清上防風湯とは?赤いニキビ・顔の湿疹・酒さに使う漢方薬を体質別に解説

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)は、赤ら顔で、ときにのぼせを伴うニキビ、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ)などに用いられる漢方薬です。漢方では、顔や頭に熱と風がこもり、毛穴の周囲で赤み・腫れ・膿・かゆみとして現れる状態を「上焦の風熱」「実熱」と捉えます。KanpoNowでは、清上防風湯を「顔面・頭部に上がった熱を冷まし、皮膚表面から発散させる、赤いニキビ・顔面炎症の代表処方」として整理します。
- 赤く腫れたニキビ、芯のあるニキビができやすい
- 顔が赤く、のぼせやすく、皮脂が多い
- 顔面・頭部の湿疹や皮膚炎に熱感・かゆみがある
- 鼻や頬の赤み、あかはな(酒さ)が気になる
- 若年〜体力中等度以上で、炎症の勢いが強い
清上防風湯は、顔面の実熱・風熱に向く処方です。胃腸が弱い方、冷えやすい方、乾燥が強い方、慢性化して肌がくすむタイプでは慎重に見分けます。
清上防風湯とは
清上防風湯は、黄芩、桔梗、山梔子、川芎、防風、白芷、連翹、黄連、甘草、枳実、荊芥、薄荷から構成される漢方薬です。
顔面・頭部にこもった熱を、黄連・黄芩・山梔子・連翹で冷まし、防風・荊芥・白芷・薄荷で皮膚表面から発散させ、桔梗・川芎・枳実で排出と巡りを助けます。顔の赤み、腫れ、熱感、化膿、皮脂の過剰が目立つ時に、内側から熱を下げて外へ逃がすように組み立てられています。
古典における位置づけ
清上防風湯は、中国明代の医学書『万病回春』に由来する処方です。『万病回春』では、顔面に生じる瘡、つまり顔にできる腫れものや吹き出物を、上焦の火、頭面の風熱の毒として捉え、それを清める処方として清上防風湯が位置づけられています。
処方名の「清上」は、上部、つまり顔面・頭部にこもった熱を清めることを意味します。「防風」は、処方の中心となる生薬のひとつで、皮膚表面の風をさばき、熱や毒を外へ散らす方向を担います。
現代では、赤く腫れるニキビ、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ)などで比較されます。特に、顔に熱が上がりやすく、赤み・のぼせ・皮脂・炎症が目立つタイプに輪郭がはっきりします。
漢方的な病態とメカニズム
東洋医学では、清上防風湯が合う状態を、上焦風熱、実熱、熱毒、湿熱、顔面部の気血の停滞として考えます。体力があり、代謝や熱の勢いが強い方では、熱が顔面・頭部に上がりやすく、毛穴や皮脂と結びついて、赤み、腫れ、膿、かゆみとして現れます。
- 実熱:体力があり、赤み・熱感・腫れ・のぼせが目立つ状態
- 風熱:顔や頭の皮膚に熱とかゆみ・赤みが出る状態
- 熱毒:赤く腫れて膿みやすいニキビや吹き出物の背景
- 湿熱:皮脂、脂っぽさ、化膿、ジュクつきが熱と結びついた状態
黄連・黄芩・山梔子・連翹は、顔面にこもった熱と毒を冷まします。防風・荊芥・白芷・薄荷は、皮膚表面の風熱を発散し、赤み・かゆみ・腫れを外へ逃がす方向に働きます。桔梗は膿や炎症の排出を助け、川芎は血の巡りを整え、枳実は気の停滞を動かします。甘草は全体を調和します。
つまり清上防風湯は、顔面の炎症を「熱を冷ます」「表面から散らす」「膿や滞りを外へ出す」という三方向から整える処方です。
構成生薬と配合バランス
清上防風湯は、黄芩、桔梗、山梔子、川芎、防風、白芷、連翹、黄連、甘草、枳実、荊芥、薄荷の12味から構成されます。清熱、発散、排膿、巡りを同時に見る、顔面・頭部の炎症に特化した構成です。












※円グラフは、清上防風湯の構成理解用イメージです。表示比率は合計100%になるように調整しています。実際の配合量は製品により異なる場合があります。
清上防風湯の味・香り・服用時の体感
清上防風湯は、黄連・黄芩・山梔子の強い苦味がはっきり出やすい漢方薬です。そこに薄荷の清涼感、防風・荊芥・白芷のハーブ様の香り、川芎の独特の香りが重なります。
かなり強い苦味
黄連・黄芩・山梔子の苦味が中心です。清熱薬らしい苦さがあります。
薄荷とハーブの香り
薄荷の清涼感と、防風・荊芥・白芷の発散する香りを感じます。
黄褐色〜暗褐色
粉末・顆粒では、黄褐色から暗褐色寄りに見えることがあります。
顔の熱が引く感覚
合う方では、顔の熱感、赤み、脂っぽさが少しずつ落ち着くように感じることがあります。
体験の流れ:強い苦味を感じる → 顔や頭の熱感を観察する → 赤み・腫れ・新しいニキビの変化を見る → 胃もたれ・下痢・腹痛・むくみが出ないか確認する。清上防風湯は冷ます力が強いため、胃腸の反応を見ながら使います。
症状別の向き・不向き
清上防風湯は、ニキビという病名だけで選ぶ処方ではありません。見るべきポイントは、赤み、熱感、腫れ、膿、皮脂、のぼせ、体力、胃腸の強さ、慢性化の仕方です。
赤くて芯のあるニキビ・青春ニキビ
赤く腫れ、熱感があり、皮脂が多く、炎症の勢いが強いニキビで候補になります。
判断ポイント:赤い・熱い・腫れる。顔面・頭部の湿疹・皮膚炎
顔や頭部に赤み、熱感、かゆみ、炎症が出る場合に比較します。
判断ポイント:上半身の風熱。あかはな・酒さ傾向
鼻や頬の赤み、顔のほてり、のぼせが目立つタイプで比較されます。
判断ポイント:顔面に熱が集まる。脂性肌・毛穴の炎症
皮脂が多く、毛穴の周囲が赤く腫れ、化膿しやすい場合に候補になります。
判断ポイント:湿熱と皮脂。胃腸が弱く、下痢しやすい方
黄連・黄芩・山梔子など冷ます生薬が多く、胃もたれ、食欲不振、腹痛、下痢が出ることがあります。
判断ポイント:胃腸が冷えすぎないか。くすみ・慢性化を繰り返す解毒証タイプ
治ってはできるを繰り返し、肌が浅黒く、慢性炎症が続くタイプでは荊芥連翹湯などを比較します。
判断ポイント:急な赤みより慢性解毒証。生理前の顎・口周りの大人ニキビ
ホルモン周期、瘀血、冷え、ストレスが主役の場合は、桂枝茯苓丸料など別処方を比較します。
判断ポイント:顔全体の実熱ではない。体質別の向き・不向き
清上防風湯は、体力中等度以上で、顔面・頭部に熱が上がりやすい実熱・風熱タイプに向きます。一方で、脾気虚、冷え、陰虚乾燥、慢性化してくすむタイプでは慎重に見分けます。
実熱タイプ
顔が赤い、のぼせる、皮脂が多い、赤く腫れるニキビが出るタイプです。清上防風湯の中心像です。
判断ポイント:熱の勢いが強い。風熱タイプ
顔や頭部に赤み・かゆみ・湿疹が出やすく、熱が上へ散らばるタイプです。
判断ポイント:顔面・頭部の風熱。湿熱タイプ
脂性肌、毛穴の詰まり、膿みやすさ、甘いもの・脂っこいもので悪化するタイプです。
判断ポイント:皮脂と熱が絡む。体力中等度以上の若年タイプ
代謝が活発で、炎症の勢いがあるニキビでは候補になります。
判断ポイント:冷ます力を受け止められるか。脾気虚・胃腸虚弱タイプ
胃腸が弱く、冷えや下痢が出やすい方では、寒涼薬が負担になることがあります。
判断ポイント:胃腸を冷やしすぎない。陰虚・乾燥タイプ
肌が乾燥し、粉をふき、潤い不足で赤みが出るタイプでは、さらに乾燥感が強まることがあります。
判断ポイント:熱ではなく乾燥が主役。効能・効果
清上防風湯の効能・効果は製品により表現が異なる場合がありますが、KanpoNowでは代表的に次のように整理しています。
体力中等度以上で、赤ら顔で、ときにのぼせがあるものの次の諸症:にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ)
※実際の効能・効果、用法・用量、注意事項は、購入する製品の添付文書・外箱表示を必ず確認してください。医療用製剤では「にきび」と表現される場合があります。
服用上の注意
清上防風湯は、顔面の熱を冷ます力がある一方、甘草、山梔子、黄芩を含むため、長期服用や胃腸虚弱の方では注意が必要です。
甘草による偽アルドステロン症への注意
清上防風湯には甘草が含まれます。むくみ、血圧上昇、体重増加、だるさ、こむら返り、筋力低下、脱力感などが出る場合は、服用を中止して医師・薬剤師に相談してください。他の漢方薬やグリチルリチン酸含有製剤との併用では、甘草の重複にも注意が必要です。
山梔子による腸間膜静脈硬化症への注意
清上防風湯には山梔子が含まれます。山梔子含有製剤の長期服用では、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などを繰り返す場合、腸間膜静脈硬化症に注意が必要です。数年単位で漫然と続けることは避け、専門家の管理下で確認します。
黄芩による肝機能障害・黄疸に注意
清上防風湯には黄芩が含まれます。強いだるさ、食欲不振、吐き気、黄疸、褐色尿などが出る場合は、服用を中止して医療機関に相談してください。
胃腸が弱い方は慎重に
黄連、黄芩、山梔子など寒涼薬が多い処方です。服用後に胃が痛い、食欲が落ちる、胃部不快感、腹痛、下痢が続く場合は、胃腸が冷やされすぎている可能性があります。無理に継続せず専門家に相談してください。
食事養生:湿熱を入れない
甘いもの、脂っこいもの、乳製品、アルコール、辛いものは、体内の湿熱を助長し、赤いニキビや化膿しやすさを悪化させることがあります。和食中心で、油・砂糖・酒・刺激物を控えめにすることが大切です。
スキンケア:洗いすぎない
ニキビが気になるからといって、強い洗顔料で何度も洗うと、必要な皮脂まで落ち、バリア機能が低下しやすくなります。洗顔はやさしく、保湿は軽めに、摩擦を避けることが基本です。
相談・受診を優先したいサイン
- ニキビや湿疹が急に悪化し、赤み・腫れ・痛み・膿が強い
- 顔の赤みが長引き、ほてりやヒリヒリ感が強い
- 服用後に発疹・発赤・かゆみ・蕁麻疹が出る
- むくみ、血圧上昇、体重増加、こむら返り、筋力低下が出る
- 腹痛、下痢、便秘、腹部膨満を繰り返す
- 黄疸、褐色尿、強い倦怠感、食欲不振、吐き気が続く
- 妊娠中・授乳中、小児、高齢者、胃腸虚弱、持病がある、他の薬を服用中
症状から理解を深める
清上防風湯が気になる方は、肌荒れ、かゆみ、アトピー、アレルギー、症状全体の見方を確認すると、向き不向きが整理しやすくなります。
似ている漢方薬・構成生薬
ニキビ・顔面炎症の漢方薬は、赤く腫れているのか、慢性化してくすむのか、生理周期で悪化するのか、ジュクジュクするのか、乾燥するのかで選び方が変わります。
よくある質問
Q. 清上防風湯はニキビに向いていますか?
赤く腫れたニキビ、芯のあるニキビ、顔のほてり、脂性肌、のぼせを伴うタイプでは候補になります。乾燥型や慢性くすみ型、生理前の顎ニキビでは別処方も比較します。
Q. 荊芥連翹湯との違いは何ですか?
清上防風湯は、赤く腫れる顔面の実熱ニキビに向きます。荊芥連翹湯は、慢性化して治ってはできるを繰り返す解毒証体質、鼻炎や扁桃炎を伴うタイプで比較します。
Q. 桂枝茯苓丸料との違いは何ですか?
桂枝茯苓丸料は、瘀血、月経前の悪化、顎・口周りの大人ニキビ、のぼせや冷えのぼせで比較します。清上防風湯は、顔面全体の赤み・熱感・皮脂・腫れが中心です。
Q. 胃腸が弱い人でも飲めますか?
慎重に考える必要があります。黄連・黄芩・山梔子など冷ます生薬が多く、胃もたれ、食欲不振、腹痛、下痢が出ることがあります。
Q. 甘草は入っていますか?
はい。清上防風湯には甘草が含まれます。むくみ、血圧上昇、体重増加、こむら返り、筋力低下、だるさなどが出る場合は、服用を中止して専門家に相談してください。他の漢方薬との併用時は甘草の重複にも注意が必要です。
参考・出典
- PMDA「医療用医薬品 添付文書等情報検索」
- PMDA「一般用医薬品・要指導医薬品 添付文書等情報検索」
- ツムラ「清上防風湯エキス顆粒(医療用)」添付文書
- 真柳誠「漢方一話 処方名のいわれ53 清上防風湯」
- 古典:『万病回春』清上防風湯関連記載
- 公益社団法人 東京生薬協会・富山大学 和漢医薬学総合研究所等の生薬資料
清上防風湯が合うか迷った方へ
清上防風湯は、赤いニキビ、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ)などに使われる漢方薬ですが、すべての肌荒れに合うわけではありません。実熱なのか、慢性解毒証なのか、瘀血なのか、乾燥なのか、胃腸が受け止められるか、甘草・山梔子・黄芩の注意に該当しないかまで含めて判断することが大切です。

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AI漢方診断をする免責:本ページは漢方薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・服薬指示を行うものではありません。服用後に発疹・発赤・かゆみ、むくみ、血圧上昇、こむら返り、筋力低下、腹痛・下痢・便秘・腹部膨満、黄疸、褐色尿、強い倦怠感、食欲不振などがある場合は、服用を中止し医療機関にご相談ください。妊娠中・授乳中、小児、高齢者、胃腸虚弱、肝臓病、他のお薬や漢方薬を服用中の方も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。