清上蠲痛湯とは?慢性頭痛・顔面痛に使う漢方薬を体質別に解説

清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)は、慢性化した頭痛・顔面痛に用いられる漢方薬です。処方名の通り、頭や顔など「上部」にこもった熱・風・湿をさばき、滞った気血の流れを通して痛みを除く方向で考えます。KanpoNowでは、清上蠲痛湯を「首から上の頑固な痛みを、祛風・除湿・清熱・活血で多面的に整える処方」として整理します。
- 頭痛や顔面痛が慢性化して、なかなか抜けない
- ズキズキ、ガンガン、締め付け、刺すような痛みがある
- 目の奥、こめかみ、額、頬、歯の周辺など、首から上の痛みが気になる
- 頭重感、のぼせ、目の疲れ、肩こりを伴いやすい
- 痛みが繰り返され、鎮痛薬だけに頼りがちになっている
清上蠲痛湯は、頭痛・顔面痛に幅広く比較される処方ですが、突然の激しい頭痛、麻痺、ろれつが回らない、視野異常、発熱を伴う頭痛では、漢方薬で様子を見ず受診を優先してください。
清上蠲痛湯とは
清上蠲痛湯は、麦門冬、羌活、独活、防風、蒼朮、当帰、川芎、白芷、黄芩、蔓荊子、菊花、細辛、甘草、生姜から構成される漢方薬です。
14味の生薬が、頭部に入り込んだ風・湿を散らし、こもった熱を冷まし、滞った血を巡らせ、痛みの通り道を開くように働きます。頭痛だけでなく、顔面痛、目の奥の痛み、歯の周辺の痛み、三叉神経痛様の痛みなど、首から上の痛みで比較される処方です。
古典における位置づけ
清上蠲痛湯は、中国明代の医学書『寿世保元』に由来する処方です。原典では、左右・偏正・新久を問わず頭痛を治する主方として位置づけられ、頭部の痛みに広く用いられてきました。
処方名の「清上」は、上部、つまり頭部・顔面にこもった熱や濁りを清めることを示します。「蠲痛」は、痛みを取り除くという意味です。したがって清上蠲痛湯は、頭や顔にこもった風・湿・熱を散らし、痛みを抜く処方と理解できます。
現代では、慢性頭痛、片頭痛、緊張型頭痛、顔面痛、三叉神経痛様の痛み、副鼻腔炎に伴う顔面部の重痛感などで比較されます。ただし、頭痛には脳血管障害や感染症など緊急性のある疾患も含まれるため、危険なサインの確認が重要です。
漢方的な病態とメカニズム
東洋医学では、清上蠲痛湯が合う状態を、風邪、湿邪、熱、血瘀、気滞が頭部に絡んだ状態として考えます。痛みの基本には「不通則痛」、つまり気血の流れが通じなければ痛むという考えがあります。
- 風:痛む場所が移る、急に痛む、外気や疲れで悪化する頭痛・顔面痛
- 湿:頭が重い、締め付けられる、雨や湿気で悪化しやすい痛み
- 熱:のぼせ、目の充血、顔の熱感、ズキズキする痛み
- 血瘀:同じ場所が繰り返し痛む、刺すように痛む、慢性化した痛み
- 気滞:ストレス、肩首の緊張、胸や喉のつかえとともに悪化する痛み
羌活・独活・防風・白芷・細辛・蔓荊子は、頭部に入り込んだ風や湿を散らし、痛みの通り道を開きます。川芎・当帰は血を巡らせ、固定化した痛みを動かす方向に働きます。黄芩・菊花は頭部の熱を冷まし、麦門冬は発散薬が多い構成の中で潤いを支えます。蒼朮は湿をさばき、甘草・生姜が全体を調和します。
つまり清上蠲痛湯は、頭痛を一方向から抑えるのではなく、風を散らし、湿をさばき、熱を冷まし、血を巡らせることで、慢性化した頭部・顔面部の痛みをほどく処方です。
構成生薬と配合バランス
清上蠲痛湯は、麦門冬、羌活、独活、防風、蒼朮、当帰、川芎、白芷、黄芩、蔓荊子、菊花、細辛、甘草、生姜の14味から構成されます。生薬数が多く、頭部の風・湿・熱・血の停滞に多面的に対応する大処方です。














※円グラフは、清上蠲痛湯の構成理解用イメージです。表示比率は合計100%になるように調整しています。実際の配合量は製品により異なる場合があります。
清上蠲痛湯の味・香り・服用時の体感
清上蠲痛湯は、黄芩の苦味、川芎・当帰の独特なえぐみ、細辛・生姜の辛味、菊花や蔓荊子のハーブ様の風味が重なる、やや複雑な味の漢方薬です。川芎・当帰・白芷の香りが強く、頭部の痛みに使う処方らしいシャープな印象があります。
苦辛い味
黄芩の苦味、細辛・生姜の辛味、川芎・当帰のえぐみが重なります。
セリ科生薬の強い香り
川芎・当帰・白芷のセロリ様の香りに、菊花や蔓荊子のハーブ感が加わります。
褐色〜暗褐色
粉末・顆粒では、褐色から暗褐色寄りに見えることがあります。製品により色調は異なります。
頭部のこもりが抜ける感覚
合う方では、頭や顔の熱っぽさ、重さ、ズキズキ感が少しずつ抜けるように感じることがあります。
体験の流れ:苦辛い味と強い香りを感じる → 頭や顔の熱感・重さを観察する → 痛みの頻度や強さを見る → 胃もたれ・下痢・発疹・むくみが出ないか確認する。清上蠲痛湯は生薬数が多いため、体質に合うかを丁寧に見ます。
症状別の向き・不向き
清上蠲痛湯は、頭痛という病名だけで選ぶ処方ではありません。見るべきポイントは、痛む場所、痛み方、慢性化、のぼせ・頭重感、湿気やストレスとの関係、吐き気・冷え・水毒の有無です。
慢性的な頭痛・片頭痛
こめかみ、目の奥、額、頭全体がズキズキ・ガンガン痛み、慢性化しているタイプで候補になります。
判断ポイント:慢性化した上部の痛み。顔面痛・三叉神経痛様の痛み
頬、額、目の周囲、歯の周辺など、顔面部に走るような痛みや刺す痛みがある場合に比較します。
判断ポイント:顔面部の風・血滞。首肩こりを伴う頭痛
首肩のこわばり、頭重感、目の疲れがあり、気血の巡りが滞って痛むタイプで比較します。
判断ポイント:不通則痛。副鼻腔炎に伴う顔面重痛
額や頬が重く痛む、鼻づまりや濃い鼻汁を伴う場合は、辛夷清肺湯などとの比較が必要です。
判断ポイント:痛みが主役か、鼻の熱が主役か。胃腸虚弱・下痢しやすい方
当帰・川芎・黄芩などが胃腸に負担になることがあります。胃もたれや下痢が出る場合は慎重に見直します。
判断ポイント:胃腸が受け止められるか。冷え・吐き気・嘔吐を伴う激しい頭痛
体や胃腸が冷え、吐き気・嘔吐を伴う頭痛では、温めて気の下げ処方を比較します。
判断ポイント:冷えの頭痛なら別方向。雨の日に悪化し、むくみ・めまいが強い頭痛
水毒・水滞が主役の場合は、五苓散など水をさばく処方を優先して比較します。
判断ポイント:湿痰・水毒が主役なら別方向。体質別の向き・不向き
清上蠲痛湯は、体力に関わらず使えるとされる一方、処方の方向性としては、上部に風・湿・熱・血瘀が絡み、慢性的な痛みがあるタイプに向きます。胃腸虚弱、冷えが強い方、乾燥が強い方では慎重に判断します。
血瘀タイプ
同じ場所が痛む、刺すように痛む、慢性化しているタイプです。川芎・当帰の活血が構成の軸になります。
判断ポイント:固定痛・慢性痛。風熱・頭部の熱タイプ
のぼせ、目の奥の痛み、顔や頭の熱感、ズキズキ痛むタイプで比較します。
判断ポイント:上に熱がこもる。湿を伴う頭重タイプ
頭が重い、締め付けられる、湿気や天候で悪化しやすいタイプでは、蒼朮や祛風湿薬の構成を比較します。
判断ポイント:風湿が上に絡む。気滞・ストレス型
首肩の緊張、ストレス、目の酷使で頭痛が悪化するタイプでは、気血の詰まりとして比較します。
判断ポイント:緊張で通りが悪くなる。脾気虚・胃腸虚弱タイプ
皮膚の回復力低下は関係しますが、胃腸が弱い方では地黄・当帰・胡麻仁が重く感じることがあります。
判断ポイント:下痢や胃もたれの有無。陽虚・冷えが中心の頭痛
温めると楽、冷えると悪化、吐き気・嘔吐を伴う頭痛では、清上蠲痛湯より温める処方を比較します。
判断ポイント:冷えが主役なら不向き。効能・効果
清上蠲痛湯の効能・効果は製品により表現が異なる場合がありますが、KanpoNowでは代表的に次のように整理しています。
体力に関わらず使用でき、慢性化した痛みのあるものの次の諸症:顔面痛、頭痛
※実際の効能・効果、用法・用量、注意事項は、購入する製品の添付文書・外箱表示を必ず確認してください。
服用上の注意
清上蠲痛湯は、頭痛・顔面痛で比較される処方ですが、頭痛には緊急性のある疾患が隠れることがあります。また、甘草、黄芩、当帰、川芎、細辛などを含むため、長期服用や胃腸虚弱の方では注意が必要です。
頭痛の危険サインを見逃さない
突然の激しい頭痛、今までにない頭痛、麻痺、しびれ、ろれつが回らない、意識がぼんやりする、視野異常、発熱、首の硬さ、頭部外傷後の頭痛では、漢方薬で様子を見るべきではありません。速やかに医療機関を受診してください。
甘草による偽アルドステロン症への注意
清上蠲痛湯には甘草が含まれます。むくみ、血圧上昇、体重増加、だるさ、こむら返り、筋力低下、脱力感などが出る場合は、服用を中止して医師・薬剤師に相談してください。他の漢方薬やグリチルリチン酸含有製剤との併用では、甘草の重複にも注意が必要です。
黄芩による肝機能障害・間質性肺炎に注意
清上蠲痛湯には黄芩が含まれます。発熱、空咳、息切れ、呼吸困難、強いだるさが出た場合は服用を中止して相談してください。黄疸、褐色尿、強い倦怠感、食欲不振、吐き気が続く場合も注意が必要です。
胃腸虚弱の方は慎重に
当帰・川芎・黄芩などを含み、生薬数も多いため、胃腸が弱い方では胃もたれ、食欲不振、吐き気、軟便、下痢が出ることがあります。服用後に胃腸症状が続く場合は、無理に継続せず専門家に相談してください。
鎮痛薬の使いすぎに注意
慢性頭痛では、鎮痛薬を頻繁に使うことで、薬物乱用頭痛につながる場合があります。清上蠲痛湯と鎮痛薬を併用する場合でも、自己判断で漫然と続けず、使用頻度や痛みの記録をつけ、必要に応じて医師・薬剤師に相談してください。
目と首肩を休める養生
スマートフォンやパソコンの長時間使用、睡眠不足、目の酷使は、頭部の血流と首肩の緊張を悪化させ、頭痛につながります。1時間に1回は画面から目を離し、首肩を温め、軽く動かすことが大切です。
相談・受診を優先したいサイン
- 突然の激しい頭痛、今まで経験したことのない頭痛
- 麻痺、しびれ、ろれつが回らない、意識障害、視野異常を伴う
- 発熱、首の硬さ、嘔吐、頭部外傷後の頭痛がある
- 顔面痛が激しい、目の痛みや視力低下を伴う
- 服用後に発疹・発赤・かゆみが出る
- むくみ、血圧上昇、こむら返り、筋力低下が出る
- 胃もたれ、下痢、吐き気、食欲不振が続く
- 妊娠中・授乳中、小児、高齢者、持病がある、他の薬を服用中
症状から理解を深める
清上蠲痛湯が気になる方は、頭痛、めまい、肩こり、ストレス、症状全体の見方を確認すると、向き不向きが整理しやすくなります。
似ている漢方薬・構成生薬
頭痛の漢方薬は、熱がこもるのか、水が停滞するのか、朝方に痛むのか、冷えと吐き気があるのか、顔面部の炎症が強いのかで選び方が変わります。
よくある質問
Q. 清上蠲痛湯は片頭痛に向いていますか?
慢性化した頭痛、こめかみや目の奥のズキズキする痛み、頭部の熱感やのぼせ、首肩こりを伴う場合に候補になります。ただし、片頭痛のタイプや重症度によっては医療機関での治療が必要です。
Q. 顔面痛や三叉神経痛にも使いますか?
顔面痛で比較される処方です。頬、額、目の周囲、歯の周辺などの痛みが対象になることがあります。ただし、歯科疾患、副鼻腔炎、帯状疱疹後神経痛、神経疾患などの鑑別が必要です。
Q. 五苓散との違いは何ですか?
五苓散は、水の偏り、低気圧、むくみ、めまい、吐き気を伴う頭痛で比較します。清上蠲痛湯は、慢性化した頭痛・顔面痛を、風・湿・熱・血瘀から多面的にほどく処方です。
Q. 呉茱萸湯との違いは何ですか?
呉茱萸湯は、冷え、吐き気、嘔吐、手足の冷えを伴う激しい頭痛で比較します。清上蠲痛湯は、頭部の熱感、慢性化した痛み、風湿や血瘀の停滞が目立つ場合に比較します。
Q. 甘草は入っていますか?
はい。清上蠲痛湯には甘草が含まれます。むくみ、血圧上昇、体重増加、こむら返り、筋力低下、だるさなどが出る場合は、服用を中止して専門家に相談してください。他の漢方薬との併用時は甘草の重複にも注意が必要です。
参考・出典
- PMDA「一般用医薬品・要指導医薬品 添付文書等情報検索」
- 小太郎漢方製薬「清上蠲痛湯エキス細粒G『コタロー』」説明文書・処方解説
- 古典:『寿世保元』清上蠲痛湯関連記載
- 富山大学 和漢医薬学総合研究所「伝統医薬データベース」
- 公益社団法人 東京生薬協会・富山大学 和漢医薬学総合研究所等の生薬資料
清上蠲痛湯が合うか迷った方へ
清上蠲痛湯は、慢性化した頭痛・顔面痛に使われる漢方薬ですが、すべての頭痛に合うわけではありません。熱なのか、水毒なのか、冷えなのか、血瘀なのか、ストレスなのか、胃腸が受け止められるか、甘草や黄芩の注意に該当しないかまで含めて判断することが大切です。

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AI漢方診断をする免責:本ページは漢方薬に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・服薬指示を行うものではありません。突然の激しい頭痛、麻痺、しびれ、ろれつ障害、意識障害、視野異常、発熱、首の硬さ、頭部外傷後の頭痛、強い顔面痛や目の痛みがある場合は、医療機関にご相談ください。服用後に発疹・発赤・かゆみ、むくみ、血圧上昇、こむら返り、筋力低下、息切れ、空咳、黄疸、褐色尿、胃腸症状などがある場合も服用を中止し専門家に相談してください。妊娠中・授乳中、小児、高齢者、胃腸虚弱、肝臓病、呼吸器疾患、他のお薬を服用中の方も、自己判断を避けて専門家にご相談ください。
堀口 和彦 東洋医学・漢方薬剤師/鍼灸師
光和堂薬局 院長。埼玉県生まれ。東京理科大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。総合漢方研究会 学術部員。元東京大学大学院医学系研究科 客員研究員。公益法人埼玉県鍼灸師会会員。さいたま市学校薬剤師(指扇中学校)。一般財団法人日本漢方連盟 会員。
著書に『やさしい漢方入門』(健友館)、『パプアニューギニアの薬草文化』(アボック社)、『体質で決まる漢方と養生‐気精血水‐』(万来舎)など。