廃物を、大便・小便・汗として外へ出すことを考えます。中心となる考え方は、清熱・利湿・解毒・通便です。
目安:体力が充実し、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちで、高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘などがある場合に検討されます。*⑤
考え方:体内に停滞した余分な熱、湿、脂肪分、老廃物を、大便や小便、汗のルートから外へ出す方向で考える処方です。お腹まわりの滞り、便秘、熱感を伴うむくみで候補になります。
目安:体力中等度以上で、むくみがあり、喉が渇き、汗が出て、ときに尿量が少ない場合に検討されます。関節の腫れや痛み、熱感を伴うむくみでも候補になります。*⑥
考え方:こもった熱を冷ましながら、体表の停滞を動かし、水分代謝を支える処方です。熱感を伴う強いむくみや、関節周辺の腫れぼったさで考えます。
目安:体力中等度以上で、口渇があり、尿量が少なく、便秘するタイプで検討されます。内側に熱がこもり、皮膚症状や黄疸傾向などを伴う場合にも考えられます。*⑦
考え方:こもった熱や湿の偏りに配慮し、便通を通して内側の熱を外へ出しやすくする処方です。湿熱が内側にこもり、抜けにくい状態で候補になります。
目安:比較的体力があり、排尿痛、残尿感、尿の濁り、頻尿、陰部のかゆみや熱感など、下腹部・泌尿生殖器周辺の湿熱が疑われる場合に検討されます。*⑧
考え方:下焦、つまり下腹部や泌尿生殖器に湿熱が停滞している状態を考えます。膀胱炎傾向や排尿トラブルを伴うむくみで候補になります。
使用前に確認したいこと
防風通聖散、茵蔯蒿湯などには大黄を含む製剤があり、下痢しやすい方、胃腸が弱い方、体力が落ちている方には合わない場合があります。越婢加朮湯には麻黄を含む製剤があり、動悸、不眠、血圧、排尿障害などにも注意が必要です。複数の漢方薬を併用する場合は、甘草・麻黄・大黄などの重複にも注意してください。服薬中の方、妊娠中・授乳中の方、高血圧・心疾患・腎疾患などがある方は、自己判断せず医師または薬剤師にご相談ください。*⑤~⑨
湿熱に見えて、別の処方を考えることがあるケース
- 冷えと下半身の重だるさが中心なら、湿痰タイプを考えます。
- 冷えのぼせ、肩こり、シミ、下腹部の張りが強いなら、血瘀タイプを考えます。
- 色白、貧血気味、疲れやすさ、めまいが強いなら、血虚タイプを考えます。
- 芯から冷え、夜間尿、腰痛、下痢を伴うなら、陽虚タイプを考えます。
- ストレスで張る、尿が出にくい、胸やお腹がつかえるなら、気滞タイプを考えます。
湿熱タイプの生活養生
湿熱タイプの更年期むくみでは、体内のゴミ処理、つまり排泄が追いついていない状態を考えます。水を入れるだけではなく、湿と熱を作らない食事、便通、尿、汗の出口を整えることが大切です。
1. 喉が渇いても水をガブ飲みしない
湿熱タイプでは、体内に熱がこもるため喉が渇きやすくなります。しかし、体の中にはすでに湿が停滞しているため、一度に大量の水を飲むと、処理しきれずにむくみが悪化することがあります。
喉が渇いたときは、一度に大量に飲むのではなく、温かいお茶や常温の水を少しずつ飲みましょう。冷たい飲み物のガブ飲みは、胃腸の働きを落とし、湿をさらに動きにくくすることがあります。
2. 湿熱を生む食べ物を控える
脂っこいもの、味の濃いもの、甘いもの、辛いもの、塩辛いもの、夜食、アルコールは、体内に熱と湿を生みやすくなります。
特に、ビールや冷たいアルコールを多く飲む習慣は、熱と湿を同時に増やし、下半身のむくみ、便秘、尿の濃さを悪化させやすくなります。食事は、あっさりした和食、野菜、海藻、きのこ、豆類、魚を中心に整えましょう。
3. 便通を整える
便秘は、湿熱タイプのむくみを悪化させる大きな要因です。便が停滞すると、内側の熱と老廃物が外へ出にくくなり、骨盤内の圧も高まり、下半身の流れが悪くなります。
食物繊維、水分のとり方、朝の排便リズム、腹部マッサージ、軽い運動を組み合わせて、便通を整えましょう。便秘が強い場合や腹痛・血便がある場合は、医療機関に相談してください。
4. 有酸素運動で完全燃焼させる
湿熱タイプでは、余分な栄養、熱、湿が体内に余りやすいため、体を動かして燃焼させることが大切です。
ウォーキング、自転車、軽いジョギング、水中歩行など、息が上がりすぎない有酸素運動を継続しましょう。適度な汗、尿、便から老廃物を出すことが、むくみ解消にもつながります。
5. 夜食と遅い夕食を控える
夜遅い食事や夜食は、消化しきれない栄養を湿熱に変えやすくします。特に、脂っこいもの、ラーメン、揚げ物、甘いもの、アルコールを夜にとると、翌朝のむくみや便秘につながりやすくなります。
夕食は軽めにし、寝る3時間前までに済ませることを目標にしましょう。夜にどうしても空腹が強い場合は、温かい汁物など胃腸に負担の少ないものを選びましょう。
6. 皮膚と尿のサインを確認する
湿熱タイプでは、吹き出物、赤み、かゆみ、化膿しやすさ、尿の濃さ、排尿時の違和感などがサインになります。
むくみだけでなく、皮膚や尿の状態を観察しましょう。膀胱炎症状、排尿時痛、発熱、血尿がある場合は、漢方や養生で様子を見ず、医療機関に相談してください。
関連ページ
更年期むくみは、冷え、水太り、便秘、肩こり、疲労感、イライラなどと重なって現れることがあります。以下のページもあわせてご覧ください。
よくある質問
むくみと一緒に熱感や喉の渇きがあるのは湿熱ですか?
湿熱が関係することはあります。特に、むくみ、熱感、喉の渇き、便秘、尿の濃さ、顔の赤み、吹き出物が重なる場合は、湿と熱の停滞を考えます。ただし、感染症、腎臓・心臓・甲状腺などの病気が関係するむくみもあるため、急なむくみや強い熱感は医療機関で確認してください。
喉が渇くので水をたくさん飲んだ方がよいですか?
一概には言えません。湿熱タイプでは、熱によって喉が渇いていても、体内には湿が停滞していることがあります。一度に大量の水を飲むと、むくみが悪化する場合があります。温かいものや常温のものを少しずつ飲み、便通や尿の状態も整えることが大切です。
防風通聖散は湿熱むくみに合いますか?
体力があり、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちで、のぼせ・むくみ・便秘などを伴う湿熱タイプでは候補になることがあります。ただし、体力が落ちている方、冷えが強い方、下痢しやすい方、胃腸が弱い方には合わない場合があります。自己判断で続けず、医師または薬剤師に相談してください。
越婢加朮湯はどんなむくみに使いますか?
むくみがあり、喉が渇き、汗が出て、ときに尿量が少ないようなタイプで検討されます。熱感や関節の腫れ・痛みを伴うむくみで候補になることがあります。ただし、麻黄を含む製剤があり、動悸、不眠、血圧、排尿障害などに注意が必要です。
膀胱炎のような症状があるむくみは漢方だけでよいですか?
排尿時痛、血尿、発熱、腰背部痛、強い残尿感がある場合は、漢方だけで様子を見ず、医療機関で確認してください。湿熱タイプでは膀胱炎傾向を伴うことがありますが、感染症として治療が必要な場合があります。
受診の目安
以下のような場合は、更年期むくみや湿熱タイプと決めつけず、医療機関で相談してください。
- 片脚だけ急にむくむ、痛みや赤みを伴う場合
- むくみに強い熱感、発赤、発熱を伴う場合
- 息切れ、胸痛、動悸、強い疲労感を伴う場合
- 顔やまぶたのむくみが強い、尿量が少ない場合
- 血尿、排尿時痛、発熱、腰背部痛を伴う場合
- 便秘が長く続く、血便、強い腹痛、嘔吐を伴う場合
- 血圧、血糖、脂質、尿酸値、腎機能、肝機能、甲状腺の異常を指摘されている場合
- 妊娠中・授乳中、服薬中、持病がある、ホルモン補充療法を受けている場合
熱感を伴うむくみは、炎症や感染が隠れていることがあります。
強い発赤、痛み、発熱、血尿、排尿時痛、片側だけの腫れ、息切れや胸痛を伴うむくみは、自己判断せず医療機関へご相談ください。
参考・出典
- *① 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト:更年期」
- *② 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」
- *③ 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドローム改善のための基本戦略」
- *④ PMDA「医療用医薬品 添付文書等情報検索」
- *⑤~⑧ PMDA「防風通聖散・越婢加朮湯・茵蔯蒿湯・竜胆瀉肝湯」医療用医薬品情報
- *⑨ PMDA「医療用医薬品 添付文書等情報検索」および各製剤の使用上の注意
体質チェックへ
更年期の「熱感・喉の渇き・便秘を伴うむくみ」は、身体が「湿と熱がこもり、排泄が追いついていません」と知らせているサインかもしれません。
湿熱なのか、湿痰なのか、血瘀・血虚・陽虚・気滞が重なっているのか。むくみだけでなく、熱感、便通、尿、皮膚、飲食習慣まで含めて体質を見ていきましょう。
※本ページは一般的な情報提供を目的としたものであり、医師・薬剤師等の専門家による個別の医療アドバイスに代わるものではありません。漢方薬は体質や症状、持病、服薬状況によって適否が異なります。持病がある方、服薬中の方、妊娠中・授乳中の方、ホルモン補充療法を受けている方は、自己判断で服用せず、事前に医師または薬剤師にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。